シトロエンDS4シック

公開 : 2014.08.14 11:07  更新 : 2021.03.05 21:44

視界良好

今月から新たな長期テスト車としてシトロエンDS4が加わった。グレードはシックで、昨年9月に追加導入されたトルコン式6段A/Tを搭載するモデルである。ご存知のとおり、それまでにもシックと呼ぶグレードは存在していたが、トランスミッションは6速EGSと呼ぶロボタイズドM/Tだった。一方、上級グレードのスポーツ シックは3ペダルの6段M/Tを搭載する。個性的なスタイリングに惹かれるものがあってもおいそれと手を出すには至らなかったDS4に、トルコンA/T仕様が追加することによって、より幅広いユーザーに受け入れられることが期待できる。トルコンA/T仕様が選べるなら乗ってみようか、というユーザーを代表する意味も込めて、レポート車導入の運びとなった次第である。

まずはレポート車の仕様から。ボディカラーはブラン ヒッコリーというブラウン系のメタリックで、インテリアはブラック基調となる。シートは標準のミストラル。ファブリックとレザーのコンビネーションだ。装備されているオプションはナビとETC車載器の2点。ナビはオリジナルのパナソニック製で、7V型のタッチパネル仕様となっている。車両本体価格310万円にナビ(13万8600円)とETC(9975円)をプラスした324万8575円が、当レポート車のお値段ということになる。ちなみにこの金額にはナビとETCの取り付け工賃は含んでいない。

今年は欧州Cセグメントモデルの新型車上陸が盛んだ。他ブランドのニューカマーに目を奪われがちな昨今だが、個性的かどうかという点ではこのDS4、後発のモデルにまったく劣っていない。好みの問題はさておき、インパクトは他を圧倒しているとはいえまいか。その個性の原動力となっているのが、このクルマのコンセプト。シトロエンによると、DS4はクーペにSUV風味を効かせた革新的なボディスタイルを持つ4ドアクーペという独創的カテゴリーを提案している。そう、この独創性こそシトロエンの真骨頂。現代シトロエンの展開する独創的な世界観に浸ってみたいという点も、DS4をレポート車に選んだ大きな理由である。

導入から約2週間、660km程度の走行だから、走りに関して結論めいたハナシは後にとっておくとして、第一印象を少し。

1.6ℓターボと、アイシンAWと共同開発された6段A/Tの組み合わせは、1380kgの車重を持つDS4でもスムーズな加速を披露してくれる。最高出力は、EGSを組み合わせるシックより6ps上乗せされた162psを引き出すが、156ps仕様との違いは日常ユースでは判別できないレベルだ。

洗練されたエクステリアデザインも去ることながら、フロントシートから眺める前方の広い視界は、これまでのフツウのクルマでは味わえなかった景色を見せてくれる。これはパノラミックフロントウィンドウの効果によるものだが、仕掛けとしてはスライディング式のサンバイザーによって視界の広さ(高さ)を調節するという、C3にも採用されている機構。ただC3用は可動するサンバイザーが一体型であるのに対して、DS4は左右個別に可動するのが特徴。写真でおわかりのとおり、視界はかなり高いところまで広げられる。この広さ、癖になりそうだ。

C4より33mm高くセットされたという着座位置の効果もあり、視界という面での運転環境は良好だ。その一方で右ハンドル仕様のためか、ドライバーの体型によってはベストなドライビングポジションが取りにくい。ペダルが手前気味に配置されるので、ステアリングと体の位置関係を優先すると足元が窮屈になる。反対にペダルとの位置関係を優先するとステアリングが少々遠い。せめてステアリングのテレスコピック機構がもう少し手前まで可動すると良かったのだが。対応策としてステアリングとの距離感を優先し、シート位置を少し高めて足元の窮屈感を緩和してみたところ、違和感はかなり減少。目下、このポジションに慣れてきたところである。

後席は3名掛けで、大人2名なら問題なさそうだ。一方、外観のデザインを優先させたというリヤドアのウィンドウが開閉できない点は賛否の分かれるところだろう。まだ後席に乗員を迎えていないこともあり、不便を感じたことはないが。

