ランボルギーニ・アヴェンタドール LP700-4

公開 : 2014.08.14 10:40  更新 : 2017.05.25 07:36

さあ、今月からスタート!

わが家のガレーヂにやってきて、ほぼ一ヶ月が経った。とはいえ、実際にステアリングを握ることができたのは、わずかに3回。海外出張が重なって、身動きが取れなかったことが大きいが、もう一つ理由があった。

それは後述するとして、そのわずかな機会を利用して参加した「スーパーカーラリーチャレンジ2011東京ステージ」(主催NASC)の“奮戦記”を記念すべき初回のレポート代わりにしたい。

まあ、奮戦、と言っても、長丁場のラリーイベントでもあるまいし、東京〜千葉往復の半日ドライブのようなもので、コチとら最新らくらくバージョンを転がしているだけだから、乗ってる本人に苦労も疲労もヘチマもないわけだが、いろんなスーパーカーやクラシックカーたちと一緒に走る歓びは、何物にも代え難いものだ。

そう、このイベント、スーパーカーラリーと銘打ってはいるものの、クラシックカーも混走してくれるものだから、筆者のように“どっちも好き!”人間にとっては、正に一粒で二度美味しい、たまらないイベントなのだった。

東京プリンスを出発して、神田明神にお参りし交通安全を祈ったのち、浅草を抜けて一路、千葉は大栄I C へ。有名な自動車大学校(NATS)でタイム計測ラリーを楽しみ、再びスタート地点に戻るという、気軽なコース設定だ。

居並ぶスーパーカーのなかにあって、ひと際大きくみえたアヴェンタドール。さぞかし運転しづらいでしょうね、と沢山の方から声をかえてもらったけれども、何の、何の、このカレラGTやそのバイパーACR、あのブガッティEB110あたりに比べれば、プリウス転がすようなもんですよ、と答えておく。

実際、運転しやすさは、みなさんの想像を超えるものだとさえ思う。歴代ランボルギーニで最も“乗りやすい”。ガヤルドに比べても、ラク。ラリーにも出ていたが、スーパーレジェーラなんて、コイツの3倍はスパルタンだ。

ただ、ひとつだけ、イタリアで乗ったときと印象が違った点も。それはフロントの硬さ。サンタアガータ郊外の道を走ったときには恐ろしく乗り心地がいいと思ったのだが、東京で乗ると、それがそうでもない。特に、低速域における前アシの突っ張った感じがあまり好きになれない。ランボらしいと言えばそうなのだが・・・。もっとも、これ以上、快適さをおねだりすると、ラグジュアリィカーになってしまう。今だって、運転しているかぎり、本当に静かで快適な乗り物なのだから。
年末までには、箱根のワインディングを駆けておきたいと思っている。

さて。この一ヶ月、ろくに乗れなかったもう一つの理由。それは、前回の取材時に常磐高速を走っている最中に受けた、落下物によるバンパー破損のせいだった。

いきなりの鈑金屋さん、入庫。次回は、その修理報告と、いくつかのマイナートラブル(解決済み)について報告しようと思う。

そうそう、ベローチェ岡戸さんに専用フロアマット(猛牛柄、8万4000円)も注文した。さすが、用意が早いね。それも併せて、次回に

(AUTOCAR No.105 2011年12月24日発売号掲載)

一難去って、また……

まずは、「いきなりの不運!」、について。初取材となった本誌1月号で前橋を目指した際、関越道を走行中に“未確認物体”の攻撃を受けてしまった。何かの破片だろうか、運悪くフロントバンパー左側に物体が直撃。高坂サービスエリアで確認してみたら、1センチほどのキズがくっきりと残されていた。はじめての高速ドライブで、なんたる不運。「年末でよかった、悪い運は早めに流しておいた方がいいもんね」、と開き直って前向きにとらえるほかない。

飛び石と同じ、まったくの不可抗力。なので、保険の特約も利く。そこで修理は、スーパーカーの鈑金補修では定評のある、というか、筆者がクンタッチのレストア以来、全面的に信頼を寄せている、“ガレーヂ・ラン&ラン”の関口さんにお願いすることに。ここは、ランボやフェラーリの修理実績も豊かなうえ、アストン・マーティンの指定工場になっている。塗装クオリティの高さは折り紙付きだ。

小さなキズとはいえ、新車のランボルギーニである。できるだけオリジナルの塗装を残しつつ、分からないように仕上げてほしい、という率直な想いを伝え、あとはおまかせすることに。

結果は、ごらんの通り、(当り前だけれど)まったくもってキズを負った気配なし。チリなどは出荷時よりよくなったとさえ思う。関口さんによれば、ムルシエラゴあたりに比べると1.5倍くらい面倒になったらしい。最大の要因は、複雑なデザイン。以前よりも、見るからに入り組んでいるため、塗りづらいという。凸凹が多いので、クリアのタレもでやすく、そのぶん磨きこみの時間がよけいにかかってしまう。さらに、ムルシエラゴは硬いCFRP製バンパーだったが、今回は熱に弱いPP。変形しないよう台座にしっかり固定してから乾燥しなければならない。アヴェンタドール、性能以外にも、一段と“磨き”がかかってしまったということか。

不可抗力とはいえ、修理に入っている間は寂しいものだ。そのあいだを利用して、何かやっておくことはないだろうか・・・・・・。思いついたのがフロアマットだった。これまたクンタッチの面倒を一手にみてもらっている、“スーパーカー掛け込み寺”アウトモビーリ・ヴェローチェの岡戸さんが以前から、ランボルギーニ各モデル用のオリジナルマットを作ってくれることを思い出したのだ。さっそく、アヴェンタドールの型を取って岡戸さんに製作を依頼。ブラックにオレンジのファイティングブル、車名ロゴ無しという、いたってスタンダードだが迫力満点のマットができあがった。ちなみに費用は8万4000円(税込み)。これで、多少シューズが汚れていても気兼ねなく乗れる(いや、牛様に遠慮してよけい気を遣うのかも知れないなあ)。

気分も新たに参加した年末恒例のドリームオートツーリングでは、早くも2台のアヴェンタドールが並んだ。奇しくも新色二台の揃いぶみ。集った多くのスーパーカーファンには、楽しい光景を見てもらえたんじゃないかと思う。

さあ、これでいい年を越せそうだ、と思っていたら、おつぎは何やら前輪で異音が・・・?!

(AUTOCAR No.106 2012年1月26日発売号掲載)

世界最速の0-100km/h 加速対決、実現?

