運転したい衝動へ駆られる ランボルギーニ・カウンタック 歴代4モデルを比較する(1)

公開 : 2023.12.03 17:45

運転してみたいという衝動へ駆られる

真っ先に初期のカウンタック LP400を購入した1人が、カナダの富豪でF1チームを所有していたウォルター・ウルフ氏。しかし、自らの望む性能には届いておらず、ジャンパオロ・ダラーラ氏へ依頼しチューニングが施された。

ウイングとオーバーフェンダーで見た目を整え、V12エンジンは5.0Lへ換装。ランボルギーニ側も仕上がりへ影響を受け、カウンタック LP400Sとして提供することに。リアには345/35R15という、極太のピレリ・チンチュラートP7 タイヤが履かされた。

ランボルギーニ・カウンタック 5000S(1974〜1990年/英国仕様)
ランボルギーニ・カウンタック 5000S(1974〜1990年/英国仕様)

しばらく不安定な体制にあったランボルギーニだったが、1980年にフランスの実業家、パトリック・ミムラン氏が買収。事業資金として300万ドルが拠出され、1987年までは比較的落ち着いた時期が続いた。

2023年に目の当たりにするカウンタックは、混迷のランボルギーニを支えた、確固たる意志のようなものを感じる。今回ご登場願ったのは、1984年式の5000S。クルマ好きなら、運転してみたいという衝動へ駆られるはず。

陽光を反射するホワイトのボディが、4台の中で際立つ。幾何学的なシザーズドアを持ち上げると、幅のあるサイドシル越しの低い位置へ、ブルーのインテリアが姿を表す。乗降性は悪いものの、開口部は大きい。

シートは地面へ付きそうなほど低い。グラスエリアが広く、フロントガラスは頭上まで伸びる。ダッシュボードが、高いスカットルから続いている。

想像以上にカウンタックの中は快適。シートは柔らかく、掛け心地が良い。暑い日差しに備えて、エアコンも備わる。

目が覚めるほど鋭いコーナーへの侵入

バンク角60度のV12エンジンは、いかにもバランスが良い。設計は、フェラーリのF1用1.5Lユニットの開発へ関わった、ジョット・ビッザリーニ氏。クワッドカムで、滑らかに吹ける。

6基のキャブレターから、控えめに吸気音が共鳴する。1982年に発売された5000Sでは、排気量が4754ccへ拡大されている。

ランボルギーニ・カウンタック 5000S(1974〜1990年/英国仕様)
ランボルギーニ・カウンタック 5000S(1974〜1990年/英国仕様)

オイルサンプを貫通するドライブシャフトを回す、5速MTはシートの間に納まる。シフトレバーのタッチは良好ながら、レーシーなクラッチは低速走行を好まない。一般道を流せば、周囲からの熱い視線を感じずにはいられない。

多くの例にはスポーツエグゾーストが装備されたが、こちらはノーマル。V12エンジンの、メカニカルな響きをより鮮明に鑑賞できる。バルブトレインのビートが、エグゾーストノートと重なり合う。レッドラインは7500rpm。少々控えめな設定に思える。

コーナーへの侵入は、目が覚めるほど鋭い。僅かにアンダーステア傾向ながら、しっかり路面が掴まれる。AUTOCARの読者なら、このウィングはダウンフォースを生まない飾り物だとご存知かもしれないが、リアタイヤも安定している。

4バルブ・ヘッドのクアトロバルボーレは、1985年に登場。同年に5167ccへ拡大されつつ、Kジェトロニック燃料噴射とインパクト・バンパーが与えられ、北米の規制へ対応した。欧州には、461psのキャブレター仕様が残った。

時速200マイル(321km/h)という壁は破れなくても、北米市場での人気は更に上昇。英国でも需要は高く、1988年のカウンタック 25thアニバーサリーも、30台の割り当て台数がすぐに埋まったという。

この続きは、ランボルギーニ 歴代4モデルを比較する(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アーロン・マッケイ

    Aaron McKay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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