早くも「欧州の上級ブランド」へ肉薄 路面を問わず快適 BYDシール AWDへ試乗 しかもお手頃

公開 : 2023.12.22 19:05

路面を問わず落ち着き、優れた乗り心地

表面がザラついたアスファルトでも、驚くほどフラットで静か。ここまで、路面を問わず優れた落ち着きを叶えた電動サルーンは、非常に限られる。このクラスでいうと、BMW i4へ匹敵するといっていい。車重の軽いシングルモーター版は、特にしなやかだ。

さらにステアリングの反応は正確で、タイヤとのコミュニケーションも取りやすい。本降りの雨のサーキットで、その能力をしっかり確かめることができた。

BYDシール AWD エクセレンス(英国仕様)
BYDシール AWD エクセレンス(英国仕様)

シングルモーターでもツインモーターでも、ドライブモードが備わり、ステアリングやブレーキの感触を調整できる。とはいえ、ノーマル・モードが最も好印象なようだが。

ブレーキは、スポーツ・モードにすると立ち上がりが尖すぎる。ステアリングホイールは、フリクションが不自然に強まるようだった。

以前の試乗で過剰に思えた、運転支援システムの警告音は大幅に制限された。指定速度を超えた際に発せられていた、人工音声での注意もなくなった。必要なければ、車線維持支援システムなどはオフにもできる。毎回、タッチモニターでの操作が必要だが。

インフォテインメント・システムは、これまでの中国車的。15.6インチのタッチモニターに実装されるソフトウェアは独特で、使い慣れるまでしばらくの時間を要する。モニターを、横向きと縦向きで任意に回転させられるのは面白い。

欧州のプレミアム・ブランドと遜色ない

かくして、欧州仕様としてチューニングを受けたシールは、欧州ブランドの電動サルーンと遜色なく乗ることができる。ブレーキもステアリングも好印象で、乗り心地も優れている。操縦性のバランスもいい。それでいて、価格はより身近でもある。

中国の自動車ブランドの走りが、欧州のプレミアム・ブランドに並ぶ日が遠からず来ると、われわれは予想していた。その日は、想像より短時間で到来したようだ。

BYDシール AWD エクセレンス(英国仕様)
BYDシール AWD エクセレンス(英国仕様)

BYDシール AWD エクセレンス(英国仕様)のスペック

英国価格:4万8695ポンド(約901万円)
全長:4800mm
全幅:1875mm
全高:1460mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:3.8秒
航続距離:519km
電費:5.4km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2235kg
パワートレイン:非同期モーター(フロント)+永久磁石同期モーター(リア)
バッテリー:82.5kWh(実容量)
急速充電能力:−kW
最高出力:530ps(システム総合)
最大トルク:73.4kg-m(システム総合)
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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