快適性と操縦性をバランス ポルシェ・カイエン E-ハイブリッドへ試乗 3代目がマイチェン

公開 : 2023.05.28 08:25

ポルシェのベストセラー・モデル、カイエンがマイナーチェンジ。新しいサスペンションが最大の目玉だと、英国編集部は評価します。

英国での主力はPHEVのE-ハイブリッド

ポルシェのベストセラー、カイエンがマイナーチェンジを受けた。スタイリングだけでなく、インテリアやパワートレインにも大幅な改良が施されている。

2年後の発表に向けて、ポルシェはバッテリーEV(BEV)のカイエンの開発を進めている。こちらは、まったく新しいプラットフォームをベースにするという。それでも、内燃エンジン版へ手を抜くことはなかったようだ。

ポルシェ・カイエン E-ハイブリッド(欧州仕様)
ポルシェ・カイエン E-ハイブリッド(欧州仕様)

ちなみに、BEVのカイエンと並行して、内燃エンジン版も販売は続けられる予定。2017年に販売が始まった3代目のモデルライフは、まだ長い。

発表時には少なくない異論を呼んだカイエンは、同社の主力モデルの一翼を担うようになった。2003年の発売以来、125万台が売れている。もちろん、優れた評価を得るために多くの努力も投じられてきたが。

フェイスリフト後でも、3代目カイエンのベースモデルに、3.0L V6ガソリンターボ・エンジンが積まれることは変わらない。そこへ駆動用モーター追加されるプラグイン・ハイブリッドのE-ハイブリッドが、従来どおり英国では主力グレードになるだろう。

カイエン Sのエンジンは、3.0L V6ターボから、パナメーラ譲りとなるV8ツインターボへ格上げ。パワフルなカイエン・ターボS Eハイブリッドと、走りに振ったカイエン GTSも継続される。

一方で排気ガス規制の強化に伴い、ドライバーズSUVと呼べたカイエン・ターボGTは英国での販売を終える。選択肢はまだ多いとはいえ、少々残念な決断だ。

大幅な変更が加えられたインテリア

今回、筆者が主に試乗したのは、カイエン E-ハイブリッド。駆動用モーターの最高出力は176psと変わらないものの、より多くの電力を供給するため、駆動用バッテリーの容量が増やされている。

電気のみで走れる距離は最長で74kmへ伸び、英国では現物給付税の税率が有利になった。そのかわり、車重はベースグレードのV6ガソリンターボ版より約370kgも増える。システム総合での最高出力は470psだ。

ポルシェ・カイエン E-ハイブリッド(欧州仕様)
ポルシェ・カイエン E-ハイブリッド(欧州仕様)

フェイスリフトに伴い、インテリアも刷新されている。用いられる素材が一流だということに変わりはなく、金属のディティールが高級感を引き上げている。

エアコンの操作パネルには、実際に押せるハードスイッチが残された。こちらにも本物の金属が採用され、タッチは素晴らしい。

ダッシュボードには、1061ポンド(約17万円)のオプションとして、助手席側へ10.9インチ・モニターを指定できるようになった。動画の視聴も可能ということだが、運転席から画面の表示が見えない工夫が施してある。

中央にはタッチモニターが据えられ、ドライバーの正面にはモニター式のメーターパネルが収まる。高精細なグラフィックで描画されるアナログメーターには、メーター毎のリングがなく、不思議な印象を受けた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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