メルセデス・ベンツEQS 詳細データテスト 望外の操縦性 SUVよりMPV的 シートの操作に不満 

公開 : 2024.03.30 20:25

メルセデスの電動SUVの頂点に君臨するモデルは、7座キャビンとソフトな足回りで、Rクラスの再来を思わせるMPV的な性格。4WSが生む高い操縦性など美点も多いですが、室内の使い勝手などには疑問も少なくありません。

はじめに

昔ながらの自動車メーカーは、困惑が続いている。長らく使い続けたエンジンや、100年にわたり確立されてきたデザインのルールが適用できなくなったときに、いかにしてアイデンティティを保つのか、という問題だ。形態やネーミングが変われば、ラインナップのヒエラルキーにも大きな影響を与えることになる。

メルセデス・ベンツSクラスのコンセプトは、広く知れ渡っている。ショーファーユースにもオーナードライバーにも対応する高級サルーンだ。対して電動モデルのEQSは、さまざまな点で優秀であり、先進技術のショーケースとは言えるが、威厳あるサルーンとしての地位は確立できていない。厳密に言えば、ハッチバックであってサルーンではない。

テスト車:メルセデス・ベンツEQS450 SUV 118kWhビジネスクラス
テスト車:メルセデス・ベンツEQS450 SUV 118kWhビジネスクラス    JACK HARRISON

EQS SUVはというと、もっと伝統とはかけ離れたところにあるクルマだ。車名だけを見れば背の高い電動Sクラスのようだが、そういうものではない。ずんぐりしたボンネットや、7座のレイアウトを見れば、その思いが強くなる。

EQS SUVとは何者なのか。アラバマ製の巨大なクルマは、アメリカ向けのEVであって、欧州市場などを二の次にしているのか、そのあたりを確かめてみたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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