運命を分けたスポーツカー ダットサン240Z(フェアレディZ) トライアンフTR6 1969年の2台 後編

公開 : 2022.12.04 07:06

古き良き時代という魅力に溢れたTR6

TR6のインテリアは見るからにクラシカル。ウッドパネルのダッシュボードに大きなメーターが並び、エアベントは2か所しかない。

プラスティッキーな240Zより質感は高く、古き良き時代という魅力には溢れている。メーターのベゼルや、ドアパネルの要所要所にクロームメッキが輝く。美しいスミス社のメーターが、車内全体の雰囲気を作り出している。

トライアンフTR6(1969〜1976年/英国仕様)
トライアンフTR6(1969〜1976年/英国仕様)

だが、人間工学に対する意識は低かった。不快なわけではないものの、腕まわりの空間にはもう少し余裕が欲しい。

トライアンフもダットサンも、クラシック・スポーツカーとしての訴求力に不足はない。それでも240Zは信頼性や快適性、実用性を備えつつ、秀でた動力性能と楽しさとを両立させた巧みなバランスにある。

150psを少し上回るという最高出力は近似しているが、現実の世界では240Zがより速く目的地へ到着できることも間違いない。TR6は現在でも人気のブリティッシュ・クラシックだが、スポーツカー市場の進む未来は決まっていた。

後継モデルとなるTR7では、トライアンフはロードスターではなくクーペボディを選んだ。市場の変化へ対応するべく、プラスティック製のダッシュボードに5速MT、柔軟なサスペンションを与え、ダットサンを追おうとした。

TR6のようなモデルが、その後に誕生することは他社からもなかった。240Zに対する回頭を、多くのメーカーが追い求めたこととは対照的に。

協力:アルン社、レン・ウォルシュ氏、フォーウェイズ・エンジニアリング社

ダットサン240ZとトライアンフTR6 2台のスペック

ダットサン240Z(日産フェアレディZ/1969〜1973年/北米仕様)のスペック

英国価格:2288ポンド(1971年時)/5万ポンド(約830万円)以下(現在)
販売台数:15万6078台
全長:4140mm
全幅:1625mm
全高:1283mm
最高速度:201km/h
0-97km/h加速:8.0秒
燃費:8.5km/L
CO2排出量:−
車両重量:1038kg
パワートレイン:直列6気筒2393cc自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:153ps/5600rpm
最大トルク:20.1kg-m/4400rpm
ギアボックス:5速マニュアル

トライアンフTR6(1969〜1976年/英国仕様)のスペック

英国価格:1536ポンド(1971年時)/3万ポンド(約498万円)以下(現在)
販売台数:9万4619台
全長:3949mm
全幅:1549mm
全高:1270mm
最高速度:191km/h
0-97km/h加速:8.2秒
燃費:6.4km/L
CO2排出量:−
車両重量:1122kg
パワートレイン:直列6気筒2498cc自然吸気OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:152ps/5500rpm
最大トルク:22.6kg-m/3500rpm
ギアボックス:4速マニュアル

トライアンフTR6(1969〜1976年/英国仕様)
トライアンフTR6(1969〜1976年/英国仕様)

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・カルダーウッド

    Charlie Calderwood

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ウィル・ウイリアムズ

    Will Williams

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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