クラシカルな魅力が漂う ボルボV90 クロスカントリー T5へ試乗 ブランドらしいワゴン 前編

公開 : 2022.12.04 08:25

定番のワゴンボディに四輪駆動と高めの足まわりを備えたクロスカントリー。クラシカルな魅力を英国編集部は評価します。

クラシカルな味わいのクロスカントリー

車高を持ち上げ、アウトドア感を強調したフルサイズのステーションワゴンは、近年の変化が激しい自動車市場を生き残ることはできないのかもしれない。数年前までは、各メーカーがラインナップしていたのだが。

アウディはA6のオールロード・クワトロを、メルセデス・ベンツEクラスのオールテレーンをまだ販売しているが、英国オペルヴォグゾールフォルクスワーゲンの廉価ブランド、シュコダに至るまで、しっかりカタログに載っていた。

ボルボV90 クロスカントリー・プラス B5 AWD(英国仕様)
ボルボV90 クロスカントリー・プラス B5 AWD(英国仕様)

だが、A6オールロード・クワトロは2022年に英国のショールームから姿を消してしまった。日本へも現行型は導入されていない。Eクラスのオールテレーンも、2021年以降は英国で販売されていない。

クロスオーバーのシューティングブレークという、新しいボディ形態も生まれている。それでも、コンベンショナルなステーションワゴンにオフロード性能を組み合わせたモデルへ、今でも強い魅力を感じるのは筆者だけだろうか。

しかし、諦める必要はない。クラシカルな味わいのボルボV90 クロスカントリーは、まだ英国でも販売が続けられている。

簡単にいってしまえば、最低地上高を60mmかさ上げし、ヒルディセント・コントロール付きの四輪駆動システムを搭載し、オールシーズン・タイヤを履いたボルボV90。ぬかるんだ草原や凸凹の砂利道など、深刻ではないオフロードへ対応するワゴンだ。

ボルボの大型ワゴンを欲する層にも響く

英国のカタログを読み込んでいたところ、ダイナミック・スポーツサスペンションを装備しない唯一のV90になっている。四輪駆動で、ディーゼルターボやマイルド・ハイブリッド・ガソリンターボを選べる、唯一のV90でもある。

V90 クロスカントリーは、アクティブなライフスタイルを求める新しいユーザー層をターゲットにしている。だが、従来のようなボルボの大型ステーションワゴンを欲するドライバーにとっても、訴求力の高い選択肢になり得るようだ。

ボルボV90 クロスカントリー・プラス B5 AWD(英国仕様)
ボルボV90 クロスカントリー・プラス B5 AWD(英国仕様)

英国で選べるエンジン・ラインナップは、マイルド・ハイブリッドの2.0L 4気筒ガソリンターボが、250psと300psという2択。マイルド・ハイブリッドのディーゼルターボは、190psを発揮する。

もちろん、プロペラシャフトで結ばれた実直な四輪駆動システムが載っている。ボルボがリチャージと呼ぶ、プラグイン・ハイブリッドはラインナップされていない。都市部から遠く離れた海岸や山岳部では、充電が困難だからかもしれない。

トリムグレードは、プラスまたはアルティメットという2種類が英国では選べる。前者がベーシックなもので、横向きのリーフスプリングに通常のダンパーが組み合わされたサスペンションが装備される。

アルティメットには、リア側にセルフレベリング機能付きのエアサスペンションが組まれ、アダプティブダンパーも備わる。フルLEDヘッドライトにヘッドアップ・ディスプレイ、バウワース&ウィルキンス(B&W)のプレミアムオーディオも付いてくる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

クラシカルな魅力が漂う ボルボV90 クロスカントリー T5へ試乗 ブランドらしいワゴンの前後関係

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