これから半年にわたりレポートをお届けしていく。DS4が気になっていたなら、ぜひご注目を。

(AUTOCAR No.120 2013年3月26日発売号掲載)

強い“路上オーラ”

Cセグメントに属するハッチバックモデルではあるものの、他ブランドにはない個性を感じさせるDS4。それは、クーペ風のスタイリングを持ちながら、SUVとセダンを融合させたような独特のスタイルを持っているからにほかならない。そしてその個性はプロポーションだけに留まらない。細部にまで造形にこだわったディテールが織りなすデザインからもまた、オリジナリティを発散している。今回はそんなDS4の個性的なスタイリングやデザインについてスポットをあててみたい。

外観デザインの大きな特徴として、サイドからリヤにかけての造りが挙げられる。フロントフェンダーからドアにかけて流れるキャラクターラインはリヤドアで一旦途切れ、リヤフェンダーに向けて再び立ち上がりリヤコンビネーションランプに続いていく。寝かされたAピラーやシャープでコンパクトにまとめられたウィンドウグラフィックとのコンビネーションによってクーペライクなデザインを創り出している。一方リヤビューはグラマラスな形状ながら、スポーティなリヤスポイラーや大胆な形状のリヤランプ、エッジを効かせたラインを取り入れたバンパー、そしてエキゾーストエンドにはクロームのアクセントが付き、スポーティな雰囲気を演出している。リヤドアのノブをウィンドウアーチ内に収めたのは、クーペらしいサイドビューの演出にひと役買っている。

DS4のデザイナー、オリバー・ヴィンセントは発売時、このようなコメントを残している。

「(DS4の)プロジェクト立ち上げの時、これまでとは違う種類のクルマが欲しいという市場からの要望がありました。クルマ好きの方々が評価されていたのは、洗練されたセダンやクーペであり、力強さに満ちたSUVです。そこで我々は“背の高い4ドアクーペ”というかつてないボディスタイルを思い描いたのです。つまりそれこそが革新的な唯一無二のボディスタイルであり、これまでにないクルマ、DS4に相応しいと」

そんなエピソードを持つDS4は、第26回国際自動車フェスティバルで一般投票による“2010年の最も美しいクルマ”に選ばれ、さらに「最も美しいインテリア」賞を受賞。DS4のデザインは一般にも高い評価を受けているのである。

実際に街中をドライブしていても注目度は高い。ブラウン系の、決して派手ではないボディカラーをまとっているレポート車でさえ、交差点での歩行者からの視線は実に熱い。あくまでこちらの想像だが、その熱い視線も2種類あるようだ。ひとつは見たこともない珍しいデザインのクルマを見るという好奇の目。そしてもうひとつはある程度DS4というクルマを知っていて「これがDS4なんだ」という、なるほどの目だ。いずれにせよ“路上”の強いクルマであることは間違いない。

最後にレポート車の近況を。レポート開始から2000km近くを走行しているが、いまのところトラブルはいっさい起きていない。少し気になるのがブレーキと街乗りでの燃費。ブレーキは“カックン”傾向があり、スムーズな停止には少々コツが要る。街乗りの燃費は当初10km/ℓには届くのではと想像していたがそれほど伸びず、8km/ℓ台に留まる。これらの点はさらに距離を重ねたうえで、改めて報告の機会を設けたい。

(AUTOCAR No.121 2013年4月26日発売号掲載)

走りは“弱スポーツ”

レポート開始から約3000km、オドメーターの表示で8000kmを超えたDS4シック6AT。足まわりもそろそろ馴染んできているハズ、ということで今回は、走りにクローズアップしてみたい。

