カクカク・デザインで出だし順調 キアEV9 GTラインへ試乗 乗り心地以外は好印象

公開 : 2023.12.10 19:05

滑らかなパワートレイン 乗り心地は今ひとつ

パワートレインは2種類。後輪駆動で202psのシングルモーターがお手頃な方で、四輪駆動で384psのツインモーターがその上に据えられる。今回の試乗車はツインモーターだったが、約2.6tの車重を持つSUVに不足ない、動力性能を備えていると感じた。

このクラスをリードするBMWに迫るほどパワーデリバリーは滑らかで、航続距離は実際の環境で420km前後は得られる様子。ちなみに、シングルモーター版でも関心するほどたくましかった。

キアEV9 GTライン(欧州仕様)
キアEV9 GTライン(欧州仕様)

ステアリングは正確で、操舵時の反応を予想しやすい。スクエアな面構成のおかげで、大柄なサイズでありつつ、ボディ四隅の感覚も把握しやすい。

ただし、乗り心地と姿勢制御は今ひとつ。デンマークの平滑なアスファルトでも、高速走行時には不安定感が拭えなかった。低速域でもフラフラと落ち着きが乏しく、大きめの段差では強めの衝撃が伝わることも。洗練性が高いとはいえないだろう。

とはいえ、素晴らしいパッケージングを台無しにするほど、乗り心地が悪いわけではない。韓国仕様のEV9では印象が良かったから、欧州仕様のチューニングが影響しているのかもしれない。風切り音やロードノイズも、大きめに聞こえていた。

もう1つ、運転支援システムの反応は少々過剰。容赦ないアラームで、ドライバーへ注意を促してくる。

大きなバッテリーEVを運転して、笑顔になれたのはフォルクスワーゲンID.バズ以来かもしれない。実用性は高く、スタイリングは新鮮。楽しいカーライフを送れそうな、電動SUVだと思う。

キアEV9 GTライン(欧州仕様)のスペック

英国価格:7万3245ポンド(約1325万円)
全長:5015mm
全幅:1980mm
全高:1780mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:6.0秒
航続距離:503km
電費:4.5km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2625kg
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
バッテリー:95.0kWh(実容量)
急速充電能力:−kW
最高出力:384ps
最大トルク:71.2kg-m
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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