現ラインナップ1番の能力 ジープ・ラングラー 4xeへ試乗 2.0Lターボ+ツインモーター

公開 : 2023.06.05 08:25

本格オフローダー、ラングラーのPHEVが4xe(フォーバイイー)。最も能力に長け、現代に適した仕様だと英国編集部は評価します。

現代に最も適したラングラーの4xe

ジープ・ラングラーは、大自然を愛する人へ向けた理想的なオフローダーだ。丘陵地帯を駆け巡ったり、広大な海辺を流すのに、これ以上適したクルマはないと思う。そして今回試乗したプラグイン・ハイブリッドの4xeは、現代に最も適した仕様だろう。

普段の通勤は、駆動用バッテリーに蓄えた電力で賄える。より遠くを目指す週末には、充分なパワーを発揮する内燃エンジンが活躍してくれる。だが何より、電気の力だけでオフロードを走る新鮮さが素晴らしい。

ジープ・ラングラー・アンリミテッド・ルビコン 4xe(欧州仕様)
ジープ・ラングラー・アンリミテッド・ルビコン 4xe(欧州仕様)

通常のラングラーと同様に、ドアとルーフは比較的簡単に取り外せる。駆動用モーターの静かな回転音と、タイヤが地面を蹴るノイズだけで悪路へ立ち向かうと、内燃エンジンで走る時以上に没入した体験になる。自然が奏でる音を楽しみながら。

既に、この魅力へ少なくない人が気付いている。北米市場では、ジープ・ラングラーの販売数の35%を4xeが占めるそうだ。2023年末には、50%までその割合が高まると予想されている。

プラグイン・ハイブリッドのシステムは、少々複雑。ボンネット内に収まるのは、一般的な2.0L 4気筒ガソリン・ターボエンジンで、最高出力は273psを発揮する。

電気モーターは2基搭載し、1つ目はエンジン側へ追加されたスターター・ジェネレーター(ISG)。39psと6.0kg-mの能力を持ち、一般的なマイルド・ハイブリッドと同様に、エンジンが低回転域にある時にトルクをプラスしてくれる。

現ラインナップで最も能力が高い

2基目は、8速ATのマルチプレート・クラッチとギアの間に内蔵された駆動用モーター。136psと充分なパワーを備え、エレクトリック・モード時は、エンジンを回さずに2369kgあるラングラーを進めることができる。

ISGを備える理由は、メインの駆動用モーターがクラッチより後ろにあるため。エンジンが掛かっている状態なら、ISGは駆動用バッテリーを充電できる。一方の駆動用モーターは、ニュートラルが選ばれない限り、単独で回転はできないのだ。

ジープ・ラングラー・アンリミテッド・ルビコン 4xe(欧州仕様)
ジープ・ラングラー・アンリミテッド・ルビコン 4xe(欧州仕様)

さらに面白いのが、内燃エンジンで走るのと同様に、駆動用モーターでの走行時も8速ATを介することになる点。ジープが長年培ってきた四輪駆動システムを、従来どおり利用することを可能にしている。ローレシオのトランスファーも、ロッキングデフも。

4xeならではといえるのが、電気モーターらしいシームレスさ。極めて低速で走る場面でも、クラッチを滑らせたりする必要はない。ダイレクトな反応で、回転直後から24.9kg-mのトルクをタイヤへ伝えることが可能。スピードの調整も遥かに簡単だ。

一度の充電で最長33km走れる、駆動用バッテリーの容量は11.7kWh。車重はプラグイン・ハイブリッドではない2.0Lエンジンを積んだラングラーより、約360kg重い。

ぬかるんだ路面では、足を取られやすい可能性もある。それでも、ジープは現在のモデルラインナップのなかで、最も能力が高いと考えている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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