600mmプラスの8シーター ランドローバー・ディフェンダー 130へ試乗 妥協なしの走り

公開 : 2022.11.16 08:25

ディフェンダーのロングボディ版、130が登場。5.4mに迫る長さながら、ライバルに勝る車内空間は強みだと英国編集部は評価します。

定員8名、長さ600mm増しのディフェンダー

早いもので、最新のL663型ランドローバー・ディフェンダーが登場して2年が経とうとしている。そろそろ、モデルラインナップを広げる時期がやってきたようだ。

今回試乗したディフェンダー 130は、納車待ちが続く人気モデルのエクストラ・ロング仕様。ちなみに、今よりシンプルだった時代に生まれた初代には、127と呼ばれるロング仕様も存在していた。

ランドローバー・ディフェンダー 130 D300 XダイナミックHSE(英国仕様)
ランドローバー・ディフェンダー 130 D300 XダイナミックHSE(英国仕様)

現行の110より600mm長く、6名以上の定員を得られる唯一のディフェンダーになる。シートレイアウトは最前列が2名がけで、2列目と3列目は3シーター。8名が乗れる。

90や110では選べる、3名掛けのジャンプシートを最前列に指定できない理由は、英国の税制にある。定員が9名になると、小型バス扱いになってしまうのだ。

ランドローバーは、大人8名それぞれに充分な空間が確保され、満員状態でも400L近い荷室容量がある実用性をアピールする。確かに利便性はストロングポイントになるが、ディフェンダー 130は現代の大型SUVの基準でいっても大きい。

その実、全長は5358mmもある。この長さを実現しつつ、フロント側のオーバーハングと路面が作るデパーチャー・アングルへの悪影響は抑えられている。110の全長4758mmから追加された600mmは、リア・オーバーハングに与えられている。

ボディのプロポーションにも若干手が加えられているが、ホイールベースは110と同じ3022mm。119インチで変わらない。最小回転半径は若干大きい。

大人8名が不満なく過ごせる車内空間

最上級グレードとして装備は110以上に充実しており、車高調整式のエアサスペンションは標準。このサスペンションは軽くなく、110より200kgほど増えた2589kgという車重の一部を占めている。

エンジンの選択肢は、今のところ2つ。3.0L直列6気筒ターボでマイルド・ハイブリッドの、ガソリンとディーゼルが選べる。

ランドローバー・ディフェンダー 130 D300 XダイナミックHSE(英国仕様)
ランドローバー・ディフェンダー 130 D300 XダイナミックHSE(英国仕様)

110ではP400eと呼ばれるプラグイン・ハイブリッド(PHEV)も選択できるが、130への採用は難しいだろう。リアアクスルへ、小さくない改良が必要なためだ。

先述したが、ランドローバーがディフェンダー 130で自信を見せる強みは、大人8名が不満なく過ごせる車内空間。確かに何列目かを問わず、頭上にも足元にも余裕がある。

一般的な3列シートのSUVでは、最後列は小柄な大人までしか長時間は耐えられないだろう。しかし130なら、3列目でも英国人の大人2名が快適に過ごせる。3名では少々窮屈だと思うが、大きな子供がいる大家族や両親との旅行などで活躍するに違いない。

3列目への乗り降りは、2列目シートを前方にスライドして作られる隙間から、リアドアを介して。2列目のドア側に座っている人が降りるまで、待つ必要がある。ご想像の通り、乗降性が良いとはいえない。

助手席だけでなく2列目と3列目の両サイドにも、ISOFIX規格のチャイルドシート固定ポイントが用意されている。また40:20:40に分割して折りたため、長尺の荷物なども積みやすい。リア側2列すべてを折りたためば、2500L以上の広大な空間が出現する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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