レポート車の6段A/T仕様(以下6AT)は、DS4の導入当初設定のあったロボタイズドM/T仕様、6速EGS(エレクトリック・ギヤボックス・システム)と共通の1.6ℓターボを搭載する。EGSが156psであるのに対して、この6ATはそれを6psほど上回る162psを発揮する。街乗りレベルではその差を感じるシーンはほとんどない。その一方で、以前ドライブした記憶によれば、シフトモードをオートで比較した場合、トルコン式A/Tを積む6AT仕様のほうがスムーズな変速が簡単だ。EGSも滑らかな変速は可能だが、ちょっとしたアクセルの加減がいる。EGSを操る楽しさは否定しないが、どちらが万人向けか、という観点ではやはりトルコンA/Tのほうに軍配を上げざるを得ない。というわけで導入が多少遅れてでも6ATを導入した価値は充分に高い。ちなみにこの6AT導入時にプジョー・シトロエン・ジャポンから聞いていたとおり、6速EGSの導入はすでに打ち切られているようである。ディーラーに在庫が残っていれば購入できるかもしれないが。

PSAとアイシンAWが共同開発したこの6AT。フツウのトルコン式ながら変速のレスポンスは決して悪くない。わずか1000rpmから発生するターボ過給も手伝って、街乗り、高速問わず1380kgの車重を感じさせない軽快な加速を披露し、かなり活発に走らせられる。同じパワートレインを積むC5やDS5が、DS4より車重が嵩んでも充分な加速力を持っているのだから当然だ。

プラットフォーム(シャシー含む)のベースであるC4より、サスペンションを7〜10%ハードに設定した足まわりにより、街乗りでの乗り心地は外観から想像する以上に固めに感じる。とはいえ、たっぷりとしたストロークを持つサスペンション、ミシュラン・プライマシーHP(レポート車)というタイヤの組み合わせは、乗員に不快感を与えるものではない。路面の情報を努めて的確に知らせようとするもので、むしろ頼もしささえ感じる場面もある。

それならばと、曲がりくねった道でアグレッシブに走ってみた。感心したのは、はやりフットワークの懐の深さ。豊かなロールを許すのはご想像のとおりだが、しっかりとした粘りを味わわせてくれる美点は、まさにシトロエンらしい。タイヤがおいそれとは音を上げないのだ。その一方で欲が出てしまうのがシフト。M/Tモードで任意の変速を可能とするが、追い込んだ走りでははやりDCTほどのレスポンスは得にくい。シフトパドルを装備しなかったのは、やはりそのあたりにも理由がありそうだ。

PSAはいまのところ、残念ながらDCTを持っていない。さらに高出力のエンジンを積むスポーツ・シック(200ps)に3ペダルの6段M/Tを組み合わせているのはご存知のとおり。レポート車の6ATもそれなりにスポーティではあるが、グレード名にスポーツを添えるにはやはり抵抗があるレベル。あえていうならこの6ATの走りは“弱スポーツ”といったところか。今回、アグレッシブに走らせる機会を得たことで、DS4各グレードのポジショニングをより明確に実感できた次第である。

(AUTOCAR No.122 2013年5月26日発売号掲載)

非凡さは細部にまで

今月は取材件数が普段より多かった関係で、走行距離は1900km余りに及んだ。高速道路の使用頻度が高く、月毎の平均燃費はレポート開始以来、初めて10km/ℓを超えた。BMWと共同開発した1.6ℓ直4ターボと、アイシンAWとのコラボで誕生した6段A/Tを搭載するモデルはPSA車の多くに存在するが、やはりこのDS4でも燃費の傾向は共通している。街乗ではそこそこだが、高速での伸びは頼もしい。機会があれば高速走行だけの燃費を計測してみたいものだ。

毎日のようにドライブすれば、必ずしも運転が楽しめるシチュエーションだけとは限らない。その最たるものが渋滞だ。街中では裏道を探したりして退屈を紛らわせることもできるが、高速での渋滞は次のランプやSA・PAに辿り着くまで我慢を強いられる。そんなときはラジオや好みの音楽がいい気分転換になるのは、ご経験済みだろう。ところがDS4の場合、選択肢が他にもある。

まずはウインカー作動音とメーターのカラーだ。通常ウインカーの作動音は1種類のクルマがほとんどだが、DS4の場合は4種類から選べる。クラシック、クリスタル・シンフォニー、アーバン・リズミック、ジャングル・ファンタジーと、各作動音に名前があり、ステアリングパッド左下のコントローラーの操作で設定できる。さすがにそれらの音を当レポートでお届けするのは無理だが、なかなかユニークなものもある。一方、メーターはアナログメーターの内側にデジタル表示部があり、そのカラーが5タイプから選択できる。スピードメーターリングの下部に設置されたボタンを操作すると、ホワイト系からブルー系まで5段階で表示カラーが変えられる。メーターナセルの構造上、このデジタル表示は昼夜問わずに発光している故、車外が明るくても選んだカラーを楽しめる。

