満タン+満充電で何km走れる? ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッド 800kmのクルマ旅 後編

公開 : 2022.05.21 09:46

美しく希少なRタイプ・コンチネンタル

P&Aウッド社には、広いワークショップが備わっている。真新しいベンテイガ・ハイブリッドを移動させ、1950年代のベントレーRタイプ・コンチネンタルと並ぶように駐車した。

ワークショップには複数のクラシックが止まっていた。1台は地金が露出し、徹底的なレストア最中の状態。もう1台は、別のショップでレストアされた内容を、再評価している途中らしい。もうじき届けられる予定のクルマもある。

P&Aウッド社のワークショップの様子
P&Aウッド社のワークショップの様子

Rタイプのコンチネンタルは、美しく希少な、ベントレーを代表するクーペの1つだ。その頃の英国車といえば、スタンダード10やヒルマン・ミンクスなど。さぞかし、素晴らしく感じられたことだろう。時間を忘れたように見入ってしまった。

ちなみにクラシックをお探しなら、Rタイプ・コンチネンタルは案外お買い得だったりする。ジョルジーナも、現在の価格を現実的な水準にあると評価している。といっても、お手頃ではないけれど。

状態が良いものでも、60万ポンド(約1億80万円)から70万ポンド(約1億1680万円)で探せるという。数年前なら、100万ポンド(約1億6800万円)ほどしていた。

筆者もRタイプ・コンチネンタルは好きな1台だ。もし買うなら、モデルに精通したP&Aウッド社から購入するだろう。手の届くところにはないとしても。

もっとゆっくりしていたかったが、午後4時に再びクルーに向けて出発。彼女たちとは、グッドウッド・サーキットのイベントで再会するはずだ。

ベンテイガ HVでの800kmは喜びの連続

今回の旅をフォルクスワーゲントヨタルノーで走っていれば、もっと我慢を強いられたかもしれない。しかし、ベンテイガ・ハイブリッドでの800kmは喜びの連続だった。

クルーまでの距離が200km、100kmと短くなる毎に、旅の終わりを惜しみ始めた。長距離を快適に過ごせる能力は、従来どおり。PHEVのパワートレインは穏やかで、クリーミーなささやきを放つ程度に過ぎなかった。

ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッド(英国仕様)
ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッド(英国仕様)

トリップメーターの走行距離は788km。クルーまで34kmというところで、駅に立ち寄りフォトグラファーのエドレストンを降ろす。彼は翌日、別の場所で早朝から仕事があるらしい。

時刻はもうすぐ20時。洗練されたクルマでの長距離旅行という体験に、感謝したい気持ちになった。

5時半に出発し、822kmを走り、2か所の目的地で合計3時間の会話を楽しんだ今回の旅。最終的な平均燃費として、11.2km/Lという数字が示された。クルーのホテルで、心地良い眠りにつこうとも考えた。

だが、まだ新鮮な気持ちが残っていた。75kmほど走れるガソリンも残っていた。ラジオからは、活気良くサッカー試合の中継が流れている。ベンテイガ・ハイブリッドは、もう少し走りたいと静かに訴えているように思えた。

筆者はホテルを諦め、210km南の自宅を目指した。ベッドに横になれたのは、午後11時過ぎ。長い1日になったが、最高の1日だった。

ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッド(英国仕様)のスペック

英国価格:15万5000ポンド(約2588万円)
全長:5125mm
全幅:1998mm
全高:1728mm
最高速度:254km/h
0-97km/h加速:5.2秒
燃費:28.7km/L
CO2排出量:79g/km
車両重量:2620kg
パワートレイン:V型6気筒2995ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:13.3kWh(実容量)
最高出力:449ps/5300-6400rpm(システム総合)
最大トルク:71.2kg-m/1340-5300rpm(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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