箱ボディでも感心の電費 キアPV5 パッセンジャー(2) ストレスない加速 満足度は高い?

公開 : 2025.11.27 18:10

日本へ導入されるミニバンのPV5 基礎骨格はアイオニック5の改良版 ハイエースのワイドへ近いサイズ 実用性と耐久性を重視した内装 普段使いでストレスない162psの加速 UK編集部が試乗

普段使いでストレスない162psの加速

日本導入が告知された、キアPV5。商用車を前提に開発されており、ミニバン仕様のパッセンジャーでも、動力性能や操縦性よりコスパや実用性へ重点が置かれている。それでも、運転体験は快活だ。

試乗車は、162psと25.3kg-mの駆動用モーターに、71.2kWhのバッテリーがペアを組む前輪駆動。車重は2070kgと軽くないものの、普段使いでストレスない加速を実現している。0-100km/h加速は、10.6秒とのこと。

キアPV5 パッセンジャー・ロングレンジ・プラス(韓国仕様)
キアPV5 パッセンジャー・ロングレンジ・プラス(韓国仕様)

アクセルペダルの反応はダイレクトで、高速道路の巡航は静かで滑らか。回生ブレーキの強さは、ステアリングホイール裏の左側のパドルで4段階から選べる。

右側のパドルは、アダプティブ・モードの「スマート回生ブレーキ・システム」が起動する。ナビの地図情報や先行車両の状態を判断し、自動的に効きを調整してくれ、渋滞時に扱いやすく感じた。

一貫性ある操縦性 乗り心地は概ね良好

商用車が前提とはいえ、プラットフォームはアイオニック5など、乗用車のものの派生版。まとまりのある操縦性で、走りは落ち着いている。

ステアリングホイールは軽く回せるが、反応はスロー気味。それでも、短いオーバーハングと相まって、キビキビと進路を変えていける。旋回速度が高まると、車重を実感させるとしても。

キアPV5 パッセンジャー・ロングレンジ・プラス(韓国仕様)
キアPV5 パッセンジャー・ロングレンジ・プラス(韓国仕様)

舗装にできた穴などの衝撃までは吸収しきれないとはいえ、乗り心地は概ね良好。16インチと控えめな、アルミホイールも効果的に働いているはず。商用バンのカーゴも短時間試乗したが、快適性は同等。毎日の配送での疲労を、抑えてくれるはず。

走行中は、駆動用モーターの音は殆ど聞こえない。スクエアな空間にロードノイズが反響し、乗用車へ匹敵しないものの、静寂性も悪くない。

前面投影面積を考えれば感心の電費

今回の試乗での電費は、韓国の様々な条件の道を走らせて、平均6.4km/kWhと上々。前面投影面積が大きいことを考えると、感心してしまう。

英国へ導入されるトリムグレードは、ベーシックな仕様のエッセンシャルと、プラスの2段階。試乗車は後者で、電動格納式ドアミラーにヒーター内蔵パワーシート、パワーテールゲート、スマートフォンの無線充電パッドなどを装備する。

キアPV5 パッセンジャー・ロングレンジ・プラス(韓国仕様)
キアPV5 パッセンジャー・ロングレンジ・プラス(韓国仕様)

お値段は、英国では51.5kWhのスタンダードレンジで3万2995ポンド(約673万円)から。サイズの近いフォルクスワーゲンID.バズより、約1万ポンド(約204万円)安い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

キアPV5 パッセンジャーの前後関係

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