メルセデス・ベンツEQE 詳細データテスト 徹底した快適志向 良好な操縦性 らしさのない質感

公開 : 2023.01.14 20:25  更新 : 2023.02.13 07:56

結論 ★★★★★★★☆☆☆

メルセデスはEQEで、電動モデルによって自社の伝統的なプロダクトのポジションを全面刷新する機会を得た。このクルマは、妥協なき洗練性と静粛性を目指した。さらに室内は快適で、そしてなによりはっきりしているのは最上級サルーンで目にするようなデジタルテクノロジーを採用しているということだ。

EQブランドの新たな特色を形成しようと模索したのが、このEQEだ。テスラはそれに成功したが、そこまでに過去10年間をまるまる費やしている。

結論:快適性やテクノロジーはおみごと。しかし航続距離やマテリアルのクオリティ、スペースは物足りない。
結論:快適性やテクノロジーはおみごと。しかし航続距離やマテリアルのクオリティ、スペースは物足りない。    MAX EDLESTON

もちろん、2023年現在となっては、MBUXは10年前のモデルSのようなインパクトを持ち得ない。さらにEQEは、違う点でもそこを補うのに苦心している。キャビンの広さは平均的で、質感は良し悪し入り混じっている。過剰なまでのパフォーマンスもなければ、現実的な航続距離は、驚くほどのことはない。

やや無味乾燥気味で、SFチックな新世代サルーンに、もう少し古き佳きメルセデス・ベンツらしい魅力がほしくなったのは皮肉な話である。テスラを打ち負かせるかどうかは、結局のところ運任せになってしまいそうだ。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

マトリョーシカのように大きさだけ違って同じデザインに見えるEQEとEQSは、遠目に見たら取り違えるかもしれない。ビジネスサルーンのマーケットというのはコンサバティブなことで知られるが、個人的にはこのクルマがメルセデスらしいとは思えない。

イリヤ・バプラート

試してはいないが、中毒的なチョコレート好きなら、EQEのために用意された車内用フレグランスのメルセデス・ムードが気にいるに違いない。ビタースイートと名付けられた香りは、ダークチョコレートを模したものだからだ。

オプション追加のアドバイス

EQE 350のAMGライン・プレミアムがおすすめだ。安全装備はアップグレード版となり、ラインナップ中では小径なほうの20インチホイールが非常に快適な乗り心地をもたらす。もし家庭用チャージャーが必要なら、875ポンド(約14万円)からの設定だ。

改善してほしいポイント

・もっとメルセデスらしい定義と幾何学的なシェイプを、エクステリアのデザインに取り入れてほしい。
・後席スペースを、Eクラス並みに広げてもらいたい。
・励起モーターの採用を検討してはどうだろう。効率改善と、巡航速度の向上が実現できるはずだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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