ともに、そのタイム3秒以下。ブガッティヴェイロン(&ごく少量生産のウルトラスーパースポーツ)を除けば、市販車世界最速のゼロ発進加速を誇る2台が、ハコネにそろい踏み……、と言っても真剣ガチンコ勝負をしたわけではなく、たまたまとある取材で接近遭遇した、というだけの話だけれど、ありそうでなかなかない2ショットの実現だから、せっかくの機会だし、同じコースを走って、乗り比べてみることに。

まずは、公式タイム的にはアヴェンタドールをコンマ1秒上回る、MY12の日産GT-Rから。正直言って、背の高いぶんだけ、こっちの方が加速フィールは強烈。背中が後へビーンとひっぱられる感じが絶対的速さへの恐怖心を煽る。それでいて、マシンはといえば、超安定だ。ワインディング路でも、“目”が行き届くから、がんがん攻めて行ける!

対して、アヴェンタドール。おそらくタイムを計ればそれほど変わらないと思うのだけれども、低い位置で体感する超安定志向の走りは、速度感を失わせる。横を見る暇があればまた別だけれども、ワイドなスクリーンの向う(ほとんど空みたいなもんだけど)を凝視して加速するかぎり、速いと感じないから、スリルも少なめ。ドアの付け根がディアブロのように下がっているので、そこから見るアスファルトの流れの速さに、一瞬たじろぐ程度だ。

ムルシエラゴよりも随分と車両感覚は掴みやすく、ワインディング路も、この手のスーパーカーにしては攻め込みやすい方だが、さすがに“ハコ”のGT-Rには敵わない。そんなクルマがアヴェンタドールの1/8で買える日本在住のボクらはチョー幸せ者だと、素直に思う。

なんだかGT-R礼賛になってしまったけれど、だからって乗り換えたくなるか、というとそれはまた別問題で……。いっそ4ドア版とか、あるいはFFみたいなシューティングブレークが出てくれたら、欲しいよね?。ランボルギーニの4ドアやSUVも気になるけれど。

コッパ・デ鈴鹿に参加した帰り、ふたたびマイナートラブルが発生した。ついこのあいだ、リアスポイラー不調のコーションランプが点いたと思ったら、こんどはエアフロー・フラップ不良のようだ。前回のスポイラー不調は、ディーラーで調べてもらったものの原因が不明で、コンピューターをリセットしたら一応治ったのだけれど、今回はどうだったか。

やっぱり原因不明だった。コンピューターで診断すれば、確かに左側のフラップモーターに問題あり、と出てくる。けれども、なぜそうなったのか、がよく分からない。結局、リセットしてみるほかなく、すれば治る(というか、イエローランプは消える)。

なんとなく気持ちが悪いなあ、と思っていたら、またしても……?!。定期点検も近いし、いちど徹底的に調べてもらった方がよさそう。もっとも、ムルシエラゴと違って、新しいエンジンはとても安定している。エアフラップが必要な場面など、ハードなサーキット走行以外、そうそうないとは思うのだが。

(AUTOCAR No.107 2012年2月26日発売号掲載)

スーパーカー冬眠の時期

海外出張が重なった合間をぬって走らせようにも、いきなりドカ雪に見舞われてしまったりと、やっぱり2月まではスーパーカー冬眠の時期。3月以降にはイベントも目白押しだし、ここはじっくり眺めて待つしかない……ではネタにならないので、納車されてから気になっていたところ「イジって」みた。それは、フェンダーに付く小さなカバー。

特に高性能輸入車にありがちな対策なんだけれども、タイヤが少しでもはみ出ていると、それをカバーするためのプラスチック部品がフェンダー内に仕込まれていたりする。コレが妙に格好悪い。いや、気にしなければ別にいいんだけれども、いったん気になると、どうにもそこにばかり目がいってしまう。

取り外すのも面倒だし、いっそ削ってしまえということに。グラインダーを使って、間違ってもフェンダーをガリっとしないよう、爪を磨くつもりで削ぎ落とす。よくみれば多少凸凹しているけれども、パッと見には気付かない。いや、削ったことなど誰も気付かないだろうから、完全に自己満足である。

それほど遠出したくないというこちらの気持ちを良いことに、またぞろエアフラップのトラブル・コーションが出た。前回、鈴鹿に行った際に点いたものが、一端消えて、また点いた。これでは全開走行を慎まざるをえない。昔に較べて、それほど「熱く」ならないエンジンとはいっても、何かと気持ちの悪いものだ。

もうひとつ、文句の言いついでに言っておく。助手席のドアが中から重くて開けづらい。女性は、まずもってしんどい。運転席側はそうでもない。頻度問題というには、それほど開け閉めしているわけでもないと思うのだが……。

いずれも早めに対策を考えたいと思う。

ジュネーブでは「イオタ」が出た。まあ、それほど食指は動かないが、あのディテールがこれからいろんな派生モデルに使われることだろう。エアロ屋さん、要注目でっせ?。本当のロードスターは秋にデビューするらしい。

(AUTOCAR No.108 2012年3月26日発売号掲載)

クルマがようやく目を覚ました!

結局、リヤエアフラップ不調の原因はわからずしまい。初回点検を機に、念のため両方のフラップ用モーターを交換してもらうことになった。ついでに、重くて車中からは開けにくくなっていた助手席シザードアも、ダンパーを換えてみることに。さらには、気分転換も兼ねてエンジン、ミッション、デフ、4WDなど油脂類をすべて入れ替えてもらった。

国内外でのイベント続きで、ゆっくり乗る暇もなかったわけだが、ランボルギーニ江戸川から帰ってきたLP700を久しぶりに乗ってみて驚いた。クルマがいきなり勝手に“こなれる”なんてことはあり得ない。

それはそうなのだけれども、それに近い印象を得た。転がした瞬間に、路面からの当たりのやわらかさを感じ、サスの動きにもウエット感が出てきたように思えたのだ。

嬉しくなって思わずノーズを高速道路に向けてみれば、今度はエンジンの調子がすこぶるいい。レスポンスがよりいっそうシャープになり、4000rpmあたりからの力強さに“ノリ”が出てきた。より精密さが増したとでも言おうか。

エンジンによってパワーという血流が車体の隅々までキレイに行き渡り、一個の生命体になったかのように反応よく走る。そのままどこまでも加速し続けていたい誘惑に駆られてしまったほどだ。このフィール、ヤミツキかも。
ランボルギーニらしくもあるし、新境地でもある。決して別ものになったわけではないけれども、進化したことは明らか。心なしか、ミッションの反応にもダイレクトさに加えて、しなやかさが出てきた。そう、クルマ全体がようやく目を覚ましたような、別次元のライドフィールになっていたのだ。しばらく見ないうちに……。

もちろん、エアフラップの異常は、今回出なかった。ドアの開き方も、明らかにスムースになっている。これでまた、気持ちよくドライブすることができそう、と、調子にのって走らせていたら、またもや飛び石が。今度は横窓ステーに当たって……。好事魔、多し。

