ダウンサイジング・エンジンすら消えてしまう フィアット500ツインエア 荒っぽい鼓動の記憶

公開 : 2023.12.18 17:45  更新 : 2023.12.18 19:08

やっぱりまろやか、でも個性が光る最終型

フィアット500のような小型車には、街中をすばしっこく走り回るシティコミューター的なイメージがある。

だがツインエア搭載の500はそれだけではなくロングドライブも快適にこなせる。以前九州まで走って行ったときにこの事実に驚かされた。

フィアット500ツインエア・カルト
フィアット500ツインエア・カルト

ツインエアは発進加速でもターボのパンチが効いているのだが、あっという間にトップの5速に入ってからも、ターボが伸びやかな走りを演出してくれる。たぶん高速道路ではずっと5速のまま。それでもヨーロッパ車らしくハイペースを容易に保てるのだ。

今回の500カルトはツインエア最終だけあって、エンジンもギアボックスもこれまでにないほど角が取れたまろやかなフィールになっていた。とはいえこの個体でツインエアを初体験した人がいれば「これが21世紀か!」という驚きは依然としてあると思う。そして好きか嫌いかにはっきり分かれる。

たぶん最初に「嫌い」となった人でも一緒に暮らしたら印象は180度変わると思う。ツインエアは理屈抜きにクルマ好きの感性にズンッと響いてくるパワーユニットなのである。

今回のツインエア生産終了の理由は、言わずもがな電動化の一環なのだとか。その命脈、わずか12年。生まれたタイミングが悪かった? もしチャンスがあれば、ぜひ2気筒内燃機による力強い鼓動を感じてみてほしい。

試乗車のスペック

価格:286万円(税込 オプションなし)
全長×全幅×全高:3570×1625×1515mm
燃料消費率(WTLC):19.2km/L
CO2排出量:121g/km
駆動方式:FF
車両重量:1010kg
パワートレイン:直列2気筒875cc+ターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:85ps/5500rpm
最大トルク:14.8kg-m/1900rpm
ギアボックス:5速オートマティック
タイヤサイズ:175/65R14(フロント)175/65R14(リア)

フィアット500ツインエア・カルト
フィアット500ツインエア・カルト

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    1986年生まれ。クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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