死ぬまでに1度は運転したい ポルシェ 911 GT3 + GT3 RS(997型) 英国版中古車ガイド 

公開 : 2022.09.22 08:25

2006年から販売された997型911 GT3とGT3 RS。価格以上に価値のあるポルシェだと、英国編集部は評価します。

研ぎ澄まされた走りを求めるドライバーへ

現世代のポルシェ911の素晴らしさへ慣れた頃、一層の高みや刺激を求めて設定されるのがGT3シリーズ。この特別なグレードは、1999年の996型ポルシェ911に初めて設定された。サーキットへ焦点を当てた、公道モデルとして。

当時のポルシェの目的は、かつてのクラブスポーツのような、モータースポーツを楽しむベースモデルを提供することだった。しかし、必然的に素晴らしいロードカーへと発展した。今回取り上げる997型も、まさにそんな1台といえる。

ポルシェ911 GT3 RS(997型/2006〜2011年/欧州仕様)
ポルシェ911 GT3 RS(997型/2006〜2011年/欧州仕様)

2004年に発売された997型へ、2006年から設定されたGT3は、研ぎ澄まされた走りを純粋に求めるドライバーの最高の相棒といえた。自然吸気の水平対向6気筒エンジンに、マニュアルのトランスミッションが組み合わされ、類まれな操縦性を叶えていた。

マニアでは997.1と呼ばれる、前期型のGT3がリアに搭載したのは3.6Lの水冷フラット6で、最高出力415psを発生。磨き込まれた6速MTが組み合わされ、0-97km/h加速を4.3秒でこなした。

走りを徹底的に追求するドライバーへ向けられていたのが、GT3 RS。サーキット前提の内容が与えられ、車重はGT3の1395kgから20kgもダイエット。ワイドなリアトレッドと、大きなリアウイングで違いをアピールしていた。

エンジンと6速MTは基本的にGT3と同じながら、0-97km/h加速は4.2秒。僅かとはいえ、しっかり短縮している。

積極的に運転するほど充足感も増大する

2009年にフェイスリフトを受け、997.2と呼ばれる後期型のGT3が登場。排気量が3.8Lへ拡大し、最高出力と最大トルクも増えている。

977.2のGT3では435psを獲得。0-97km/h加速を4.1秒でこなし、前期型のGT3 RSを凌駕した。そこで2010年に追加された後期型GT3 RSでは、最高出力を450psへ増強。0-97km/h加速を4.0秒へ縮めている。

ポルシェ911 GT3 RS(997型/2006〜2011年/欧州仕様)
ポルシェ911 GT3 RS(997型/2006〜2011年/欧州仕様)

スポイラーのデザインが新しくなり、オプションでボディステッカーも選べるように。よりレーシングカー的な雰囲気に仕上げることも可能だった。

ポルシェ911は、洗練された鋭い操縦性を楽しめるスポーツカーだが、GT3やGT3 RSはさらに1段上を行く。ステアリングホイールやシフトレバーなど操作系の重み付けは完璧で、反応はピタリと正確。特別な911であることを実感できる。

リアエンジンでありながらシャシーバランスも素晴らしく、グリップは絶大。ドライバーへ大きな自信を与えてくれる。後に電動化されるパワーステアリングより、操舵時の感触も素晴らしい。

8000rpm以上まで吹け上がる、フラット6の雄叫びは聴き応えたっぷり。心地いい6速MTでギアを選択し直すことで、何度もその音響に浸ることができる。

997.1のGT3でも977.2のGT3 RSでも、今も最高水準の911にあるといって過言ではない。その魅力を知る人は多く、近年の取引価格は10万ポンド(約1650万円)を超えることが通例だ。

確かにお手頃ではないが、積極的に運転するほど充足感も増大していく。価格以上に価値のある911だといえるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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