サーキットがホーム ロータス・コルティナ 高性能フォード:欧州での60年(1)

公開 : 2023.07.29 07:05

ツインカムエンジンにアルミ製ボディ

本来はロータスの新型ロードスター、エラン用に開発されたヘッドで、60psから106psまで最高出力を高めることができていた。さらに、レースへ向けて一層の性能向上を目指し、コスワース・エンジン・チューニング社へ持ち込まれ、改良が加えられた。

1600ccクラスへ最適化させるため、排気量は1498ccから1558ccへ拡大。ポートの設計も改められ、特別な4気筒ユニットが誕生した。

ロータス・コルティナ(1963〜1966年/英国仕様)
ロータス・コルティナ(1963〜1966年/英国仕様)

ヘイズはチャップマンへ協力を打診し、グループ2レースの参戦規定を満たすべく、1000台のロータス・コルティナを生産する契約を締結。フォードで組み立てられた2ドアボディは、ロンドンの北、チェスハントに構えたロータスの工場へ運ばれた。

届けられたボディには、広範囲に改良が加えられた。トランクリッドとボンネット、ドアだけでなく、クラッチとディファレンシャル・ギアのケースも、軽量なアルミニウム製へ置換。トランスミッションは、クロスレシオの4速マニュアルが選ばれた。

フロント側のサスペンション・ストラットは短縮され、車高も落とされた。さらにリーフスプリングが支えていたリア側は、新開発のコイルスプリング式へ新装。デフ側に固定されたA型フレームで太いトルクを受け止め、横方向の安定性を高めていた。

ボディシェルは、リアシート側からリアフェンダー付近を中心に強化。スペアタイヤも移設され、バッテリーは荷室内へ再配置。前後の重量配分の最適化にも繋がっている。

前輪を浮かせて疾走したジム・クラーク

殆どのロータス・コルティナのボディは、ホワイトのボディにグリーンのサイドストライプというカラーで仕上げられた。ロータスのエンブレムが各所を飾り、5.5Jのスチールホイールが、凛々しい見た目を完成させた。

1963年1月に販売が始まると、瞬く間に英国のモータースポーツ業界が注目。世界中のサーキットで、秀でた能力を証明した。

ロータス・コルティナ(1963〜1966年/英国仕様)
ロータス・コルティナ(1963〜1966年/英国仕様)

特に成功を残したのは、レッドのボディで戦ったアラン・マン・レーシング・チームだろう。だが、レーシングドライバーのジム・クラーク氏によるドライブで、コーナー内側の前輪を浮かせながら疾走するホワイトのマシンも、強烈な印象を残した。

当時のAUTOCARも、高く評価している。「名前からイメージする、荒々しい気質や扱いにくさなど、オイルで手を汚すレーシングカー的な部分はありません」。と。

ただし、発売当初のロータス・コルティナは完璧とはいえなかった。2年間をかけて、量産車としての完成度を高めていった。

1速で75km/hまで引っ張れた高いギア比は、マイルドにチューニングされたコルティナGTのものへ変更。1964年式からは、アルミ製ボディパネルはスチール製へ置換。リア・サスペンションも、ラジアスアームとリーフスプリングのペアへ戻されている。

内容としては、モータースポーツと距離を置く変更ではあったが、耐久性や信頼性が意識され、ユーザーにはメリットのある内容といえた。動的能力には殆ど影響がなかった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・カルダーウッド

    Charlie Calderwood

    英国編集部ライター
  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェイソン・フォン

    Jayson Fong

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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