アルファ・ロメオ・ステルヴィオ 詳細データテスト 乗り心地は硬め 軽さゆえの動力性能 楽しい走り

公開 : 2023.07.08 20:25  更新 : 2023.08.11 19:44

走り ★★★★★★★★☆☆

2.0L直4ターボには、大きな変化はない。兄弟分ともいうべきマセラティグレカーレに採用されたマイルドハイブリッドの導入が期待されたが、それは叶わなかった。

280psという出力は、もはやスポーティーなSUVを見慣れたユーザーの興味を引く数字ではないだろう。それでも、パフォーマンスはなかなか強力で、エンジンサウンドはミッドサイズSUVに内燃機関の深淵なるキャラクターを求めるアルファ乗りに、ほどほどながらもアピールするだろう。

もはや特別には感じられない280psというパワーだが、なかなかの加速を見せた。ブレーキ性能も優秀。SUVとしては軽い車重の貢献は小さくないだろう。
もはや特別には感じられない280psというパワーだが、なかなかの加速を見せた。ブレーキ性能も優秀。SUVとしては軽い車重の貢献は小さくないだろう。    JOHN BRADSHAW

ほんの数ヶ月前、われわれがテストしたクルマとの比較は興味深い。その対象はレクサスRX500hだ。ステルヴィオより高価で、わずかに大きく重いが、ハイブリッドパワートレインは371psを発生する。ところが今回のステルヴィオのゼロ発進加速は、97km/hまでで0.4秒、161km/hまでで1.1秒も速いのだ。

ドライコンディションのテストコースで、4WDシステムはスタンディングスタートに必要なトラクションを存分に発揮した。ZF製の8速ギアボックスはややダイレクトさが足りず、変速遅れが1〜2速で見られたが、3速以降はより積極的になり、クイックでスムースなシフトアップをするようになる。必要とあれば、パドルでのマニュアルシフトもスマートに決まる。

中速トルクはかなり太く、ハイギアでも楽に走る。大きくスロットルを踏み足しても、ギアボックスは何段もジャンプせずに反応して加速する。シフトアップして長距離クルーズすると、洗練度はまずまずだが、燃費はさほどではない。それでも、十分にリラックスしたツーリングをするのは簡単だ。

それほど気楽に走る気分ではないときには、エンジンはまずまずの回転ぶりで、レスポンスもよく、なかなかの加速をみせる。とはいえ、アルファの名高いV6ほど魅力的ではなかったのが、昔ながらのアルファ好きには悔やまれるところだ。

ブレーキペダルは、電動機械式アシストの統合型ブレーキブースターと相まって、おおむね直観的に効いてくれる。ただし、ソフトウェアは普段の踏み方を学習し前もって加圧してから、操作に適応させるようだ。入力のスタイルを変えると、それがどんな理由であろうと、その連携にちょっとぎこちないところが出てしまう。

ペダルの踏み応えは軽い。だが、テストではかなりの制動力を発揮した。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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