フロントシートのマッサージ機能も見逃せない。DS4の前席にはバケットタイプのシートが採用されている。それはスポーツモデルに採用されがちな硬いものではなく、しっとりと柔らかい座り心地を提供してくれる。シートポジションを調整するのは手動だが、電動のアクティブランバーサポートが備わる。シート座面の脇に設置されるスイッチで調整できるこの機能は、ロングドライブでの疲労を軽減してくれる。さらに隣のスイッチを押せば、ランバーサポートの調整を生かしたマッサージも受けられる。シートのマッサージ機能というと一部の高級車だけの贅沢装備と捉えがちだが、こんな部分からもDS4の非凡さが見て取れるのである。

これらの装備・機能に加えて13cmの可動幅を持つスライディングサンバイザーでフロントの視界を大きく広げれば、普通のクルマではなかなか得られないドライビング体験が味わえる。ちょっとした渋滞であれば、充分退屈しのぎになり得る。

SUV風味を効かせた4ドアクーペというユニークなコンセプトで生まれたDS4だが、スタイリングをはじめとする見た目だけでなく、装備の細かい部分に至るまで遊び心を持たせるあたり、なかなか憎い演出だ。今回紹介した装備はディーラーでの試乗レベルで体験可能なものばかりだ。とくにウインカー作動音は本当にユニークなものが選べる。興味があればぜひ聞きに行ってみては?

(AUTOCAR No.123 2013年6月26日発売号掲載)

プラス10万円の誘惑

一般的に限定車と呼ばれるモデルはベース車に魅力的なアイテムを追加する一方で、価格アップを最小限に留めたものが多い。ユーザーの目線では実に手を伸ばしやすい、買い得感の高いモデルだ。

当レポート車も例に漏れず、昨年9月の発売以来、初となる限定車“エディション・ルージュ”が5月末に発売された。発売から1カ月以上経過しているから、すでにご存知の方も多いと思うが、レポート車がベースということもあり、この場を借りて改めてこの限定車の内容を紹介させていただきたい。

エディション・ルージュは標準のシック6ATのパワートレインはそのままに、内外装の仕様変更によって、よりスポーティでスタイリッシュなルックスを手に入れている。エクステリアでは上級グレードのスポーツ・シックと同じ18インチホイールを装着するほか、クロームドアミラーカバーやブラックのサイドモールディングを採用。インテリアではシートが2トーンレザー(前席はヒーター付き)となる。通常このシートはプラス25万円のオプションで、ブラックにレッドをあしらったシートカラーがこの限定車のネーミングの由来になる。これらのアイテムを付加しながらベース車のプラス10万円となる320万円というプライスを掲げているのだから、この限定車もお得感は高い。ボディカラーはブラン・ナクレ(ホワイトパール)とノアール・ペルラネラ(ブラック)の2タイプで、それぞれ60台、40台が発売されている。インポーターに訊いたところによれば、いまのところホワイトの人気が高いとか。写真からだけでも、よりルックスの洗練性が上がっていることが見て取れる。ちなみに本誌発売日時点でも在庫が残っているそうだからDS4シック6ATの購入を検討しているなら、プラス10万円の誘惑に負けてみるのもいいかもしれない。

と、限定車の魅力に半ば心を奪われつつある担当者だが、個人的にはレポート車の内外装のカラーや仕様は気に入っている。とくにブラウン系のボディカラーは派手さこそないものの洒落た雰囲気で、このモデルによくマッチしていると思う。

さて、レポート開始から約5カ月、5600km以上を共にしているがトラブルや不具合は一切無く、順調にドライブを重ねている。日常使いで感心させられるのが標準装備のブラインドスポットモニターシステム。走行中、ドアミラーでの確認がしにくい左右の死角に他車がいると、ドアミラーのインジケーターで知らせてくれる予防安全装備だ。他ブランドを含め一部ではすでにあたり前の装備になるが、やはりあると安心感は高い。幸い、まだこの装備の助けを受けるようなシーンには至っていないが。

