327psは同社最強 マツダCX-60へ英国試乗 2.5L直4+モーター ブランド初のPHEV 後編

公開 : 2022.09.05 08:26

マツダ初のPHEVとなるCX-60。シャシーやインテリアは優れるものの、パワートレインの仕上がりを英国編集部は指摘します。

運転に惹き込まれる好印象なシャシー

マツダ初のPHEVとなるCX-60。車重は2tを超える大柄なSUVながら、シャシーは好印象。試乗車は20インチという大きなアルミホイールを履いていたものの、舗装状態が褒められない英国の一般道をそつなく処理していた。

四輪駆動システムが後輪へ積極的にトルクを分配することはないようだが、トラクションは高くアンダーステアも抑えられている。乗り心地は、うねりを伴うカーブの連続する区間でも、落ち着いていて快適性は失われにくかった。

マツダCX-60 PHEV AWD タクミ(英国仕様)
マツダCX-60 PHEV AWD タクミ(英国仕様)

マツダは、アダプティブダンパーを設定していない。この路面への追従性やしなやかさを考えれば、確かに不要そうだ。

コーナリングスピードが高くなると、明確にボディロールする。ステアリングホイールには、もう少し繊細なフィードバックが伝わってきてもいい。それでも、この車格のSUVとしてレスポンスは鮮明。運転に惹き込まれるものがある。

試乗車の動的能力を制限しているように感じたのが、安定性や燃費重視のブリヂストン・アレンザというタイヤ。CX-60のシャシーなら、もっとグリップ力の高いチョイスでも良いだろう。

現代的で上質なインテリア 後席はやや狭め

インテリアは、現代的で日本的なデザインに仕立てられており、マツダらしく素晴らしい。最上級のタクミ・グレードの場合は、ウッドパネルやダッシュボードのクロス張り化粧パネルなど、用いられる素材も上質だ。

ドアのパネルには、本物の金属を用いた細長い装飾トリムもあしらわれている。筆者は、1950年代の華やかなキャデラックを思い出してしまった。

マツダCX-60 PHEV AWD タクミ(英国仕様)
マツダCX-60 PHEV AWD タクミ(英国仕様)

ダッシュボード中央には、12.3インチのタッチモニターが据えられる。エアコン用に独立した操作パネルがあるのもうれしい。

ただし、アップル・カープレイとアンドロイド・オートは画面へ触れた操作が可能なのに対し、英国仕様のマツダ独自のナビゲーションは対応していないようだった。利便性を大きく下げるものではないけれど。

フロントシート側の空間は広々していて、丁度いいドライビングポジションを探しやすい。リアシート側は背もたれが起き気味で、比較すると狭め。高身長のドライバーが座った後ろ側の席は、大人には少々窮屈かもしれない。

荷室容量は大きく、570Lある。CX-60の兄弟モデルとして、同じモジュラー・アーキテクチャを採用し3列シートを備えた、CX-80も控えている。リアシートの広さなど、実用性を重視するなら少し待ってこちらを検討するのも悪くない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マイク・ダフ

    Mike Duff

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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