(AUTOCAR No.109 2012年4月26日発売号掲載)

50周年に向けて、いろいろ画策中

走行距離もぶじ5000kmに達し、まわり(主にクルマ屋さん)からは“乗り過ぎ”とのご指摘を受けることがままあるわけだけれども、そのたびに、“大丈夫です、心配せんといて。アナタには売りませんから”、と受け流すことにしている。好きで手に入れたクルマは乗って、楽しんでナンボ、なのだから。

点検から帰ってきてからのライドフィールが劇的に良くなって、調子にのっていたら、窓枠レースに飛び石が……。ガラスに当たらなくて良かったと思うか、いっそ当たってくれた方がよかったと思うかは、修理コスト次第というわけだが、はたして、窓枠の部番はあれども価格が未設定になっているらしい。よりにもよってそんなとこ、ぶつけるヤツなんか、そうはおらへんってことか。だからといってガラスに当たって欲しかったとも思わないけれども……。

春になって海外出張もまた増え始め、なかなか乗る触るどころか、見る機会も減ってきたが、ひとつ画策していることがある。それは、ホイールの交換。ジュネーブ・ショーで話題をさらった限定1台のJ(しかし、ここでこの名前使うてまうか……。まあ、昔も1台しかなかったわけやし、ヘリテイジの整合性はある)が、ひとまわり大きなサイズを履いていたのだけれど、これがオプションのインチアップ・サイズ(前265/30-20、後355/25-21)になることは間違いない。ピレリから、新しいPゼロのラインナップに、このリアサイズのものが今年中にリリースされる予定だというから、ひょっとするとその先のアウ゛ェンタドール特別仕様(いわゆるSV)も見据えてのことかも知れない。

狙うホイールは、スーパーフォージドのHF-07。最新ランボルギーニのイメージによくマッチする、迫力の鍛造品だ。

タイヤのリリースを待っての装着。来年の50周年イベントには間に合いそうだ。

あわせて、クンタッチの方も手を入れていかなきゃ……。できれば来年5月にイタリアで開催されるランボルギーニ・デイに、愛車のクンタッチで出てみたいものです。一生に一度のことだしねえ。

(AUTOCAR No.110 2012年5月26日発売号掲載)

静岡ホビーショーに展示しました

このところ、“カノジョ”はボクよりも忙しいのだ。立派なブースの上で華麗にスポットライトを浴びていたかと思えば、ゼロヨン大会やワンデイラリーに参加したりと、引っ張り“牛”。

特に、静岡ホビーショーでの人気は、すごかった。業者日からブースの周りには人が絶えず、一般日には人だかり。もちろん単なる客寄せで展示されたわけじゃない。アオシマからアヴェンタドールのプラモデルが発表され、それにちなんでの展示だ。ディテールを造り込みたい本格派モデラーにとって、実物を仔細にながめ、記録に収める機会はとても大切。日本に上陸している数も少なく、実物を初めて見る人も多いはず。このアヴェンタドールは、モデラー諸氏に貴重な機会を与えていた、というわけ。

それにしても立派な舞台だ! 認定プラモデルを発表する場に実車を展示すると本国に打診したら、細かくCIの注文がきたらしい。ガレージに余裕があれば、もらって帰りたかった。

プラモデルは試作品を見たが、かなりいい雰囲気。最近のプラモデルって、ディテールの再現が凄いのね! 20年以上作ってないし、久々にハマってみたい気分に。オトナになってから入ると、カタチから入り、塗装ブースや飾る棚に凝ったりと、大掛かりになりそうで怖い。まあ、それがオトナの趣味、なのだろうけれど。

ホビーショーには、もうひとつアヴェンタドールがいた。それは個人的にも大好きなオートアート製のミニカー。基本的に1/43を集めている筆者も、オートアートだけは1/18も好んで飾る。むしろ、でかい方が好きなくらい。ディテールの造りこみはもちろん、各部開閉にもこだわっていて、ソッコー予約しなきゃ。

晴れ舞台に気を良くしたのか、クルマの調子は絶好調だ。エンジンのツキは良くなる一方で、心なしか足回りもこなれてきた様子。

そう、イタリア車オンリーのラリーイベント、軽井沢アズーリに参加したときのこと、助手席に人を乗せてみたら、ちょっとした弱点が見つかった。

ゼロヨン結果と併せて次号で詳しく報告。

(AUTOCAR No.111 2012年6月26日発売号掲載)

イタ車のラリーに参加してみました

某誌の企画でゼロヨン大会に参加。プロのドライブで、なんと11秒を切り、千馬力の改造GT-Rに次いで2位に入った。ゼロヨン10秒台は、ドラッグ専用マシンじゃあるまいし、すごすぎる。しかも、ローンチコントロールを使えば、基本的に誰だって叩きだせるわけだから、いやはや、大変な時代になったもんだ。

ゼロヨンに参加したのち、念のため、ディーラーに入れて後整備。同時に、アップデート・プログラムを入れてもらう。トランスミッションとエンジン・マネージメントに変更が入ったようだ。帰ってきたクルマのエンジンを掛けてみれば、確かに、最初のむやみやたらなバクハツスキームが、わずかに和らいでいる。希望を言えば、単に和らげるのではなく、キレのいいファーストアタックにして欲しかった。何となく、アクセル間違えて踏んじゃっているよコイツ的な恥ずかしさは、いまだ残ったままだ。

トランスミッションの方は、気持ち、オートマティック走行での変速(特にシフトアップ)が滑らかになった気もするけれど、こればかりはクルマが慣れてきたという側面もあるだろうし、一概には言えないと思う。

軽井沢で行われた、イタ車だけのタイムラリーイベント、“軽井沢アズーリ”に友人のディアブロGTと一緒に参加した(時系列的には、こちらがゼロヨンの前でしたが)。

以前からよく知っているイベント。どうもフィアット・グループ系色が強くて、ランボはどうした! と常々思っていたものだから、今回、ド派手な2台の猛牛で参加できて、何だか嬉しい。フィアット・ジャパン広報のクロイワ氏には申し訳なかったけれど(笑)。

ナビを乗せて、道案内してもらいつつ、タイムの正確さを競う公道ラリー。アズーリは、その簡易版のようなもので、お気軽に参加できるのが魅力。もちろん、ボクも助手席に友人を乗せて参加したのだが、クルマ慣れしているはずの彼が、午前中の行程を終えるころ、気持ちが悪いと言い出した。何でも、助手席はよく跳ねて、そのうえコマ地図なんて見るもんだから、たまらないのだ、とか。ドライバーはそうでもないよ、と言いつつ、確かに、このクルマ、前がよく跳ねる、というか、プッシュロッドサスと硬いカーボン・ボディのせいで、低速域では路面の形状が正確に、しかも素早くキャビンに伝わってしまい、どこに吸収されることもなく、乗り手の全身に伝達してしまうのだ。

先が見えているドライバーはともかくも、地図を読み取りながらのナビには堪える。試しに、午後ディアブロに乗り換えてみれば、全く酔わなかったのだから、それだけカーボン・ボディの威力は凄い、ってこと。彼はといえば、その後スティールボディを見直すことしきり。

悲しいことに、また、キャリパーとホイールリムの間に小石が挟まったようで、黒いホイールの内側に再びくっきりとシルバーリングが入ってしまった。これ、また塗っても同じことだよねえ。根本的な解決があるのかどうか。ホイールを銀色にしてしまう、とか? ハァ?

