24時間で英国初回分は完売 ヒョンデ・アイオニック6へ試乗 マイルドな走り味

公開 : 2023.02.07 08:25

各国で好評価なアイオニック5の兄弟、6が英国へ上陸。テスラ・モデル3の競合の完成度を、英国編集部が確かめました。

EVでも24時間で英国の初回仕様は完売

物価高が深刻な英国だが、仕上がりの良いクルマは売れている。AUTOCARの読者なら、トヨタGR86が90分で完売したことはご存知かもしれない。

それ以外にも、とあるサルーンが英国で人気を集めた。ヒョンデ・アイオニック6のファーストエディションが、24時間で売り切れたらしい。90分と比べれは長い時間だが、バッテリーEV(BEV)であることを考えると、誇らしい結果だといえる。

ヒョンデ・アイオニック6 RWDアルティメット(英国仕様)
ヒョンデ・アイオニック6 RWDアルティメット(英国仕様)

半導体不足などの影響で提供が遅れ、本国で販売が始まったのは2022年10月。その韓国仕様のレビューも、11月にご紹介したばかりだ。英国のディーラーには、2023年3月頃からクルマが割り振られるというが、既に好調といえるだろう。

アイオニック6は、非常に個性的なスタイリングをまとっている。以前にお会いした、ヒョンデのクリエイティブ部門を率いるリュック・ドンカーヴォルケ氏との話のなかで、斬新なものだとは知っていたが、実際はそれ以上だった。

シルエットは流線型で、テールはなだらかにカーブを描く。その途中で、一段高いスポイラーが後端へ伸びる。一般の交通に紛れても、存在感は小さくない。

ただし、ボディカラーは慎重に選んだ方が良いかもしれない。ブラックの場合、折角のディティールが影に紛れて知覚しにくい印象だった。目立ちたくないオーナーには、好都合かもしれないが。

航続距離はアイオニック5より僅かに長い

基礎骨格をなすプラットフォームは、アイオニック5と同じE-GMPと呼ばれるもの。駆動用バッテリーも、同様に77kWhのものが載る。

滑らかなスタイリングのおかげで、空気抵抗を示すCd値は0.21と驚くほど小さく、アイオニック5より航続距離は僅かに長い。後輪駆動のシングルモーターでは、一度の充電で544kmを走れるという。テスラモデル3 パフォーマンスにも並ぶ数字だ。

ヒョンデ・アイオニック6 RWDアルティメット(英国仕様)
ヒョンデ・アイオニック6 RWDアルティメット(英国仕様)

他のBEVと同じく、気温の低い冬場は駆動用バッテリーの能力も落ちる。試乗時は、370km程度へ短くなっていた。

パワートレインのシステムも、アイオニック5譲りの電圧800Vという高性能なもの。急速充電能力は350kWに対応し、最短18分で10%から80%まで回復できる。大容量の充電器を見つけられれば、だが。

高性能なツインモーター版も用意される。シングルモーター版より航続距離は25kmほど短くなるが、0-100km/h加速は7.4秒から2.3秒も縮める。もっとも、今回試乗した258psのシングルモーターでも、まったく不足ない速さは備える。

英国で展開されるトリムグレードは、初回限定のファーストエディションを除いて2段階。プレミアムは4万6745ポンド(約747万円)からで、アルティメットは5万245ポンド(約804万円)からとなる。

この設定は、アイオニック5とほぼ同じ。目的に応じて、ハッチバックかサルーンを選んで欲しいと考えているのだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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