ハタチぶんの進化 フォルクスワーゲン・ゴルフ R ゴルフ R32 Mk8とMk4を比較試乗 前編

公開 : 2023.01.21 09:45

GTI以上のホットハッチが目指された「R」の登場から20年。初代のR32と最新版の特別仕様を、英国編集部が比較しました。

最新ゴルフ Rとご先祖のR32を直接比較

フォルクスワーゲン・ゴルフ GTIは、世界初のホットハッチではなかった。だが、われわれに大きな影響を与えた画期的なモデルといえた。GTIの3文字は2023年でも淘汰されることなく、同社のブランド力を強力に補完している。

2002年、フォルクスワーゲンは次の一手に出た。手始めにゴルフ R32をリリースし、2010年からはシンプルにゴルフ Rへ改名し、ホットハッチ市場を牽引してきた。

ホワイトのフォルクスワーゲン・ゴルフ R 20イヤーズと、ブルーのフォルクスワーゲン・ゴルフ R32(Mk4)
ホワイトのフォルクスワーゲン・ゴルフ R 20イヤーズと、ブルーのフォルクスワーゲン・ゴルフ R32(Mk4)

その能力は確かなものだった。公道ですべてのパフォーマンスを展開可能で、四輪駆動化され天候を気にする必要もなかった。それでいて、ゴルフ本来の魅力はしっかり保たれていた。

フォルクスワーゲンは記念日を大切にする。5年毎にアニバーサリー仕様で自らお祝いすることが慣例になっている。ゴルフ R32の誕生から20周年を迎え、ゴルフ R 20イヤーズが登場したことはAUTOCARの読者ならご存知かもしれない。

英国での発売に合わせて、同社はヘリテイジ部門が管理するゴルフ R32をグレートブリテン島に持ち込んだ。20年前のことが記憶にない、という若いドライバーにも訴求できるように。

こんな機会は滅多に巡ってこない。フォルクスワーゲンは意図していなかったかもしれないが、最新のゴルフ Rとそのご先祖を直接比較する以外、われわれが取るべき手段はないだろう。

小さなボディに3.2L V6エンジンを搭載

2023年の基準で考えると、小さなボディに3.2Lの狭角V型6気筒エンジンを押し込んだR32は特別感が強い。とはいえ、20年前には同様のアイデアをひらめいたメーカーがほかにもあった。

アルファ・ロメオは、前輪駆動の147 GTAをラインナップしていた。こちらにも、3.2LのV6が載っていた。懐かしい・・。

ホワイトのフォルクスワーゲン・ゴルフ R 20イヤーズと、ブルーのフォルクスワーゲン・ゴルフ R32(Mk4)
ホワイトのフォルクスワーゲン・ゴルフ R 20イヤーズと、ブルーのフォルクスワーゲン・ゴルフ R32(Mk4)

さて、気を取り直してフォルクスワーゲンに戻ろう。R32とR 20イヤーズを比べてみると、類似点は少なくない。0-100km/h加速は6.4秒から4.6秒へ短縮しているが、充分以上の速さであることには違いない。

どちらも四輪駆動を備え、路面状態を問わず速く走れる。装備は充実し、クラス上のモデルに迫る内容といえる。アルミホイールをインチアップしただけのような、見た目重視の内容ではない。

まず筆者がステアリングホイールを握ったのは、最新版のR 20イヤーズ。撮影場所まで味わおうと考えていたが、タッチモニターに触れながら好みの設定へ調整している間に、10分が過ぎてしまった。

レーンキープアシストとアイドリング・ストップ、トラクション・コントロール、ドライブモードの設定を変えるには、それぞれ異なるメニューからアクセスしなければならない。タッチモニターの反応は良好で、固まることもなかったが。

1度操作に慣れれば、設定は簡単。どのモードがぴったりなのか、確かめるのにも時間は掛からない。デュアルクラッチATの7速DSGは滑らかに変速を続け、車内は静か。乗り心地も高性能モデルとしては快適といえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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