アルファ・ロメオ・ステルヴィオ 詳細データテスト 乗り心地は硬め 軽さゆえの動力性能 楽しい走り

公開 : 2023.07.08 20:25

結論 ★★★★★★★★☆☆

ジュリアとステルヴィオを発表した2010年代半ば、アルファ・ロメオは最新の高級車づくりにおける細かい部分において大きく前進し、乗り心地に関してはユーザーが受け入れてくれることを望んでいる、とした。

それから6年を経ても、ステルヴィオでそれをあてにするのは、いまなおギャンブルのようなものだ。マイナーチェンジしたこのSUVには、発売当時から変わらず、BMW X3のような揺るぎない質感は備わっていないし、デジタル技術の先進性や上質さにも欠け、上質感や経済性もライバルには及ばない。

結論:プレミアムな洗練性は不足しているが、スポーティさはうまく出ている。
結論:プレミアムな洗練性は不足しているが、スポーティさはうまく出ている。    JOHN BRADSHAW

しかし、キャビンやラゲッジルームのスペースは、ライバルに匹敵する。パフォーマンスやハンドリングのダイナミズムでは、競合車を凌いでさえいる。また、ルックスがよく、価格も魅力的だ。

容易に好ましさを覚えるダイレクトさやシンプルさがあり、それは洗練性や万能性、快適性や高価そうなフィニッシュで競合モデルに及ばないということにもつながる。しかしそれは、このクルマを路上に連れ出し、そのラテン気質をちょっとばかり引き出したい気分のときに、ライバル以上のものを味わわせてくれる。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

ステルヴィオの車線逸脱警報システムは、概ねよくできている。衝突警報システムも気に入ったが、その大きな理由は、警報音がイヴの『フーズ・ザット・ガール?』のトランペットに似ているからだ。

イリヤ・バプラート

右ハンドル仕様のアルファが、走行モードのセレクターとハンドブレーキのスイッチをセンターコンソールの運転席側に移設しているのはありがたい。細かい点にも手を抜いていない証拠だ。

オプション追加のアドバイス

アダプティブダンパーも装備するコンペティツィオーネか、さもなくばエントリーグレードのスプリントがおすすめ。アルファレッドは無償色だが、ブラックルーフは371ポンド(約6.8万円)のオプションだ。

改善してほしいポイント

・アダプティブダンパーは、全グレードで選択できるようにしてほしい。
・ランフラットでないタイヤも設定してほしい。そのほうが、乗り心地が穏やかになるだろう。
マセラティが用意しているマイルドハイブリッド仕様を、アルファにも設定してほしい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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