【実際に購入レポート】ポルシェ・タイカンの長期テスト(13)国内の充電設備 設置の現状/今後の展開

公開 : 2022.12.31 17:45  更新 : 2023.03.16 01:19

一番の問題 目的地充電

さて、私が一番問題としているのは目的地充電である。

これについては、経済産業省の報告書にも従業員駐車場や商業施設、宿泊施設と書かれているだけで、宿泊施設の特殊な事情については、残念ながら議論された形跡がない。

このうち、従業員駐車場は8時間労働としても個人宅と同様の普通充電器の設置で解決出来るだろう。

職場の場合、基本的に自宅で充電してくる人が殆どのはずだから数も大きな問題にはならないだろう。

また、商業施設では精々数時間の滞在なので急速充電器の設置が望ましいが、これも、無いよりはあった方が良いレベルであろう。

しかし、これまでも、何回もこの欄で主張しているような宿泊施設の特殊性については、省庁も含めてどうやら正確に認識されておらず、検討されたこともないようであった。

改めて、宿泊施設の特殊性をおさらいすると、仮に50室ある旅館であれば、EVの普及に伴い、毎日、全く違う宿泊者が最大50組、すなわち50台のEVが来館するはずで、その際の充電をどうするのかは大きな問題であり、他にこのような例はない。

しかし、それぞれの旅館で、部屋数分だけの充電器を用意するのは現実には難しく、かと言って、途中のどこかの急速充電器を利用しても、翌朝、満充電で出発できる保証はない。

旅行などでは、翌日、満充電で朝を迎えるのが大きな安心材料で、長距離になればなるほどその必要性は高まるはずだ。

全国に数万件もある旅館がしっかり充電器を備える、というのは、「EVでの旅行の安心担保」という意味で、最重要項目の1つではないかと思われる。

将来的には、部屋の予約と充電器の予約はセットになるはずだし、現在、無料が殆どの充電費用も有料になるのは眼に見えている。

これらの条件を全て解決しないと宿泊施設の問題は解決しないのである。

では、まず、どのような宿泊施設にどのくらいの充電器を設置すればよいのか、これは、全国レベルでレギュレーションを決め、特別な補助金を設定してでも、いち早く統一で設置する必要があると思う。

そこで、現在、私が所属している全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会として、関係各所に呼びかけをし、来年度にかけ一気に全国の旅館ホテルに設置をできないかと考えている。

ある程度、企画がまとまったら何れご報告したいと思う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    笹本健次

    Kenji Sasamoto

    1949年生まれ。趣味の出版社ネコ・パブリッシングのファウンダー。2011年9月よりAUTOCAR JAPANの編集長を務める。出版業界での長期にわたる豊富な経験を持ち、得意とする分野も自動車のみならず鉄道、モーターサイクルなど多岐にわたる。フェラーリ、ポルシェのファナティックとしても有名。

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