(AUTOCAR No.112 2012年7月26日発売号掲載)

サンタガータで試乗してきました

真夏にスーパーカーなんて乗ってられない!、というわけでもないけれど、やっぱり夏はツーリングも少ないし、(さすがに冷房は利くけど)外は暑い(だから車内への日差しによる革の劣化が気になる)し、世のスーパーカーたちはほとんどお休み中。ならば、いっそイタリア(もっと暑かったけれど)に行ってみようじゃないか、と、バカンス前のサンタガータ本社へ向った。目的は、カーボン・コンポジット技術の取材だったが、着いてみればマットブラックのアヴェンタドールと白いガヤルドが揃ってお出迎え。インタビューやファクトリー・ビジットの合間に乗っておけ、ということらしい。もちろん、遠慮なく乗らせてもらいますよ。

まずは、アヴェンタ。700番台のクルマだったから、割と最近の生産車両(リポート車両は#240)だ。もっとも既に1000台目がラインオフしたけれど。もちろん、いろんなソフトまわりのセッティングは最新モード。エンジンスタート時の盛大な唸りが少し抑え気味になり、A/Tモードの変速ショックも穏やかに。個体差かも知れないが、乗り心地も全体的にグレードアップ。ということは、この先、距離を重ねてクルマがこなれてくれば、もっといい乗り心地になるということかも。

隣に乗せたイタリア人女性曰く、「ものすごく快適ね。先週のは、死ぬかと思ったけれど」。そう、4日前にもモデナに来て、同じ人をパガーニ・ウアイラの隣に乗せてドライブを楽しんだ。ほぼ同じルート(この2社はとても近い)を、ほぼ同じペースで走ったつもりだったけれども、パッセンジャー・シートでは天と地ほどの差だったらしい。スーパーカー好きにとっては、いい話。さて、アナタはどちらがお好み?

感心したのは、むしろガヤルドの方だった。試乗車はなんとマニュアル・ギアボックス! そのシフトフィールが気持ちいいの何のって。ギクシャクしがちな2ペダルより、やっぱり数段いい。それにミドシップのスーパーカーをM/Tで操るのは、もうできそうにないからなあ。

ランボルギーニとしても、ガヤルドが事実上、最後の3ペダル仕様アリのモデルになり、フェラーリは既にない。例の、きっちり切られたシフトゲートに、カキン、コキーンと金属レバーを当てながらクルマとの一体感をめいっぱい味わう、なんて楽しみも、これが最後のチャンスというわけで、50周年の節目にモデルチェンジ予定のスモールランボM/Tに乗っておきたいなら、早めにガヤルドのオーダーを……。

50周年といえば、その概要も明らかになってきた。一大イベントとしては、ミラノ〜ローマ〜サンタガータを走り抜けるランボ・ラリーが5月に開催される予定だけれども、日本でもランボDAY、やって欲しいなあ。

ちなみに、来年生産分の全車のインテリアに、50周年を記念したエンブレムが張られる。ガヤルドの最後、アヴェンタドール・ベースの記念モデル、そして新型スモールランボ、とアニバーサリーバッジを付けたモデルを狙うというのもまた、猛牛ファンの正しいあり方だろう。

(AUTOCAR No.114 2012年9月26日発売号掲載)

秋はイベント続き

2ヵ月ぶりのリポートとなった。その間、特に大きなトラブルもなく、けれども、秋のイベント続きで出番も増え、まずは“順調”な1年目を迎えることとなった。

そう、早いもので0240番の本誌初掲出が、ちょうど1年前のこと。納車されたのが、それより少し早く11月頭だったのだ。ランボルギーニ50周年イベントがいよいよ来年に迫り、アヴェンタドール・ベースの“記念車”のウワサもちらほら流れているけれども、依然、納車待ちの列が続く人気モデルであることは、いちユーザーとして、素直に喜ぶべきだろう。

この秋、アヴェンタドールで参加したイベントのなかでも、もっとも印象的だったのが、CARZY Live @富士カームにおける、「ドアを上げて行こう」だ。ガルウィング、シザーウィング、デヘドラルドアを問わず、とにかく上方に向かってドアが開くクルマを”大歓迎”するギャザリング。参加台数は80台前後だったけれども、オートザムAZ1からトヨタセラマクラーレン12CにメルセデスSLRマクラーレン、メルセデスSLS AMG、クンタッチ、アヴェンタドールの歴代猛牛フラッグシップはもちろん、“バック・トゥ・ザ・フューチャー”のAMCデロリアンまで、一斉にドアを上げた様子は壮観のひと言。筆者などは、ドアを上げたまま、このままみんなでパレードでもしながら街を走ってみたい、なんて夢想してみたり。

ドアが上がるだけで、どうしてこうも皆、興奮してしまうのだろう、なーんて無粋なことはこの際考えず、これからも好き者同士、ドアを上げまくることを約束して、イベントは終わった。引き続き来年も開催される予定なので、興味のある方は、下記ホームページを見てください(HP:http://www.carzy.net/)。

イベントの合間をぬって、ランボルギーニ江戸川にも一度、入庫した。”プログラム・アップデートが溜まっている”のと、定期点検のためだ。なかでも、エアポンプは、新しく遮熱版が付いており、ひとめで対策品と判るもの。その他、いくつかの“調整”を受けて、何が変わったかといえば、ほとんど変わったところはなく、強いて挙げると、エンジンスタート時の “うなり”の時間が少し短くなったような……。パフォーマンス的にこれといって体感できるほど、大きなものはなかったようだ。

それにしても、アップグレードという名のキャンペーンが多いかな、という気もする。すべてが新設計のスーパーカーゆえ、ランニングチェンジも重要、というか、必要、だったというわけだろう。

(AUTOCAR No.116 2012年11月26日発売号掲載)

もうこれで気兼ねなく、ハイウェイスター

納車直後から悩まされ続けてきた“飛び石”。多少のことなら、それも勲章だと笑ってすませたけれども、こうもたびたび重なってしまってはたまらない。かといって、そんなに前走車を煽りながら走っているわけでもないので、運が悪いと諦めるしかないか、と思っていたところ、本誌編集長から気になる情報が……。

