意外? 本気でカーボンニュートラルに取り組む闘牛 ランボルギーニ・サステナビリティ・デイズ(後編)

公開 : 2023.07.17 05:46

「ランボルギーニのサステナビリティ活動」と聞いても、ピンとこないかもしれません。本社を訪れて、未来のスーパーカーメーカーのあり方を目の当たりにしてきました。後編です。

ピュアな内燃機ランボルギーニを駆る

今回のランボルギーニ本社を中心とした視察ツアーの主題はもちろん「サステナビリティ」にある。だがもちろん、ランボルギーニのプロダクションカーをドライブする機会にも恵まれた。

ランボルギーニのホームタウンであるサンターガタの田舎道には不釣り合いにも見えるが、しかしウラカンSTOやウルス、そしてアヴェンタドールといった一連の尖った時代のスーパーカーはこの街の特産品なのである。

取材陣の足にも選ばれたウラカン・シリーズ。左がSTO、右がテクニカだ。
取材陣の足にも選ばれたウラカン・シリーズ。左がSTO、右がテクニカだ。    ランボルギーニ

中でも特に印象的だったのはウラカンSTOとウラカン・テクニカという熟成されたウラカンから派生したスペシャルモデル達だった。

紫メタリックにイエローの差し色が入ったウラカンSTO。このクルマはサーキット由来のテクノロジーが詰め込まれた1台である。

今回のドライブ体験は試乗というより山の頂上に建つホテルと本社工場間の移動といったかたちなのだが、ウルスで先導してくれるテストドライバー氏が容赦なく飛ばして走ってくれる。このため隊列があっという間に崩れ、路肩で待つ羽目になるのだがそれでもテストドライバー氏は少しもめげない。「ランボルギーニでゆっくり走って何の意味がある?」とでも言いたげな表情である。 

以前日本の公道で試乗した際も明らかなダウンフォースを感じさせてくれたウラカンSTOの印象はイタリアのオープンロードでも変わらない。RWDモデルなのでウェットだったらどうかわからないが、ドライの路面では全くもって盤石なのである。

路面に張り付き、意のままに操れる。だがそんなSTOより光り輝いて見えた1台があった。初めてドライブするウラカン・テクニカである。

ウラカン・テクニカはV10の集大成

先のヴィンケルマン社長の宣言を振り返れば、2022年にデビューしたウラカン・テクニカは純粋なガソリン・エンジンによるランボルギーニ・スーパーカーの最後を飾るモデルの中の1台と言える。

V10ランボの集大成ともいえるウラカン・テクニカの成り立ちは非常に魅力的だ。ミドシップRWDと自然吸気V10エンジンの組み合わせという点でも、今という時代を考えれば信じられないような組み合わせだし、サーキット狙いのSTOを公道用にアジャストしたような成り立ちも魅力的だ。

純V10エンジンを積むランボルギーニの集大成の1台、ウラカン・テクニカ。
純V10エンジンを積むランボルギーニの集大成の1台、ウラカン・テクニカ。    ランボルギーニ

実際に派手なウイング類が異彩を放つSTOを試乗した後にテクニカをドライブすると、身のこなしがはるかに軽快で、コーナーではごく自然なロールも許容するのである。

もちろん最新のランボルギーニのロールは角度的には微々たるもの。とはいえそこまで飛ばして走っていなくてもクルマの挙動をドライバーに伝える能力は図抜けている。

ラナバウトを這うように回りつつ、脱兎のごとく加速する。ミドシップの回答性と情報量豊かなハンドリング、そして右足に吸い付くようにリニアに吠える自然吸気V10エンジン。ウラカン・テクニカはその名が示す通り、まさに純粋な“ガソリン・ランボ”の技術の結晶と言える出来栄えだった。
 
刺激的なドライブ体験の末に到着したのは、ランボルギーニが所有する緑の庭園。その名もランボルギーニ・パークだった。

徹底的にドライビングを楽しんだ後は、余計なCO2は排出することなく未来のサステナビリティを学ぶ。現代のランボルギーニらしいハレとケの精神がそこに込められているように感じられた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

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