2024年の日本発売へ期待 ジープ・アベンジャーへ試乗 他に埋もれない個性 ハイブリッド版も

公開 : 2023.11.14 19:05

2024年に日本へも導入予定の電動SUV スクエアでたくましいスタイリング 想像以上に運転が楽しい 悪路性能も高い 英国編集部が評価

2024年に日本へも正規導入予定の電動SUV

オフローダーの代名詞、ジープ・ブランドの欧州市場での売れ行きは芳しくない。SUVに絞っても、そのシェアは1%程度だという。そんな状況を打開するべく生み出されたのが、このアベンジャーだ。

欧州カー・オブ・ザ・イヤーにも選ばれ、評判は上々。英国でも正式に販売がスタートした。2024年には、日本へも正規導入される予定にある。一方で、北米市場での販売は予定されていないという。

ジープ・アベンジャー(英国仕様)
ジープ・アベンジャー(英国仕様)

肝心の価格は、英国では3万5700ポンド(約646万円)から。トリムグレードは簡素化され、オプションもパッケージ化されており、店頭での選びやすさへ配慮されている。

アベンジャーはジープ史上最小モデルで、全長は4084mmしかない。既存のコンパクトモデル、ジープ・レネゲードより約150mm短い、電動SUVとなる。

パワートレインは、156psと26.4kg-mを発揮する駆動用モーターで、前輪駆動。駆動用バッテリーは51kWhの容量を持ち、航続距離は400km前後がうたわれる。急速充電能力は100kWまで。エネルギー効率に優れる、ヒートポンプ式エアコンが標準装備される。

実は、ガソリンエンジン版とハイブリッド版も、2024年に追加される予定がある。電気自動車のインフラ整備が充分に進んでいない、イタリアやスペインなどを対象とした設定だが、英国にも導入される見込み。四輪駆動の4xeも控えている。

スクエアでたくましいスタイリング

ジープ最小のボディサイズで前輪駆動でも、悪路性能はクラス最上位。オーバーハングが短く、路面へボディが接する角度は、フロント側のアプローチ・アングルで20度もある。リア側のディパーチャ・アングルは、32度と不足ない。最低地上高は200mmだ。

プラットフォームは、プジョーe-2008も採用するステランティス・グループでおなじみのeCMP2。だが、オフローダーとして改良を受けている。

ジープ・アベンジャー(欧州仕様)
ジープ・アベンジャー(欧州仕様)

ボディサイズや走行フィーリングなどが、グループ内のモデルと近似することも事実ながら、プラットフォームの共有は悪いことではない。比較的低価格でアベンジャーを提供できる理由は、その技術共有にある。ジープらしさは、薄いかもしれないが。

とはいえ、スタイリングはスクエアでたくましい。好印象な道具感が漂う。フェンダーやサイドシルは、未塗装のプラスティック製トリムで覆われている。オフローダーらしい見た目を生むだけでなく、修理も安価に済むと主張される。

インテリアも、巧みにジープ感が演出されている。小物入れが豊富に用意され、前席側でも34Lぶんの収納があるとか。ダッシュボードの助手席側には、ワイドなトレイが設けられ、サングラスやスマートフォンを置いておくのに丁度いい。

車内で存在感を示すのが、ボディカラーと同色の鮮やかな内装トリムと、標準装備になる2面の10.25インチ・モニター。1面はメーター用で、もう1面はアップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応する、インフォテインメント用だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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