新しいほどメカは複雑 ジャガーXJ6/XJ12 英国版中古車ガイド 当時世界最高のサルーン(2)

公開 : 2023.09.30 17:46

購入時に気をつけたいポイント

ボディとシャシー

バンパー裏のバランスパネル、ラジエターのクロスメンバー、ボンネットの縁やヒンジ、ヘッドライト周辺、フェンダー、サイドシル、フロアパン、シャシーレッグ、ドアの底部などが弱点。燃料タンクやクロームメッキ部品の状態も確かめたい。

サイドシルのサビが悪化したり、補修が充分でない場合は、リア・トレーリングアーム・マウントの取付部分も弱くなる。最悪、完全に外れてしまう。サンルーフやフロントガラスの縁もチェックポイント。

エンジン

ジャガーXJ12(1972〜1992年/英国仕様)
ジャガーXJ12(1972〜1992年/英国仕様)

傑作といえるV型12気筒エンジンは、直列6気筒と並んで静かで滑らか。完璧にメンテナンスされていれば、リビルドまで24万km以上は耐える。排気ガスの曇り具合や、ガスケットの状態、オーバーヒートの痕跡も確かめたい。

燃料系やバキュームシステムは複雑。整備記録を確かめ、オイル漏れや異常な振動がないか観察する。

トランスミッション

滑らかに変速できるか、異音が出ていないか、試乗で確認したい。キックダウンが正常か、フルードが黒ずんでいないかも確かめる。

初期のボルグワーナー社製ユニットは、そもそも変速がぎこちなく、10万km程度でリビルドが必要になることも。後期型のV型12気筒に組まれた、GM社製のGM400ユニットは堅牢。

インテリア

XJシリーズをちゃんと味わうなら、完璧なインテリアが望ましい。レザーやウッドパネルの状態、スイッチ類などの欠損がないか確かめる。内装のリフレッシュを依頼すると、数1000ポンド(数10万円)は求められる。状態の良い例を選んだ方が得策だろう。

年式が新しくなるほど、電気系統は複雑になる。エアコンやパワーウインドウ、サンルーフなど、すべてが正常に動作するか確かめたい。

サスペンションとブレーキ

リアブレーキとハンドブレーキの調子を確認する。長時間放置されていると固着する場合がある。リビルド費用は安くない。

フロント側はそうでもないが、リアサスペンションのリビルドも高価。すべてのマウントやブッシュ類、ユニバーサルジョイントの状態と異音がないかも調べたい。

ジャガーXJ6/XJ12のまとめ

英国では、XJシリーズの熱心なオーナーズクラブが存在し、部品供給も滞りがない。最も手頃な費用で所有できる、クラシック・スポーツサルーンの1台といっていいだろう。

ただし、ボディやエンジンに目立った不具合を抱えている場合は、高額な出費が必要になる。いつものことだが、状態の良い車両を見つけ、適切なメンテナンスを怠らないことが大切といえる。

良いトコロ

ジャガーXJ12(1972〜1992年/英国仕様)
ジャガーXJ12(1972〜1992年/英国仕様)

殆どの部品を、英国では安価に入手できる。一般的な維持費用は、そこまで高額にはならない。エレガントなスタイリングは、今でも注目を集める。乗り心地は素晴らしい。

良くないトコロ

中古車での取引価格が低調だったため、少なくない例が長期間放置された状態にあった。それに気付かず購入すると、不具合の連鎖に悩まされることも。燃費は悪い。部品の品質にはばらつきがあるようだ。

ジャガーXJ6/XJ12(1968〜1992年/英国仕様)のスペック

英国価格:1万4495〜2万5995ポンド(1984年時)
生産数:9万8227台(シリーズ1)/9万1227台(シリーズ1)/13万2952台(シリーズ3)
全長:4813-4959mm
全幅:1765-1770mm
全高:1359-1372mm
最高速度:188-218km/h
0-97km/h加速:7.4〜11.2秒
燃費:4.2-8.5km/L
CO2排出量:−
車両重量:1537-1920kg
パワートレイン:直列6気筒2792・3442・4235cc自然吸気/V型12気筒5343cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:142ps/5150rpm-303ps/5500rpm
最大トルク:20.7kg-m/4250rpm-43.8kg-m/3000rpm
ギアボックス:4速・5速マニュアル/3速オートマティック(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ジャガーXJ6/XJ12 英国版中古車ガイド 当時世界最高のサルーンの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

ジャガーの人気画像