約束破って転売 いわくつきランクルどこへ? 「2000万円のランドクルーザー」その後……

公開 : 2022.05.06 06:15

購入時に転売禁止の誓約書を求められるというランドクルーザー300。約束を破って転売された個体のその後を取材しました。

オークションに続々出品

日本では2021年8月に発売されたトヨタランドクルーザー300は世界中で大人気だ。

半導体不足やコロナの影響による生産調整も影響して、日本では納車まで4年以上待つほどの事態となっている。

トヨタ・ランドクルーザーは半導体不足等も影響して、日本では納車まで4年以上待つほどの事態に。ディーラーの所有する試乗車も限られているのが現状。なお、画像のランドクルーザーは転売車両とは無関係。
トヨタ・ランドクルーザーは半導体不足等も影響して、日本では納車まで4年以上待つほどの事態に。ディーラーの所有する試乗車も限られているのが現状。なお、画像のランドクルーザーは転売車両とは無関係。    トヨタ・カローラ神奈川

そして、このランクル300は「転売禁止」のはずだが、業者オークションに出品されるケースも増えている。

2022年3月3日にAUTOCAR JAPANで「転売やめて! トヨタ・ランドクルーザー 現金一括購入も『ディーラー所有』 背景は」という記事を書いて以降、筆者(加藤久美子)のもとには、全国各地のオークションに出品されたランドクルーザー300に関する情報提供が複数寄せられている。

トヨタ車の中古車を数多く扱う都内の業者いわく「ランクル300の出品はめずらしくなくなりました。大手中古車オークションでは、1日に3台出品されたこともありました」

「落札価格も落ち着いてきていますね。一時期は新車同様の個体が2000万円超で落札されたこともありましたが、最近はそこまで高額な落札事例はほとんどないようです」

「わたしの知る限り1300~1500万円前後が中心です。登録から6か月経過した『GRスポーツ』は走行距離1万km、評価点4で落札価格は約1200万円でした」

「出品者が希望する価格まで達しないため『流札』(売買不成立)となってしまう個体もありますね」

とはいえ、これはあくまでも中古車業者による「落札(応札)」価格である。

中古車販売店の店頭に並ぶ際には落札価格+200~400万円程度の価格となる模様。

後述するが、実際に現在中古車情報誌で売りに出されているランドクルーザー300の車両本体価格は1700万円前後だ。

「転売しません」はどうなったの?

あらためてランドクルーザー300の新車価格を紹介しておこう。価格はすべて税込。

ガソリンモデル

ZX 3.5Lガソリン(7人乗り):730万円
GRスポーツ3.5Lガソリン(7人乗り):770万円
VX 3.5Lガソリン(7人乗り):630万円
AX 3.5Lガソリン(7人乗り):550万円
GX 3.5Lガソリン(5人乗り):510万円

ディーゼルモデル

オークション会場で出品をまつランドクルーザー
オークション会場で出品をまつランドクルーザー    読者提供

ZX 3.3Lディーゼル(5人乗り):760万円
GRスポーツ3.3Lディーゼル(5人乗り):800万円

ランクル300が中古車市場で販売されているということは、誰かがディーラーで購入した新車を、業者に買い取りや下取りをしてもらったことになる。

そして最初にディーラーで買った人は、よほど信頼の厚い顧客を除いて「購入から最低1年間は転売しない」という誓約書を書かされている。

もちろん、やむを得ない事情でお金が必要になり、泣く泣く売却したオーナーもいるだろう。

その一方で最初から転売目的で購入した個人もいるはずだ。走行距離数十kmの個体は、まさに転売を目的として購入したのだろう。

転売目的であることを隠すために、ほどほどの距離を走ってから売りに出しているケースもある。

以前の記事でもお伝えしたが誓約書の内容を破って転売した場合には「今後、一生涯トヨタディーラーからクルマの購入ができない」などのペナルティを背負うことになる。

「転売しません」という誓約書に加えて、強硬策を講じるディーラーも全国にいくつか存在している。

そこでは「現金購入か割賦購入かに関わらず」最低1年はディーラーに所有権をつける協力を購入者に要請しているという。

要請というより半ば強制的におこなっているディーラーもあると聞く。

ディーラーに所有権をつけておけば、オーナー(車検証上の「使用者」)の意思だけで名義変更ができなくなるため、転売防止には非常に効果的な措置となるからだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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