本リポートを読んでくれていたというエクスペル・ジャパンから、最新のボディペイント・プロテクションフィルムを試しに貼ってみないか、という提案があったという。しかも、編集長曰く、相当に仕上がりもいいらしい。

実を言うと、ボディ保護フィルムには前々から興味はあったものの、敬遠してきた。貼ってすぐはいいのだけれど、しばらく時間が経つと、いかにもフィルムを貼っています感が出てきて、どうにも貧乏くさい。“ごま塩”キズは男の勲章という思いも手伝って、わざわざ貼ってもらうこともなかろう、と思っていたのだ。

今回アヴェンタドールに貼るものは仕上がりの素晴しい最新のフィルムだという。編集長も実際に991に施工されてみて、既に確認済みらしい。これは期待大である。

1996年にアメリカで生まれたエクスペル社のペイントプロテクション・フィルム。何でも、すでにメーカーのOEMパーツとしての納入実績も多く(たとえばドアのツメキズ・ガード)、ディーラーが施工代理店となっている場合も多いという。

さっそく、エクスペル・ジャパン/エクセルフィルムの本社に伺ってみれば、ちょうどこの秋にリリースされたばかりという、新たにセルフ・ヒーリング(小瑕を時間とともに修復する)機能のついた最上級フィルム“アルティメイト”が入荷していた。早速、アヴェンタドール用に、フロントセクション一式、サイドセクション一式、そしてエアインテーク回りのセットを施工してもらうことに。

フィルムの薄さはたった0.20mm。エラストマーポリマーを用いたトップコートが、セルフ・ヒーリング機能を果たす。実際に触ってみると、強靭なのに伸縮性があって、かなり薄い。なるほど、複雑な形状でも十分対応できそうだ。何しろ、アヴェンタドールは、複雑なラインとディテールの塊、である。これまでのフィルムでは、まず、キレイに施工することは不可能だったはず……。

車体を預けること2日。引取りに行って、驚いた。パッと見で施工箇所が分からないことはもちろんのこと、輝きも自然に増している。意地悪に細部をあら探しすれば、例えばパネルのコーナー部分で仕方なく“切り欠き”が入っていたり、細い部分の先端では最後までカバーしきれていなかったりするのだけれど、複雑なRで構成されたバンパーなど、最も保護して欲しい部分のみごとな処理はさすがのひと言。

この輝きを放つアルティメイト・フィルムがどこまでもってくれるのか。耐久性も自慢だそうで、3年の保証付きというから、楽しみだ。

(AUTOCAR No.117 2012年12月26日発売号掲載)

フィルムを貼った以外がやられた!

納車が順調に進んでいるのだろう。このごろようやく、同志を見かけることが多くなってきた。ロードスターのお披露目もあった(もちろん、ランボカフェの前に横付けするという小さな企みも叶えた)し、東京オートサロンでは早くも“改造車”が登場してみたり、と、最新猛牛フラッグシップカーの世界観が、ここにきて、いっきに広がったようにも思う。

とはいえ、まだまだ目立つクルマであることには変わりない。その存在の強さは、納車から1年以上経った今でも、まるで衰えていない。信号待ちで停まったときの、あの視線の強い集中を超えるクルマなんて今の日本にごく僅かだ。

先月号でリポートしたボディペイントのプロテクションフィルムは、周りからの評判もよく、また他のフィルム装着車があればじっくり観察しているが、XPELのフィニッシュの違いに歴然とする。

特に、エッジ部分の収め方などは、経験とデータのなせる技であって、現物からのワンオフカットでは、なかなか同じ次元のクオリティを担保することなど、難しいだろう。専用のクリーニング剤を使って洗車をすれば、貼りたての輝きを取り戻してくれるのもまた、嬉しい。

高速運転中の精神的な負担も減って、言うことなしの大満足……、かと思いきや、好事魔多し。フィルムを貼った以外の部分がやられた!

ひとつはガラスだ。典型的な飛び石被害である。こんなことを書くと、どれだけ前を詰めて追いかけ回しているんだ? と思われそうだが、さにあらず。車間距離を適度に保っているからこそ、バンパーに小瑕のつくことはなく、逆に、大物と大事な部分が接触してしまうことが多くなるのでは、と思ってしまう。もっと煽って走っていれば、プロテクトされたバンパーに小石が当たる=実質被害無し、だったのかも、と不謹慎な悔しさを思ってみたり……。

フロントウィンドーの交換で、RPM(旧ランボルギーニ江戸川)に入庫した。ガラスの入っていた巨大な木箱(ランボルギーニ焼印入り)を見て、要らぬなら持って帰りたいと思うのはマニアのサガ。4〜5年前なら、後先考えずに持って帰ると宣言したことだろう。京都に引っ越して以来、きっと不必要になるものの判断が、ようやくできるようになってきた(妙なものばかり集めなくなったということ)。ある意味、収集癖が薄れつつあって、これが断捨離の精神かと、ひそかに悦に入っている。確かに、物からの解放は、心地よいものだ。

上下サイドインテークのモールパーツにも、沢山の飛び石瑕がついてしまっていた。白い斑点だらけで、かなりみっともない状況になりつつある。カーボンパーツのオプションも出たことだし、いろんな対策を考えてみたいところ。

考えるといえば、ロードスターの発表時、展示車両には、インチアップしたタイヤ&ホイールを履かせてあった。そのサイズのタイヤも既にある、というわけで、知り合いのショップに相談しつつ、インチアップ(できれば2インチアップ)にも、今年はトライしてみよう。

(AUTOCAR No.118 2013年1月26日発売号掲載)

ロードスターに乗ってきました

色を塗り替えたわけじゃありません(笑)。ロードスターに試乗したので、今回はその話を。

格好いい! でも、かなり口惜しい! ロードスターのオフィシャル写真を初めて見たときの、それがボクの反応だった。

トップビュー。エンジン・フードが脊柱動物のようなデザインになっていて、グラマラスなリアセクションに一層の華を与えている。

CFRPサンドイッチ構造のパネルを取っ払うと、トップ位置が25mm下がるから、一層低くワイドに見える。クーペのシルエットを守るために、あえて自動開閉の道を閉ざしたというだけあって、クローズドの姿も美しい。

乗っても良かった。オープンクルーズの爽快さはもちろんのこと、クローズドのドライブも素晴らしい。ダイナミック・パフォーマンスでもクーペとほぼ同等なうえ、ドライビングの楽しさで少し上をいく。+αのコスト分以上に。

35000Nm/°から24000Nm/°へボディのねじれ剛性(クローズド時)はクーペに比べて落ちているが、それは元のクーペが“頑丈”過ぎただけのハナシで、数字そのものはカレラGTのそれに近い。つまり十分。僅かに柔らかくチューニングされた足まわりのセットのおかげで、実をいうと随分、運転しやすくなった。

