こんなボルボは今までなかった EX30 ツインモーターへ試乗 容姿と走りは優秀でも・・惜しい不備

公開 : 2023.11.10 19:05  更新 : 2023.11.10 20:31

同社歴代最小の電動SUV、EX30 運転を楽しめるシャシーにボルボらしいスタイリング 大きく足を引っ張るインターフェイス 英国編集部が評価

敏捷性や一体感を味わえるバッテリーEV

新しいボルボEX30は、運転が楽しい。ツインモーター版は驚くほどパワフルだから、0-100km/h加速をたった3.6秒でこなしてしまう。シングルモーターの後輪駆動版は軽量で、もっと楽しい。

コンパクト・クロスオーバーというくくりを抜きにして、EX30に並ぶ敏捷性や一体感を味わえるバッテリーEVは、極めて限られる。ところが、強くオススメできるかと聞かれると、言葉に詰まってしまう・・。

ボルボEX30 ツインモーター・パフォーマンス(欧州仕様)
ボルボEX30 ツインモーター・パフォーマンス(欧州仕様)

まずは、EX30の概要を確認していこう。プラットフォームは、ボルボを傘下に収めるジーリー・ホールディングスのSEA。スマート#1も基礎骨格にするもので、設計の洗練度は高い。

駆動用バッテリーはフロア下に並べられ、サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式で、リアがマルチリンク式。ボルボによれば、同社の歴代で最小サイズのSUVだといい、全長は4233mm、全幅が1836mm、全高が1549mmとなる。

フォルクスワーゲンTロックとほぼ同じ大きさだが、EV専用プラットフォームのお陰で車内は広々。1ランク上のゆとりがある。

駆動用バッテリーは、後輪駆動のシングルモーターで49kWh。エクステンデッドレンジと四輪駆動のツインモーター・パフォーマンスでは、64kWhへ増える。今回、主に試乗したのは、その後者だ。

価格は、英国で3万3795ポンド(約611万円)から。ツインモーター・パフォーマンスは4万4495ポンド(約805万円)へ上昇する。追って、約3万ポンド(約543万円)の廉価グレードも加わるという。

ヘッドライトもタッチモニターでオン

見た目は魅力的だと思う。ボルボらしいクリーンなスタイリングで、全高は低め。オフローダー感を強調した、クロスカントリー仕様も2024年にお目見えするという。

インテリアも従来どおり。軽快で清々しい雰囲気は、いかにもスカンジナビアン・デザインだ。エアコンの送風口1つとっても、こだわりを感じる。素材の質感は好ましく、組み立て品質も高く見える。小物入れが各所に設けられ、乗員空間も広い。

ボルボEX30 ツインモーター・パフォーマンス(欧州仕様)
ボルボEX30 ツインモーター・パフォーマンス(欧州仕様)

ただし、完璧なデザインだとはいいにくい。殆どの車載機能が、大きなタッチモニターへ集約されているためだ。

実際に押せるハードボタンは、フロント側のパワーウインドウと、装備が義務付けられるハザードランプのみといえる。ドアロックも独立しているものの、タッチセンサー式。リアのパワーウインドウは、切り替えて操作可能だが。

ステアリングコラムからはレバーが伸びていて、左側がウインカーとワイパー。右側はシフトセレクター。ステアリングホイールには、オーディオの音量とクルーズコントロールを操作できる、タッチセンサーが配される。

それ以外は、タッチモニターを触れることになる。オートワイパーの速度やグローブボックスの開閉、ドアミラーの角度、エアコンとシートヒーターの温度、オーディオの音源選択、運転支援システムの変更、回生ブレーキの強さなど、ほぼすべて。

流石に、ヘッドライトの点灯までモニターを介することには、疑問を抱かざるを得ない。しかも、ホーム画面からメニューを2回辿る必要がある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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