見た目通りのスポーティさ ヒョンデi30 ファストバック Nラインへ試乗 カローラのライバル

公開 : 2022.05.06 08:25

カローラ・スポーツの競合モデル、ヒョンデi30。スタイリッシュなファストバック版を英国編集部が評価しました。

上質なルックスのファストバック

ヒョンデのベーシックモデル、i30。それを派生させ、特別感の漂うシルエットとしたのが、今回試乗したファストバックだ。メルセデス・ベンツがハッチバックのAクラスをベースに、CLAを生み出した手法と基本的には同じといえる。

リアまわりが伸びたことで、見た目はずっと上質に見える。市場へインパクトを与えたり、他ブランドが追従することはなさそうとはいえ、筆者はヒョンデの提案にも興味が湧いてくる。

ヒョンデi30 ファストバック 1.5 T-GDi 160PS Nライン(英国仕様)
ヒョンデi30 ファストバック 1.5 T-GDi 160PS Nライン(英国仕様)

トヨタカローラ・スポーツやフォルクスワーゲン・ゴルフなどが属するCセグメントでは、スタイリッシュな選択肢は少ない。ハッチバックではない何かを、とお考えの向きには歓迎されるだろう。

ヒョンデi30 ファストバックは、2021年にマイナーチェンジを受けている。それと同時に、グレード設定も簡素化された。ファストバックの場合は、スポーティなNラインと呼ばれるグレードのみとなっている。

エンジンはマイルド・ハイブリッドの1.5L 4気筒ターボガソリンのみ。トランスミッションは、6速マニュアルか7速デュアルクラッチ・オートマティックが選べる。試乗車には後者が載っていた。

スポーティなスタイリングとトリムグレードが与えられたi30 ファストバックだが、実際に運転してみても期待通り。意外と、肩透かしだったりするモデルが多いのだが。

好感触なシャシーと、充分活発なエンジン

フォード・フォーカスが備える、ドライバーの気持ちを鼓舞するような流暢な走りとまではいえない。しかし、i30 ファストバックも遠からずといった印象がある。

ステアリングの反応は正確で、挙動も自然。意欲的にフロントノーズが反応し、カーブが続く英国郊外の道を楽しませてくれる。

ヒョンデi30 ファストバック 1.5 T-GDi 160PS Nライン(英国仕様)
ヒョンデi30 ファストバック 1.5 T-GDi 160PS Nライン(英国仕様)

Nラインには、引き締められたサスペンションが組まれる。乗り心地は硬めなものの、不快に感じるほどではない。路面の継ぎ接ぎや凹凸などを、巧みに吸収してくれていた。

低速域でも高速域でも、細かな入力が連続すると若干手に負えなくなる様子。それでも基本的には安定していて、路面と息を合わせるように走ってくれる。

ステアリングホイールから手のひらへ伝わる感触は薄い。特に切り始めが顕著で、シャシー自体の仕上がりが良いだけに、少し惜しいと感じた。

最高出力159ps、最大トルク25.8kg-mとたくましい4気筒エンジンも、意欲的にi30 ファストバックを走らせる。現代の水準では驚くほど速いわけではないものの、必要以上の動力性能を与えている。

パワーの発生は滑らかで、ノイズも静か。回転の質感も良い。4気筒エンジンをアシストする電圧48Vのマイルド・ハイブリッドが組み合わされ、燃費は普通に運転していても14.5km/L程度は得られるようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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