アヴェンタドールにはプッシュロッド式のサスペンションが採用されている。こいつがクセモノで、シロウトが扱いこなすには、なかなかにハードルが高い。コーナリングGの大きな領域ならいざ知らず、中途半端な速度域では、足腰カラダがしっかりし過ぎていて、クルマがまったくと言っていいほどドライバーに“なじんで”くれないのだ。

その点、ロードスターでは、そこそこの速度域でも、コーナリングの最初期やコーナー脱出の刹那に、わずかながら“タメ”を感じることができる。足まわりの“踏ん張り”が、次の操作(ステアリングやアクセレレーション)のキッカケを掴みやすくしてくれるというわけで、その分だけドライビングに夢中になれるのだ。

しかも! クローズドのままリアウィンドーだけを下げてしまえば、CFRPキャビンに大排気量V12エンジンの豪快な吸排気サウンドが鳴り響いて、なんともエキサイティング! 屋根が開かなくてもいいから、これだけでも欲しい……。何なら屋根開きも脊柱デザインも諦めよう。でも、この素晴らしいV12サウンドを運転しながら満喫できる、リアウィンドー開閉装置だけは今スグ、クーペにも欲しい。

頭のなかにV12サウンドを鳴り響かせたままマイアミから戻り、“開かない”クーペと対面した。ソフトのアップデートを随時行っているとはいえ、最新ロードスターに比べると、すべての動きが実にエキセントリックに感じる。特に変速ショック。最新プログラムは、さらに洗練されているように思う。

とはいえ、クーペのエレガントなフォルムもまた、ロードスターにはない味わいか。ああ、やっぱりコッチもいいよな。

結局、2929号がイチバンということで……。

(AUTOCAR No.120 2013年3月26日発売号掲載)

50周年記念イベントに行ってきます

本号が発売されてゴールデンウイークを迎え、みなさんが休暇を楽しんでいらっしゃる頃、ボクはイタリアへと旅立つ予定でいる。そう、ランボルギーニ50周年を記念する“グランドツアー”(Grande Giro)に参加するためだ。

350台、およそ700名の参加者たちは、まずミラノに集い、そこからリグーリア海、つまりは西海岸沿いを南下。フォルテ・ディ・マルミを経由してローマに入り、そこからまた北上。ボローニャを通って、サンタガータにゴールするという、総計およそ1200kmの大ツーリングだ。

史上最大規模のランボルギーニ・ギャザリング&ツーリング。日本はもちろん、世界中から“自慢のランボ”が集る、というのだから見逃す手はない。筆者は本社から50周年委員を拝命していたこともあって、幸運にも、“現時点でどのモデルになるかは分からない”ものの、何かランボルギーニが用意されているという。歴史の節目のハイライトに参加できるというのだから、ランボファンにとってこれ以上の幸せはあるまい。

行く先々の“ピアッツァ”(大広場)を埋め尽くす色とりどりのランボルギーニたち……。想像するだけで興奮するじゃないか!

ランボルギーニ50年の歴史は、当初、FRのラグジュアリーGTカーで始まった。初期のFRモデル、350GTや400GTあたりのコンセプトは、フェラーリを超えるラグジュアリィな高性能グランツーリズモだった。初期のランボルギーニは、決してキワ物スーパーカー・メーカーのイメージではなかったのだ。

現代のように、“スーパーカー・キング”なイメージに変わる契機となったのは、もちろんカウンタックの登場によるところが大きいのだが、ランボルギーニ本社としては、現在のブランド・イメージに連なる起点を、どうやらミウラに設定しておきたいようなのだ。そのことは、最初に届いたインビテーション・カードにも明快に表現されていた。メインカットに真横のアヴェンタドール、その影がミウラSV。これが実に見事なマッチングをみせていて、なるほど、アヴェンタドールはカウンタックよりも、ミウラから多くのデザイン・モチーフを得ていたんだな、と感心したものだ。

特にリアフェンダー。ごらんのように、ミウラSVとアヴェンタドールのリアからの眺めを比べてみれば、その膨らみ方といい、ラインの流れ方といい、とてもよく似ていることが分かる。カウンタックとは、まったく違っていると言っていい。

ヒストリックカー市場におけるミウラの価値が、ここ数年で高騰したのは、世界中のマニアたちもそのような目、つまりは実質の始祖としてミウラを評価していたからに他ならない。50周年のお祭りを機に、またしてもミウラの評価が上がってしまうのかもしれない……。

ところでレポート車だが、イベント・シーズンを前にしながら、冬眠状態が続いている。

“浮き”が気になっていた、ドア開口部のラバーを交換した。新品パーツが届くのに、ほとんど半年待ったけれども、いざ交換してみれば、何のことはない、やっぱりプクッと浮いてしまっている。なんだ、そういうものなのね、と納得するほかない。

(AUTOCAR No.121 2013年4月26日発売号掲載)

WAO!

5月7日。ミラノのカステッロ広場は、猛牛のるつぼと化していた。公道の一部を封鎖してズラリと並べられたのは色とりどりのランボルギーニたち。400GT 2+2から最新のアヴェンタドール・ロードスターまで、ほとんど全ての“猛牛五十年史”のそろい踏みに、ランボファンはおろか、ミラノっ子たちも大興奮。大渋滞も招いていたけれど、そこはお祭り気分でお許しを。何と言っても、その日は、フェルッチョが自らの名を冠した自動車メーカーの会社登記を行ったという記念日だったのだ。

翌日、ミラノを出発。ローマで折り返し、ボローニャ、そして本社のあるサンタガータ・ボロニェーゼに至る4日間総計1200kmのグランドツアーが、ランボルギーニの50周年を祝うメインイベントであった。

世界約30ヵ国から、途中参加を含めると合計350台以上が参加するという一大イベントに。筆者も50周年ジャーナリスト委員会の一員として、本社名義のガヤルドLP550-2を駆り、参加した(アヴェンタドールでなかったのは残念だけれど、オーナーカーが沢山参加していた。しかもみんな、速いし運転が上手い!)。詳細な報告は次号でお伝えするとして……。

この原稿をボローニャのホテルで書いている。サンタガータでの劇的なフィナーレ(“エゴイスタ”というマッハ号のようなコンセプトカーが登場!)を見終えた今、ちょっとした放心状態だ。あの4日間のデキゴトを、いったいどこまで読者の皆さんと共有できるものだろうか、と、不安でならないというのが偽らざる心境だったりする。とにかく、伝えたいことが多過ぎて、頭のなかでいっこうに整理がつかない。

