24時間で英国初回分は完売 ヒョンデ・アイオニック6へ試乗 マイルドな走り味

公開 : 2023.02.07 08:25

品質の高いインテリアに大きな2連モニター

試乗車のアルティメットは装備が充実しており、割高でも選ぶ価値はありそうだ。上級なフロントシートとオーディオシステム、ヘッドアップ・ディスプレイ、360度カメラ映像機能などが備わる。

インテリアの組み立て品質は高く、レイアウトも整い、車内には開放的な雰囲気が漂う。着座位置は想像より高めだが、ドライビングポジション自体に不自然なところはない。

ヒョンデ・アイオニック6 RWDアルティメット(英国仕様)
ヒョンデ・アイオニック6 RWDアルティメット(英国仕様)

ダッシュボードには大きな2連モニターが据えられ、システムを操作するための、実際に押せるハードボタンも残されている。大部分のインターフェイスがタッチモニターに集約されているわけではなく、使い勝手は良好だ。

リアシート側は、前後方向には感心するほど広いが、なだらかに傾斜するルーフラインとフロアに敷かれた駆動用バッテリーの影響で、上下方向のゆとりは限定的。身長の高い大人がリアシートへ座るなら、アイオニック5の方が喜ばれるだろう。

助手席の角度調整ボタンは、リア側からでも触れられる場所にある。子どもがいたずらするかもしれない。

ゆったりマイルドな走り味 完成度は高い

アイオニック6を発進させてみると、加速具合は予想通り。静止状態から鋭くスピードを乗せていき、高速域になるにつれて徐々に勢いが鈍っていく。スペック以上に速いとは感じないが、これ以上必要はないだろう。

緩やかにカーブを描くスタイリングへ呼応するように、走り味はゆったりマイルド。シャープなアイオニック5との差別化が図られている。高速道路でも乗り心地は滑らかで、快適に感じられる。宙に浮くのではなく、路面へしっかり追従する。

ヒョンデ・アイオニック6 RWDアルティメット(英国仕様)
ヒョンデ・アイオニック6 RWDアルティメット(英国仕様)

ステアリングホイールの操舵には適度な重さが伴い、レシオも妥当。長距離でも疲れにくそうだ。

ただし、舗装の悪い区間は得意ではない。20インチと大径なホイールも影響し、サスペンションはバネ下の動きを処理しきれず、小さくない振動が車内へ届く。

路面の起伏などはしなやかにこなすため、硬すぎることはないものの、連続した入力は苦手といえる。それ以外の印象が良いだけに、快適性で及ばないのは少々惜しい。

後輪駆動ということで、上質なサルーンでありながら、コーナーでの自由度も備わっている。濡れたロータリー交差点でアクセルペダルを深く倒したところ、僅かなテールスライドとカウンターステアを興じれた。

英国の一般道では、アイオニック5の方が全体的な評価では勝るかもしれない。しかし、アイオニック6も完成度は決して低くない。テスラモデル3ポールスター2などの好敵手といっていい。ヒョンデの攻勢は、まだまだ続きそうだ。

ヒョンデ・アイオニック6 RWDアルティメット(英国仕様)のスペック

英国価格:5万245ポンド(約804万円)
全長:4855mm
全幅:1880mm
全高:1495mm
最高速度:185km/h
0-100km/h加速:8.4秒
航続距離:544km
電費:6.2km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1835kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:77.0kWh
急速充電能力:350kW
最高出力:258ps
最大トルク:35.6kg-m
ギアボックス:シングルスピード・リダクション

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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