意外? 本気でカーボンニュートラルに取り組む闘牛 ランボルギーニ・サステナビリティ・デイズ(前編)

公開 : 2023.07.17 05:45

「ランボルギーニのサステナビリティ活動」と聞いても、ピンとこないかもしれません。本社を訪れて、未来のスーパーカーメーカーのあり方を目の当たりにしてきました。

持続可能な未来、フル電動化に向けた動き

地球にやさしいクルマ作りを! サステナビリティ、カーボンニュートラル、2030年までに電動化ブランドへ! そんな標語が当たり前のように掲げられ、今まさに急な階段を駆け上がっているように見える自動車世界。それはスーパーカー・メーカーの代表格であるランボルギーニであっても例外ではない。

ランボルギーニにとって物理的にも精神的にも重要な意味を持つハイパワーのマルチシリンダーエンジンはエコロジーに決してやさしくはないだろう。彼らは今どのようなビジョンを持って難解なゲームを進めようとしているのか? 

スーパーカーメーカーのサステナビリティ活動とはどんなものなのか? サンターガタを訪れて、彼らの取り組みを覗いてみよう。
スーパーカーメーカーのサステナビリティ活動とはどんなものなのか? サンターガタを訪れて、彼らの取り組みを覗いてみよう。    ランボルギーニ

そんな未来に関する疑問である「サステナビリティ(持続可能な開発、成長)戦略」を披露すべく、ランボルギーニが本拠地であるサンターガタ・ボローニェーゼに世界中からプレスを招き「ランボルギーニ・サステナビリティ・デイズ」というイベントを開催した。

本社内にあるスタジオのような空間に颯爽と現れたステファン・ヴィンケルマンCEOは、力強くビジョンを語る。

2024年以降は全てハイブリッドモデルに切り替わり、その結果として2025年までにCO2排出量の50%削減(2021年を基準として)を目指すという。またCO2排出量は(彼らがフル電動車をラインナップしていると標榜する)2030年までにさらに削減され、80%越えを目標にしている。

これらのCO2排出量削減計画に対してランボルギーニが行った投資は180億ユーロにものぼる。

また同社としては出来上がった製品だけでなく、サプライチェーンまで含めた事業全体でCO2排出量を削減することを重要視している。それこそスーパーカー・ブランドを本気で持続可能なビジネスモデルにしていくための鍵なのである。

最高製造責任者が語る、3つのルール

実際にランボルギーニはサステナビリティの実現に対してどんな活動を行っているのか?

同社のCMO(チーフ・マニファクチャリング・オフィサー)であるラニエリ・ニッコリ氏が説明してくれた。

ヴィンケルマンCEOに続き登壇したラニエリ・ニッコリCMO(左)
ヴィンケルマンCEOに続き登壇したラニエリ・ニッコリCMO(左)    ランボルギーニ

それはAvoid(回避)、Reduce(削減)、そしてCompensate(相殺)という3つのキーワードに基づいて進められているという。

ランボルギーニでは2010年から工場内のビルの屋上や壁、駐車場の屋根等に太陽光パネルを設置しており、年間250万kWhの電力を生産し工場内で消費している。

またドイツで生産されたウルスのホワイトボディをイタリアのランボルギーニまで輸送する手段として貨物列車を利用することで、トラック等で移動した場合よりCO2排出量を85%も削減できるのだという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

ランボルギーニ創業60周年の前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事