あんな場所に行った、こんな事件があった、どんな旨いものを食べて、何を熱心に語り合った、などという具体的なこともさることながら、ツアーをこなしていくうちに芽生えた様々な心のうちを、どこまで文と写真だけで再現できるのだろうか、と、プロのライター&編集者を自負するがゆえに、思い悩んでいる。できるだけ多くのことを正確に伝えたい、けれども全てを伝えきれないことも経験上分かっている……。

素晴らしい経験のあとにいつだって芽生える、それは、葛藤のようなもの。

クルマの試乗記なら、それほど悩まなくっていい。毎年行われるようなラリーイベント参戦記でも、そうだ。仮に伝えきれなかったにせよ、“百聞は一見に如かず”、どうか自分自身の目で確かめてくれ、と言うことだってできるからだ。けれども、アニバーサリー・イベントのような、たった一度こっきりの、二度と実体験の不可能な出来事を綴る使命と責任は、それなりに重いんじゃないか。いちクルマ好きとして、そう思わずにはいられない。

今はただ、夢のような4日間をムリヤリ思い出そうとするのではなく、あえて深くは考えず、頭と心のなかで思い出が熟成するのを待つ、といったところだろうか……。

というわけで、ランボルギーニ50周年記念グランドツアーの、フル参戦リポートは、次号をご期待ください。

(AUTOCAR No.122 2013年5月25日発売号掲載)

インチアップ大作戦 Part-1

ホイールを変えてみたい。できればインチアップして。実は納車されたときからやってみたいと思っていた。

昨年のオートサロンでいち早く、インチアップ・サイズのアヴェンタドール用鍛造アルミニウム・ホイールをリリースしていたハイパーフォージドにもすぐに根回しをして、いつでも製作にかかれるよう準備は整っていたのだけれども……。タイヤが、無かった。

否、正確には、あるにはあった。なぜならハイパーフォージドに限らず、セカンドパーティ・デザインのインチアップ・ホイールを履くデモカーが、何台か存在していたのだから。

実を言うと、彼らが履いていたのは、たいていピレリのP ZERO ネロだった。そう、確かに、ネロにはインチアップ・サイズとなるフロント255/30-20インチ、リア355/25-21インチのタイヤはその頃からラインナップされていたのだ。けれども、トップグレードのP ZEROに比べると、スポーツ・パフォーマンスに劣るコンフォート寄りのグレードである。アヴェンタドールのビッグトルクをかけるには、いささか心許ない。格好だけ、というのならいいけれど、しっかり走らせたいとなれば、オススメできないと各所の専門家も口を揃えていた。

だったら、ピレリがインチアップ・サイズのP ZEROを出してくれるのを待つほかない。幸い、純正オプションの設定が昨年には決まっていて、早晩、出るだろうと言われていた。

しかし。待てど暮らせど、ピレリからのリリースがない。そうこうしているうちに、半年が経ち、純正のインチアップ・ホイールがリリースされてしまった。

悩みどころである。素直に純正オプションを買うか、初心を貫くか……。

結論は、初心貫徹。なぜなら、インチアップとはいえ純正を選んでしまえば他と変わらない、という事情は今と同じである。やっぱり、人とは違う雰囲気を手に入れたい。ハイパーフォージドのような、ほとんどオーダーメイド感覚のホイール・ブランドなら、人と違う見栄えを手に入れることも簡単だ。

純正オプションも出たことだし、タイヤだけ買えるだろう、と思っていたら、なんと、ディーラーを通じて買えるのはホイールとのセットのみ。バラ売りはできない、という。

というわけで、結局、ピレリが日本市場向けに販売するまで待つほかなかった、というわけ。そして、6月末にタイヤがいよいよ入庫しそうだという情報を得て、すぐに京都の橋本コーポレーションを通じてハイパーフォージドにホイール(HF-C10)を発注した。

仕様は、アウターリム/ハイポリッシュ、インナーリム/サテンポリッシュ、ディスク/ブラッシュド&ポリッシュ、というカラーリングで、セミコンケイブのリバース・リムスタイルとした。ハイパーフォージドでは車種やタイヤサイズに応じて、さまざまな相談にのってくれるから、仕様決定には大いに悩むものの、満足度は大きい。

その出来映えは、次号にて……。

(AUTOCAR No.124 2013年7月26日発売号掲載)

インチアップ大作戦 完了

京都の橋本コーポレーションを通じて、ピレリPゼロとハイパーフォージド・ホイールを注文。7月半ばに組み上がり、コンクール・デレガンスのランボルギーニ・ミーティングという晴れ舞台になんとか間に合わせることができた。

最近のクルマは、タイヤとホイールだけサイズを合わせて買ってくればいいというものではなく、純正品以外を付けようとすると、空気圧センサーや専用工具など、余分な出費を強いられる。センサーなどでいえば、コーションランプが点きっぱなしという状況さえ我慢できればいいのだけれど、やっぱり、普段からダンパー形状の黄色いマークが点灯するのは気持ちのいいものじゃない。

交換後の第一印象は、というと、あまりにキレイにフィットし過ぎていて、ハナから何の違和感もなく、拍子抜けするほどすんなりキマったな、という感じだった。純正と言われてもおかしくないほどに、よく似合っていると思う。

純正ホイールがダークカラーだったため、ガンメタリックのボディカラーとの組み合わせは、けっこうヤンチャな雰囲気を発散していたように思う。それがどうだ。ポリッシュを一部に使った仕立てのシルバー系にしたら、ぐんとエレガントなイメージに。これはこれでアリだと思うし、いい気分転換にもなった。実際のところ、多くのランボ・オーナーにアピールできなかったようで、見過ごされていたようだ。奇抜なデザインもいいけれど、あえて地味目に似合わせるのも、ドレスアップの楽しみ方だ。

ひとりだけ、めざとくインチアップを見つけたアヴェンタドール・オーナーがいた。彼はピレリPゼロの純正インチアップ・サイズが市販されていなかったことまで知っていて、筆者が“L”の刻印(ランボルギーニ用を意味する)の入った正真正銘インチアップ・サイズのPゼロだと説明すると、大いに不思議がってくれたものだ。こういうこともまた、オーナー同士だからこそ分かちあえる、小さな喜び、である。Pゼロのインチアップ・サイズが遂に売り出されたんだよ、と種を明かせば、件のオーナー、早速購入するとショップに電話をしはじめた。

肝心の乗り味はどうだったか。ヤッパリ、少しハードになったように思われる。タイヤの肉厚のなさが、特に首都高のように適度な荒れ方をみせる路面では、顕著になったような気がした。もともと、プッシュロッドタイプのダンパーだから、乗り心地をストロークで稼ぐことはできない。インチアップなどすれば、当り前のように、心地よさは薄れてしまう。それは分かっていたことで、想像していたよりも我慢のできる範囲に収まっていたことの方が、驚きだ。CFRPボディキャビンの強靭さを改めて教えられた。