夜間に重宝しているのがコーナリングライト機能を持つフロントフォグライト。こちらも標準装備品だが、ステアリングを60度以上切り込むと、切った側のフィグライトが点灯する。15度の可動範囲で旋回方向を照らすバイキセノンヘッドライトと合わせて、視界をより確かなものにしてくれる。

こうした安全・機能装備にも手を抜かないあたり、さすがはDSラインといったところ。独創的コンセプトや内外装のデザインに目を奪われがちなDS4だが、乗員への配慮にも注力されているクルマであることを改めて感じているこの頃である。

(AUTOCAR No.124 2013年7月26日発売号掲載)

“普通じゃないフツウ”

2月末から導入したDS4は半年というテスト期間を終え、今月で退役する運びとなった。

半年間を共にした今でも、このクルマの独創性にはただただ感心するばかり。一般的なボディのカテゴリーとしては5ドアハッチバックになるのだろうが、クーペのようなルーフラインを持ち、若干引き上げられた地上高がSUV風味を効かせている。シトロエンはこのクルマを“4ドアクーペ”と主張するが、そこには多様なクルマの魅力が融合されていることでシトロエンならではの、いや、DSシリーズならではの独創性が表現されている。こんなユニークなコンセプトを持つクルマはそうあるものではない。一方で、シトロエンが今でもDS4のようなクルマを造り続けていることは、ある種の安堵感をもたらしてくれる。旧くからシトロエンを知っているのならおわかりだろうが、シトロエンというブランドはこれまで実に独創的なクルマを世に送り出してきた。例えば、現行C5にも搭載される油圧式のハイドラクティブサスペンションは、現代に受け継がれるシトロエンの独創性の一端だと思う。

さてこのDS4、あえてこのクルマを結論づけるとするのなら、“普通じゃないフツウのCセグモデル”とでもいおうか。支離滅裂だが、“普通じゃない”は独創的なコンセプトや類稀なデザインを指し、“フツウ”は、一般的なCセグモデルに必要とされる居住性や安全性、動力性能、扱い易さをほとんど満たしていることを指す。ちょっと変わった感じのクルマだが、日常使いに困るようなことはほとんどなく、至ってフツウに使えるのがDS4。気兼ねなく付き合えるクルマであることは間違いない。

とはいえ、改善を望みたい点が無いわけではない。当レポート末期までどうしても気になってしまったのは、やはりドライビングポジションの取り難さだ。ペダルの位置が少々手前ぎみになるのは右ハンドル化の影響として仕方のないところ。せめてステアリングホイールのチルト&テレスコピック機構の調整幅にもう少しゆとりがあるといいのだが。担当者(身長176cm)の場合テレスコがあと2〜3cmくらい手前に引き出せると、ペダルとの距離感とステアリングとの距離感のバランスが取れるようである。ただしこの点はドライバーの体格にもよるから、あくまで担当者の私見と捉えていただきたいし、それなりにポジションを決めれば苦痛を強いられることなどなかったことは言い添えておきたい。

走りの面ではどうだったのか。動力性能面では不満らしい不満が無かった。感心したのはやはり足の仕立て。そこそこのペースでコーナーに侵入しても、意外なほどよく粘る。とくにリヤ。トーションビームでもこれだけの足捌きができるクルマはそう多くないのではと思うほどである。燃費は別項のとおり。この値は渋滞やゴー・ストップの多い街中など、悪条件でのドライブが大半を占めたものだが、個人的な印象としてはもう少し伸びてほしかった。全国のDS4ユーザーはいかがだろうか?

もしこのモデルに興味を持っているのなら、ぜひディーラーで試乗してみてほしい。ルックスが気に入って、街中での試乗に不満がなければ、きっと手に入れても後悔はしないはず。仮に多少の不満があったとしても、それを補って余りあるDS4の魅力に浸ってみるのも悪くない。

(AUTOCAR No.125 2013年8月26日発売号掲載)

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