走りの魅力の幅を拡張 BMW M135i xドライブへ試乗 小変更 硬軟2つの個性

公開 : 2022.05.15 08:25

BMWの高性能ハッチバックがマイナーチェンジ。Mスポーツとアダプティブのサスの違いを、英国編集部が確かめました。

改良のテーマは魅力の幅を広げること

BMW 1シリーズが前輪駆動になったのは、2019年。後輪駆動と惜別しつつ、フォルクスワーゲン・ゴルフRに対峙する、四輪駆動のM135i xドライブもラインナップしてきた。BMWらしい高級感を備える、能力に長けたホットハッチに仕上がっていた。

それから数年が経ち、1シリーズもアップデートの時期が来たようだ。2024年に予定されるモデルチェンジまで訴求力を維持するべく、主にメカニズムへ変更を受けている。試乗車の鮮やかなサンパウロ・イエロー塗装なども、選べる様になったけれど。

BMW M135i xドライブ(欧州仕様)
BMW M135i xドライブ(欧州仕様)

BMWによれば、主にMスポーツ・サスペンションの特性に焦点を当て、運転を愛するドライバーのためのM135iとして魅力の幅を広げることが改良のテーマ。同時に英国仕様では、アダプティブ・サスペンションの指定も可能。親しみやすさも変わらない。

Mスポーツ・サスペンションのスプリングとダンパーはチューニングを受け、フロントのキャンバー角は2度へと強められている。ホイールは19インチとなり、ブッシュやマウント類は精度を高めるため、剛性を増したという。

またスピーカーを介して車内で響く、エンジンやエグゾーストの人工サウンドを拡張。ブレーキ制御によるトルクベクタリング機能は強力になり、四輪駆動システムのxドライブにも手が加えられた。タイヤはミシュラン・パイロットスポーツ4を装着する。

突出したトラクションを持つホットハッチ

今回のアップデートで、Mスポーツ・サスペンション版とアダプティブ・サスペンション版、2種類のM135iの性格分けが明確になった。無限と思えるようなトラクションを備える、前輪駆動のホットハッチという点では共通しているが。

トルクステアを減らすことを意図した、チューニングの効果は明らか。ただし、フォード・フォーカス RSのように、自由にテールを振り回せるタイプではない。

BMW M135i xドライブ(欧州仕様)
BMW M135i xドライブ(欧州仕様)

BMWがパフォーマンス・コントロールと呼ぶトルクベクタリング機能により、以前より俊敏性は高められている。グリップの限界領域近くまでコーナーを攻め込むと、システムがイン側のブレーキを調整しラインを保とうとする働きを感じ取れる。

介入が自然というわけではない。だが、面白いと感じるドライバーも多いだろう。

今回の試乗ではMスポーツとアダプティブ、両方のサスペンションを味わった。乗り心地はMスポーツの方が明確に硬く、当初はアップデートの成果へ少し疑問を抱いたことも事実だ。

しかし、ペースを速めていくと印象も変化。パイロットスポーツ4と協働し、コーナリングスピードは明らかに高い。よりダイレクトで意欲的に操れる。

惜しいのが、ステアリングホイールに伝わる情報が薄い点。シャシーには、もっと自由度の高いバランスが与えられていても良いとは思う。必ずしも、Mスポーツ・サスが一般道をより楽しめるとは限らないだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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