ランボルギーニ・パレードでは、僭越ながら、先導を務めさせてもらった。400GTから最新アヴェンタドールまで、50台の猛牛を引き連れて横浜市内をパレードラン。何とも誇らしい経験である。素晴らしい機会を与えていただいた実行委員会の皆様に、この場を借りて御礼申し上げたい。ありがとうございました。

(AUTOCAR No.125 2013年8月26日発売号掲載)

ランボルギーニ・ミーティングのお手伝い

昨年、ランボルギーニ本社の広報部長ラファエッロ・ポッロ氏から、50周年アニバーサリー・コミッティーの委員を拝命して以来、記念すべき今年に、昔からマニア&ファンの多い日本でも、50周年を祝う何か“特別なお祭り”ができないものかと、ずっと考えていた。そんなおりに、本誌の笹本編集長から、「コンクール・デレガンスと一緒に横浜でランボルギーニのイベントをやるから手伝ってほしい」と、願ってもない話をいただいたのである。もちろん、即答で「ぜひ!」。赤レンガ倉庫に歴代のランボルギーニを飾って、横浜市内をパレードする、という楽しげな企画への協力を断る理由などまるでない。

50周年にちなんで50台を集める。プラスαとして、せっかくだからコンクール・デレガンスにも、見どころのある個体を並べてみたい……。数は問題ないが、「歴代」となると途端に難しくなるのが日本のランボルギーニ事情である。カウンタック以降のモデルなら、50台どころかその2倍3倍でも集める自信があったけれども、ミウラ以前は圧倒的に少ない。しかも、イベントは真夏の開催。暑い最中、それも横浜までやってきて、ラリーに参加してくれるオーナーがいったいどれだけいるだろうか……。

直接の知り合いベースではとてもムリだと踏んだボクは、すぐに二人の人物とコンタクトを取った。ひとりはご存知、アウトモビーリ・ヴェローチェの岡戸代表で、もうひとりは大阪のランボルギーニ・マニアN氏だ。岡戸さんには、主にカウンタック以降のノーマル個体のオーナーを集めていただき、N氏と彼の友人である山形のM氏にはミウラ以前のオーナーにお声掛けいただけることになった。結果的に400GTをはじめ、ミウラやウラッコといった貴重なモデルも複数台揃って、まずはランボルギーニ50年の歴史を十分堪能できたのではないかと思う。

特に、M氏をはじめ東北から多くのクラシック・ランボルギーニたちがやってきてくれた。彼等の猛牛にかける情熱に、改めてここで敬意を表したい。ありがとうございました。

コンクールに出品するクルマは当初、笹本さんから「愛車のカウンタックLP400でぜひ」と言われていたけれども、とてもじゃないがコンクールに出展できるレベルの個体じゃない。そこで、イタリア本国の50周年イベントにも参加した完調かつ美麗なミウラSVのオーナー富田氏に参加していただくことに。みごと賞を穫られたようで、わがことのように嬉しかった。さらに、岡戸さんのサポートもあって日本上陸一号車と言われている元浮谷家の400GTも出展された。残念ながら、その後このクルマは日本を離れたというウワサだ。本当であれば、悲しいことである。

忘れてはいけないのが、土曜日の目玉展示として、岡戸さんのウルフ・カウンタックと、東京のさるオーナーが所有するミウラSVRが“夢の競演”を果たしたことだ。ビンゴスポーツをはじめ、多くの関係者の尽力なくして、あの競演は成立しなかった。あらためてこちらも感謝したい。

日本のランボルギーニ・ファンの熱さを改めて知った、素晴らしい1日であった。

(AUTOCAR No.126 2013年9月26日発売号掲載)

2年間を走って

早いもので、もう2年も経ってしまった。つくづく思うのは、新型スーパーカーの鮮度は、とても長持ち、ということ。特にアヴェンタドールの場合、デビューから2年以上経った今でも納車待ちがある程なので、なおさらだ。スーパーカーの集まりでも、いまだ希少な存在だ。

思い返せば、今はなきランボルギーニ江戸川さんから、「エアで来ることになったよ」と連絡を受けたのが、ちょうど2年前の10月半ば。そんなに早く来てもらうつもりもなかったので、とても慌ててしまったことを、よく覚えている。

そもそも、アヴェンタドールに惚れてしまったのは、全刷新されたカタチとナカミに非常な感動を受けたからだった。スーパーカーかくあるべし! という、低く鋭く複雑なスタイリングに一目惚れし、カーボンファイバー・ボディの採用という新展開に惚れ込んだ。もちろん、新設計のV12エンジンも気にはなったが、それはフラッグシップ・ランボルギーニの伝統、“当然”が進化しただけの話。目新しさという点では、イタリア人が久しぶりに指揮したベルリネッタ・デザインと、フルカーボン・モノコック・ボディ&キャビンの採用が、共に衝撃だった。

恐らく人気の理由もまた、そのあたりに求められるのだと思う。昔よりマーケットが広がり、生産量は飛躍的に増えているはずなのに、それでも供給が絞られているように感じさせる点も、彼らの販売戦略が今のところ上手く機能している証拠といえ、人気を下支えしている。

2年で、オドメーターは8800km余りを刻んだ。車体番号240という初期モデルということもあり、最初の半年位は、ごくマイナーなトラブルとプログラム・アップデートのため、頻繁にディーラーへ持ち込んだが、その道中でもやはり大きな注目を浴びるとあって、わざわざゆっくりと下道を通って江戸川まで行ったものだ。スーパーカーは、ゆっくり走っていても、楽しいもの。見せびらかしてナンボ、なのだ。

よく、クルマは走らせてナンボと言う人がいる。それは確かに真理には違いないが、見てナンボ、見せられてナンボという側面も大いになければ、ユニークであることの必然性を失う。人はなぜ格好いい服や靴や鞄や時計を好むのかと言えば、もちろん身につけているときに気分がいいというのもあるだろうが、同時に他人の視線を気にもしているからだろう。スーパーカーに乗ることは、その際たるもの、なのだ。

アヴェンタドールは、未だに目立つ。グリジオ・エストーケという地味な色を選んだにも関わらず、町中で多くの視線を痛いほど浴びる。それは正にスーパーカーの中のスーパーカーであることの証し。パガーニなど特殊な存在をのぞけば唯一、ランボルギーニだけが、スーパーカー道を貫くブランドであるということだろう。

今年50周年を迎えた猛牛ブランドは、これを区切りに次の50年、100年に向けて、われわれクルマ好きを驚かせ続けてくれるに違いない。そんなタイミングで10年に一度のフラッグシップに乗れたことは、とても幸運だった。

2年間、ご愛読ありがとうございました。

(AUTOCAR No.127 2013年10月26日発売号掲載)

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