運転の「本質」を味わえるスポーツセダン 10選 一流のドライバーズカーとは何か

公開 : 2023.03.19 18:05

6. アウディS3セダン

S3の4ドア・セダンは、2013年の3代目までファミリーの一員ではなかったが、その後すぐにモデルレンジに馴染んでいったようだ。2020年デビューの新型A3のラインナップに加わることも驚きではなかった。また、S3は、尖ったパフォーマンスモデルのRS3の下に控えるモデルである。

新型S3は、標準車より角ばったデザイン、わずかに拡大したホイールアーチを使用することで、これまで以上にアグレッシブに見せている。MQBスケーラブル・アーキテクチャーを発展させ、従来からあるターボチャージャー付き2.0L 4気筒エンジン「EA888」から最高出力310psを発揮し、ハルデックス製トランスミッションを介して4本の車輪を駆動する。スムーズで艶やかなパフォーマンスを発揮し、低速域での力強さとリニアなパワーデリバリーで、0-100km/h加速を4.8秒で走破する。

6. アウディS3セダン
6. アウディS3セダン

しかし、やや控えめなドライビング・エクスペリエンスに変化はなく、アウディのスポーツ性もラグジュアリーなフィルターを通して伝わってくるため、楽しさの要素は(すべてとは言わないが)消されている。常に安定していて、悪天候でも落ち着きを保っているが、運転するための道具としては、メルセデスAMG CLA 35をはじめとする他車に遅れをとっている。オプションのアダプティブダンパーにチェックを入れなければ、しっとりとした乗り心地も捨てることになる。

デザインとしては、高級感ある素材を用いたインテリアと相まって、比類ない魅力を備えている。そして、毎日一緒に暮らす気楽でスポーティな小型セダンとして、無視できない輝きを持っている。

7. フォルクスワーゲンアルテオンR

プジョー508と同様、アルテオンは厳密にはハッチバックだが、その流麗なラインはさながらセダンであるかのように錯覚させる。パサートに続いて、縮小しつつあるDセグメントでフォルクスワーゲンの旗手となるモデルである。しかし、今回アルテオンRをピックアップしたのは、洗練されたエクステリアにゴルフRの心臓が隠されており、パフォーマンスにも優れているためだ。

アウディS3と同様、定評のあるEA888型2.0L 4気筒エンジンが搭載されているが、アルテオンRでは最高出力320psにチューニングされており、0-100km/h加速4.9秒という速パフォーマンスを実現している。また、7速DCTはスムーズで素早いシフトチェンジを見せる。

7. フォルクスワーゲン・アルテオンR
7. フォルクスワーゲン・アルテオンR

大きなクルマだが、それでもハンドリングは落ち着いていて正確。ステアリングは滑らかで、自然な反応速度が特徴だ。また、ターンイン時の食いつきもよく、腰のあたりでクルマが綺麗に旋回するような、まるでカサガイ(貝の一種)のようなグリップがある。調整機能はほとんどなく、路面で何が起こっているかという基本的なことを教えてくれるだけのフィードバックしかないが、それでもつい道路に躍り出たくなるような好ましいデバイスである。

広々としたキャビン、快適な乗り心地、そして力強さを備えたこのドイツ車は、すべてをこなせる高速ファミリーカーを求める人にとって、素晴らしい選択肢となるはずだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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