メルセデス・ベンツEQE 詳細データテスト 徹底した快適志向 良好な操縦性 らしさのない質感

公開 : 2023.01.14 20:25  更新 : 2023.02.13 07:56

内装 ★★★★★★☆☆☆☆

EQEの電動ヒドゥンドアハンドルは、クルマに近づくと自動的に飛び出してくる。しかし、常に作動するとは限らない。作動しない場合には、ドアハンドルのキーレス開錠センサー周辺をいろいろいじるか、ポケットに入れたキーを出さなければならないのがフラストレーションの原因となる。

開錠するメカニズムもそうだ。一般的にはタッチ式マイクロスイッチでオープンするが、それも効かなければ無理に引っ張らなければならない。

センター画面は12.8インチの縦型で、メーターパネルは12.3インチ。全面ディスプレイのハイパースクリーンは、上位機種に設定される6995ポンド(約112万円)のオプションだ。
センター画面は12.8インチの縦型で、メーターパネルは12.3インチ。全面ディスプレイのハイパースクリーンは、上位機種に設定される6995ポンド(約112万円)のオプションだ。    MAX EDLESTON

それは、デジタルテクノロジーに固執したインテリアにも言えることだ。それはメルセデスが、カリフォルニアのシリコンバレーで生まれた新興メーカーの脇役に甘んじるつもりはないことを示すためのもの。それはテクノロジーそのものでも、それがむたらす付加価値でも。

EQEは、現行SクラスEQSと同じく、12.8インチ縦型タッチディスプレイのMBUXインフォテインメントと、12.3インチのデジタルメーターパネルを装備。テスト車には、ヘッドアップディスプレイも備わっていた。最上位モデルのEQE 53では、ダッシュボード全体に画面を配したハイパースクリーンも選択できる。

その周囲には、マルチカラーのアンビエントライトが設置され、加減速に合わせてSF映画の宇宙船がワープするときを思わせる、脈動するような光を放つよう設定することもできる。ネオンの光とデジタルテクノロジーに包まれて走るのが、アバンギャルドなドライブだと考えているなら、おおいに気に入るだろう。

しかし、そうはならないかもしれない。それらすべての技術と引き換えに、メルセデス伝統のマテリアルのクオリティが犠牲になっているのも確かだからだ。EQEのインテリアには、ややプラスティッキーでチープに感じる部分もある。それ以外の部分は、もっと高い水準にあるのだが。

満載されたデジタルコンソールやアンビエントライトは洗練された輝きを放つが、古き佳きメルセデスの奥深い質感に比べると、表面的な演出に見えてしまう。

メルセデスによれば、EQEのショルダールームや室内長はEクラスより上だという。ただし、われわれの計測では、880mmという後席ヘッドルームに不足を感じる。現行Eクラスは900mmだった。

だから、このクルマは背が高い乗員にとっては理想的とはいえない。レッグルームは前後とも広いが、オアシスのように快適だというほどでもない。センターコンソールは高く、ダッシュボードのボリュームも大きいので、前席スペースは少なからず食われている。

キャビンの収納スペースはおおむね実用的だ。ドアポケットはもちろん、高いトランスミッショントンネルの内側や下の収納部もまずまず大きい。開放感を追求したEVの中には、収納スペースを省いて広さを稼いでいるものもある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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