アルテオンのご先祖 フォルクスワーゲン・パサートCC 英国版中古車ガイド 快適なクーペ

公開 : 2022.08.15 08:25

スタイリッシュなVWアルテオンのご先祖にあたる、パサートCC。快適性重視の4ドアクーペを、英国編集部が振り返ります。

コンフォート・クーペの頭文字

世の中には、現役時代に充分な評価を得られなかった人がいる。それはクルマでも同じ。フォルクスワーゲンパサートCCは、そんな1台だ。

2008年に販売が始まり、マイナーチェンジを経て2017年まで生産が続けられた。誕生のきっかけとなったのが、メルセデス・ベンツが2004年に発売した4ドアクーペのCLS。後継モデルとなる、アルテオンへの足がかりとなった。

フォルクスワーゲン・パサートCC/CC(2008〜2017年/英国仕様)
フォルクスワーゲン・パサートCC/CC(2008〜2017年/英国仕様)

当時のフォルクスワーゲンにとって、シュツットガルトの老舗に一撃を与えることは重要な目標の1つだった。ラグジュアリー・サルーン、フェートンを開発したことにも、その姿勢が表れている。

CCという2文字は、コンフォート・クーペのイニシャル。見た目とは裏腹に、スポーティという意味は含まれていない。エレガントで滑らかなフォルムの内側には、自宅のように居心地が良いパサートが隠れていた。

全般的に信頼性は高く、製造品質に不満はない。ワインディングでドライバーが満面の笑みを浮かべることはないかもしれないが、安全性にも優れている。

大胆なスタイリングを生み出すために、全長は当時のパサートより長く、全高は低かった。ボディサイドにはフレームレス・ウインドウが与えられ、スマートな雰囲気を一層高めている。

充実装備に高級感が漂うインテリア

欧州市場に存在したパワーユニットは、1.8Lと2.0L、3.6Lのガソリンエンジンと、2.0Lのディーゼルエンジン。英国の中古車市場の場合、主に見つかるのはディーゼルの2.0 TDIのようだ。

この2.0 TDIには、最高出力が140psと170の2種類が存在した。そのなかでパワフルな後者が、経済性と動力性能とのバランスでは長けている。

フォルクスワーゲン・パサートCC/CC(2008〜2017年/英国仕様)
フォルクスワーゲン・パサートCC/CC(2008〜2017年/英国仕様)

トランスミッションは、6速デュアルクラッチ・オートマティック(DSG)か、6速マニュアルを英国では選べた。現在流通している中古のパサートCCの場合、DSGと6速MTの割合は半々といったところ。

新車当時、通常のパサートより高い価格が付けられていたパサートCCだけあって、インテリアには今でも高級感が漂う。標準装備も充実していた。

ベースグレードでも、英国ではスポーツ・サスペンションに17インチ・アルミホイール、オートエアコンが標準。GTグレードの場合は、18インチ・アルミホイールにプライバシーガラス、3モードのアダプティブダンパーが装備された。

2012年にフェイスリフトを受け、フロントマスクなどが一新。キセノン・ヘッドライトとLEDデイライトを獲得し、インテリアの改良を受けている。パワーユニットには1.4LガソリンのTSIが登場したほか、モデル名がパサートCCからCCへ変更された。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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