蝶のように優しくしなやか マツダMX-5(ロードスター) お手頃ドライバーズカー選手権(3)

公開 : 2022.11.13 08:25

他のモデルで感じる小さな不一致感

両手と両足で、しなやかなシャシーを操る。ステアリングホイールのレシオも、クイック過ぎることはない。アクセルペダルでラインを探りながら、コーナリング・スタンスを調整していける。入力に対する反応はクリアでダイレクトだ。

マツダロードスターを1度知ってしまうと、他のモデルで感じる小さな不一致感を看過できなくなってしまう。普段の小さなフラストレーションが、溜まり続けていくともいえる。たとえ、優れたフィエスタ STやトヨタGRヤリスだとしても。

オレンジのマツダMX-5(ロードスター) 30thアニバーサリー・エディションと、ホワイトのトヨタGT86(86) プロパッケージ、グレーのホンダ・シビック・タイプR GT
オレンジのマツダMX-5(ロードスター) 30thアニバーサリー・エディションと、ホワイトのトヨタGT86(86) プロパッケージ、グレーのホンダシビック・タイプR GT

ただし、ロードスターで果敢に攻め込んでいくと、路面変化に姿勢制御が追いつかなくなる場面もある。そこから、アンダーステアへ転じていく。ワインディングを縫うように果敢に走る、今回のホットハッチ2台へ追いつくことはできない。

走りに高速域での楽しさを追い求めないなら、ロードスターはド直球の正解だ。同時にもう少し路面を掴み、もう少しパワフルでも良いと、筆者は思う。

そして最後に残ったのは5台で最も登場の古いトヨタGT86(86)。2012年の発売時、英国では記載内容が誇大だとして広告規制局から指示が入り、広告が差し止めになった。しかし、トヨタは自らの新作がどんな内容なのか、はっきり理解していた。

誇大なんてことはなかった。率直にいって、楽しすぎた。

この続きは(4)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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