らしさ満点のファミリーカー シトロエンBX 英国版クラシック・ガイド 見えない錆にご注意 前編

公開 : 2022.09.04 07:05  更新 : 2022.09.04 12:53

見えないところで進行する錆に注意

BXの場合、まだ部品が入手しやすいという点もうれしい。当時のプジョー205や405、シトロエンZXやAX、エグザンティアなどと多くを共有していたためだ。初期の1.4Lドブリン・エンジンは、フランスのシムカ社のモデルも採用していた。

ただし、GTiは少々状況が異なる。専用設定のホイールやブレーキを搭載し、部品も入手が難しい。そのかわり、搭載するエンジンはサウンドが賑やかなものの、ホットハッチとしてパフォーマンスは高い。

シトロエンBX(1982〜1994年/英国仕様)
シトロエンBX(1982〜1994年/英国仕様)

グレードやエンジンを問わず、操縦性は良好。アンチロールバーはGTの方が硬いものの、スポーティなフレンチ・ホットハッチを探すなら、GTiがベストといえる。

BXの持病といえるのが、シャシーやボディの見えないところで進行する錆。患部にアクセスし、適切な処置を行うには時間だけでなくコストも必要になる。エンジンルーム周辺やリアアクスル・マウントなどは、最も手間のかかる部位といえる。

初期型のボンネットと、リアハッチやバンパーは樹脂製で錆びず軽量だが、修理が難しく塗装も劣化しやすい傾向がある。初期のディーゼルエンジンのBXでは、後期型と同じくスチール製のボンネットが載っている例もあるようだ。

シトロエンのハイドロニューマチック・サスペンションは、魔法のじゅうたんのような乗り心地を提供してくれる。英国のコブのように膨らんだ橋桁の継ぎ目は、少々苦手なようではあるけれど。

オーナーの意見を聞いてみる

英国のスポーツカーブランド、TVRのマニアでもあるリチャード・キッチン氏。シトロエンBXやSMにも、同じくらいハマっているらしい。「小さい頃からクルマが大好きでした。父が初期型のBXに乗っていて、自分も大好きだったことを覚えています」

「格好良く見えましたし、当時のファミリーカーのなかでも特徴的なデザインでしたね。長距離旅行にもピッタリでした」

シトロエンBX(1982〜1994年/英国仕様)
シトロエンBX(1982〜1994年/英国仕様)

「これまで20台以上のシトロエンBXを乗り継いでいます。探すのが難しい部品もありますが、オーナーズクラブは良心的で、現実的なアドバイスを聞けるので助かっています」

「この初期型の19 GTは2018年に入手し、レストアして父へプレゼントしたクルマです。走行距離は30万kmを超えていましたが。普段乗っているのは真っ赤なBX。よくできたドライバーズカーだと思いますよ」

「2004年に購入した時、モダンクラシックとして価値が上がるだろうという自分の意見は相手にされませんでしたが、近年は着実に価値が高まっているようです。特に初期型のBXは発見が難しいですね」

「最近、2万7000km位しか走っていない初期型のBX 16 TRSを発見しました。わたしが子供の頃に、父が乗っていたBXと同じグレードなんですよ」

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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