新型トヨタ・プリウス、存在意義は? EV時代にハイブリッド 「みんなの手が届くエコカー」とは

公開 : 2022.11.16 20:03

新型トヨタ・プリウスの発表会では、「手の届くエコカー」という表現が用いられました。新型にはどんなメッセージが込められているのでしょう?

5代目プリウス 世界初公開

トヨタが公開した新型プリウスが注目を集めている。

新型には、いったいどんなメッセージが込められているのだろうか?

新型プリウス(2.0Lプラグインハイブリッドのプロトタイプ)
新型プリウス(2.0Lプラグインハイブリッドのプロトタイプ)    宮澤佳久

ワールドプレミアに登壇した同社のサイモン・ハンフリーズ デザイン統括部長のプレゼンテーションを振り返ろう。

環境性能の高いモデルといえば、燃費性能やCO2排出量の削減実績といった数値がひとり歩きしがちだ。

しかしプリウス・シリーズの最大の功績は、そうした数値よりも「ガソリンやディーゼルに代わる、現実的な選択肢を広めたことにあります」と話す。

ハイブリッドという新たな扉が、トヨタだけでなく、自動車業界全体に受け入れられ発展してきたことが、何より大きな成果だというのだ。

EV、FCVよりも、身近なエコカー

そして、EV時代が近づいてきている現代において、ハイブリッドのアイコンであるプリウスの存在意義を、「みんなの手が届くエコカー」という言葉で表現した。

「カーボンニュートラルの実現には、世界中のみんなで協力しなければならない。だからこそ、“みんなの手が届くエコカー”が必要なのです。そして、それは明日からではなく、今日から始める必要があるのです」と力強く語るサイモン氏。

新型プリウス発表会でプレゼンテーションするサイモン・ハンフリーズ デザイン統括部長
新型プリウス発表会でプレゼンテーションするサイモン・ハンフリーズ デザイン統括部長    宮澤佳久

トヨタには「エコカーは普及してこそ」環境へ貢献できるという考えがあり、その役割を端的に表した言葉といえるだろう。

都内でお披露目された新型は、とりわけ新しいデザインが目を引く。

「エンジニアリングチームは、車高を下げ、ホイールベースを長くし、タイヤを19インチにする努力をしましたが、必ずしもそれは論理的ではありません。しかし、プリウスの象徴的なシルエットを次なるレベルへ昇華させることができたのです」

「なめらかなだけでなく、力強く、安定しており、また、大胆でシンプルなだけでなく、表面の動きも豊かです」

内装 12.3インチのスクリーン

車内に入ると、デジタル化が一歩進んでいることが分かる。

「今の時代、優れた統合デジタル体験も無視できません。12.3インチのセンタースクリーンを採用しただけでなく、デジタル環境がドライビング体験を損なうことなく、むしろ高めるようなレイアウトとしています」

新型プリウスの前席内装(プロトタイプ)
新型プリウスの前席内装(プロトタイプ)    宮澤佳久

「また、高い素材品質や革新的なイルミネーションを組み合わせることで、インテリアのユーザーエクスペリエンスも人々の心をつかむものに仕上げました」

注目のパワートレインは3種類。

「2.0Lハイブリッド(システム出力:193ps)」「1.8Lハイブリッド(同140ps)」、そしてトヨタ初となる「2.0Lプラグインハイブリッド(同223ps)」だ。

現時点では燃費性能が明らかにされていないが、「ずっと乗っていたくなる、気持ちのいい走り」を実現したという。

今後、新型プリウスは、日本をはじめ、北米・欧州と順次グローバルに展開していく。

ハイブリッド仕様の発売は今冬とアナウンスされているから、新しい情報が入り次第レポートしていくことにしよう。

記事に関わった人々

  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。
  • 執筆

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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