見た目も走りもラグジュアリー ジェネシス・エレクトリファイド G80へ試乗 航続距離519km

公開 : 2022.06.25 08:25

クラシカルな雰囲気に独特の訴求力

エレクトリファイド G80がベースとするのは、ヒョンデのマルチパワートレイン・アーキテクチャ。ジェネシスは、カーボンファイバーなど様々な軽量素材を利用し、46kgの軽量化を果たしている。

内燃エンジンは降ろされるが、駆動用バッテリーとモーターを搭載することで、結果的に内燃エンジン版のG80より400kg増え、車重は2325kgある。ねじり剛性を向上することで、それに対応している。

ジェネシス・エレクトリファイド G80 デュアルモーターAWD(欧州仕様)
ジェネシス・エレクトリファイド G80 デュアルモーターAWD(欧州仕様)

実車を目の当たりにすると、どこかクラシカルな雰囲気が漂い、独特の訴求力がある。ルックスは、基本的に内燃エンジンで走るG80と大きな違いはない。

観察すると、フロントグリルは格子状のデザインが施されたパネルに置き換わっている。バンパーと19インチのアルミホイールも、エレクトリファイドの専用となる。

洗練された印象のインテリアも、変更点は少ない。掛け心地の良いレザーシートが標準装備で、空間はゆったりしている。小さなスイッチ類まで、操作系は見た目だけでなく触感も良い。

大きなタッチモニターがダッシュボードに載っているが、実際に押せるハードスイッチもしっかり残されている。リアシート側にも、独立したコンソールがある。豪奢な雰囲気が漂い、よほどの目利きでない限り不満は感じないだろう。

ラグジュアリー寄りにあるという違い

発進させてみても、品の良い質感は保たれる。パワートレインは滑らかで静かだし、ノイズキャンセリング機能が備わり、車内空間の静寂性は一層高められている。

サスペンションは、よほど大きな凹みなどを通過しない限り、衝撃を見事に吸収。カメラ映像を利用し、前方の路面を監視してアダプティブダンパーを制御する機能も搭載し、内燃エンジン版のG80より装備も充実している。

ジェネシス・エレクトリファイド G80 デュアルモーターAWD(欧州仕様)
ジェネシス・エレクトリファイド G80 デュアルモーターAWD(欧州仕様)

そして速い。太いトルクを活かし、スルスルとスピードを乗せていく。追い越し車線を積極的に使うような長時間の高速道路移動も、安楽にこなすことができそうだ。

とはいえエレクトリファイド G80は、どちらかといえばリラックスしてクルージングする方が向いている。ステアリングは程よく重く、操舵感も正確で反応を予測しやすいが、惹き込まれるような楽しさがあるとはいいにくい。

動的能力の仕立ては、スポーティ寄りではなく、ラグジュアリー寄りにある。スタイリングの雰囲気とも一致している。

純EVのエグゼクティブ・サルーンとして、エレクトリファイド G80には褒めるべき点が数多くある。技術的にも豪華さでも、不足を感じる部分はないといえる。

ゆったりとした走り味には、多くがスポーティ方向になびいている時代にあって、ジェネシスとしての違いを感じる。その個性を歓迎したいと思う。

ジェネシス・エレクトリファイド G80 デュアルモーターAWD(欧州仕様)のスペック

英国価格:7万9410ポンド(約1294万円/試乗車)
全長:4995mm
全幅:1925mm
全高:1475mm
最高速度:223km/h
0-100km/h加速:4.9秒
航続距離:519km
電費:5.2km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2325kg
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
バッテリー:87.2kWhリチウムイオン
最高出力:369ps
最大トルク:71.2kg-m
ギアボックス:−

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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