初代からブレない訴求力 新型キア・ニロEVへ試乗 航続458kmの電動クロスオーバー

公開 : 2022.07.18 08:25

欧州で堅調にシェア拡大を続けるキアに、新型のBEVクロスオーバーが登場。英国編集部が一般道で評価しました。

駆動用モーターとバッテリーは先代譲り

欧州でカー・オブ・ザ・イヤーを獲得した、キアEV6。そんな好調な韓国ブランドの評判を固めてきたモデルが、ニロと呼ばれるコンパクト・クロスオーバーだ。

英国では、2021年に売れたバッテリーEV(BEV)のなかで、上位2番手にランクインしていたのがeニロと呼ばれるBEV版。手頃な電動モデルのベーシックな選択肢として、ユーザーからの支持を集めていた。

キア・ニロEV プロトタイプ(英国仕様)
キア・ニロEV プロトタイプ(英国仕様)

そんなeニロは2代目へモデルチェンジし、ニロEVへ改名された。それでも初代は、販売終了直前まで堅調に売れていたようだ。市場ニーズの強さを示すものだといえる。

成功といえる結果を残した初代から、どうモデルチェンジさせるのかは重要な課題だ。せっかく築き上げたブランド像を、台無しにもしかねない。キアの意気込みは大きかったはず。

新型のニロEVには、先代と同じ203psを発揮する駆動用モーターがフロントに載り、前輪を駆動。駆動用バッテリーの容量も、64.8kWhで変わらない。だが、新設計のマルチパワートレイン・プラットフォームを基礎骨格にしている。

キアはE-GMPと呼ばれる、BEV専用プラットフォームの開発に多額の投資を行ってきた。一方でニロは先代と変わらず、内燃エンジンを搭載する通常のハイブリッドと、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)も選択が可能となっているためだ。

ちなみに英国の場合、販売された先代のニロの半数がBEVだった。かなりの割合といっていい。

大胆なスタイリング 質感の良いインテリア

スタイリングは、大幅に一新された。初代は白物家電的な、個性の薄いデザインだった印象だが、2代目はしっかり主張を強めている。見る角度によっては大胆にすら感じる。

特にボディカラーとは異なる色で塗られるCピラーと、一体のテールライトの処理は目新しい。読者は、ホワイトとシルバーの2トーンはお好みだろうか。カバーの掛かったフロントグリルなど、BEVとしての差別化も図られている。

キア・ニロEV プロトタイプ(英国仕様)
キア・ニロEV プロトタイプ(英国仕様)

インテリアデザインは、EV6との共通性を感じる。インフォテインメント用タッチモニターの下に用意された多機能タッチセンサー・パネルや、持続可能性に配慮された質感の良い素材など、特徴を受け継いでいる。

タッチモニターの操作性も良好。実際に押せるハードボタンも多く残されている。メーターパネルは10.25インチで、ヘッドアップ・ディスプレイも10インチという大きな表示エリアがある。鮮明で読みやすい。

EV6はE-GMPプラットフォームの採用で、車内空間は広大。ニロEVの車内もそこまで広くはないものの、このセグメントのBEVクロスオーバーとしては有利といっていい。

各所に小物入れが用意され、USB-Cポートも準備されている。乗員空間は、前席も後席もゆとりがある。荷室容量は475Lで、PHEV版のニロより広い。フロント側にも20Lの収納が設けられている。

駆動用バッテリーの電気を外部に給電する、コンセントをオプションで設定できる。キャンプだけでなく、災害時などでも有用だ。多彩な運転支援システムは標準装備となる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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