2+2の上級FRスポーツクーペ ロータス・エクセル 英国版クラシック・ガイド 後編

公開 : 2022.05.21 07:06

+2のリアシートが与える実用性と、トヨタ製部品による信頼性を備えたFRのロータスを、英国編集部がご紹介します。

原因部品を交換すれば、走りは回復する

ロータス・エクセル最大の魅力は、類まれな操縦性としなやかで快適な乗り心地。クラシックとして選ぶ際、実際に試乗してそうとは感じなかったり不安定な様子なら、何か不具合を抱えていると考えていいだろう。

といっても、それでエクセルを諦めるのはもったいない。新しいショックアブソーバーやブッシュ、ステアリングラックなど、原因となる部品を交換すれば、走りが回復する可能性は高い。タイヤのアライメント調整も大切だ。

ロータス・エクセル(エクラ・エクセル/1982〜1992年/英国仕様)
ロータス・エクセル(エクラ・エクセル/1982〜1992年/英国仕様)

バックボーン・シャシーが錆びておらず、事故で変形などしていなければ、それ以外の不具合は比較的簡単に修理できる。美しいスタイリングの、FRPボディの状態も重要ではあるけれど。

フロントに搭載された、基本設計が1960年代のロータス900シリーズ・ツインカム4気筒エンジンは、定期的な整備が不可欠。3万8000kmか4年毎に、タイミングベルトの交換が指定されている。ベルトが切れると、重大なダメージを与えてしまう。

丁寧に維持さえしていれば、エンジンは驚くほど信頼性が高く耐久性にも優れる。エクセル SE用ユニットにはニカジル合金のシリンダーライナーが用いられており、定期的なオイル交換が重要。これまでの交換履歴は、良く確かめたい。

調子が良ければ鋭いアクセルレスポンス

ベースグレードのエクセルが搭載する162psのエンジンは、粘り強く低回転域からたくましい加速を引き出せる。今回の写真にあるブルーの車両は、10.9:1という高圧縮比が与えられた182psのエクセル SEだ。

このSE用のエンジンは、低回転でのトルクが若干細いものの、高回転域まで引っ張れば目に見えてパワー感が増していく。赤いカムカバーが付かない162ps版より速いものの、エンジンの性格は若干ピーキーだといえる。

ロータス・エクセル(エクラ・エクセル/1982〜1992年/英国仕様)
ロータス・エクセル(エクラ・エクセル/1982〜1992年/英国仕様)

エグゾースト・マニフォールドは亀裂が入りやすい。見た目だけでなく、温度変化で過度にカチカチと音がする場合は怪しい。

どちらも調子が良ければ、鋭いアクセルレスポンスを披露する。回転が不安定なら、デロルト・キャブレターのスピンドルが劣化している可能性がある。エンジン内部の摩耗を示す、排気ガスの白煙やノッキング、過度な振動がないかも確かめたい。

ドアの構造回りやウインドウフレームは錆びやすく、ヒンジは固着しがち。購入を考える場合は、ドアが滑らかに開閉するか、ボディのラインと一致するか、錆の粉が落ちていないかなどを観察したい。交換は簡単ではない。

乗る機会が少なかったり、長期間保管されてきた例では、ブレーキキャリパーが固着しがち。こもった湿気で、電気系統も傷んでしまう。すべてが機能するかどうか、予め確認したい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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