ボナムスにとって2019年の幕開けとなるスコッツデイル・オークション。当地のカーショーにリンクして開かれ、お値頃車を中心に120台が出品。しかし、最高落札額は3億円を超えています。

text：Kazuhide Ueno（上野和秀）　photo：BONHAMS

最高落札額　マセラティA6G/2000スパイダー・フルア

地元イギリスを始め世界中でオークションを開くボナムスの、コレクターズカー・ディビジョンの幕開けとなるのがスコッツデイル・オークションだ。アリゾナ州スコッツデイルで行われる巨大なカーショーにリンクして行われるもので、愛好家にとっては新年を告げるおなじみのオークションである。

あらゆる層のファンに向けたオークションだけに、地元のアメリカ車はもちろん欧州車、日本車まで網羅し、時代的にも現代から20世紀初頭のモデルまでカバーする幅広いラインナップが用意された。そのため予想落札額で100万ドル（1億1000万円）超えの物件は10台のみで、逆に10万ドル（1100万円）以下の車両は46台（38.3%）、5万ドル（550万円）以下は27台（22.5%）と、低価格帯がメインで用意されていた。

ちなみに全体の落札率は88.3%と好調だったが、フェラーリのレーシング・スポーツのモンディアルやランボルギーニ・ミウラ、ポルシェ904GTS、アストン マーティンDB5、新旧のブガッティなどの高額車は総崩れだった。

低価格帯の車両が多かったが、最高落札額は3台のみが作られた1951年マセラティA6G/2000スパイダー・フルアが3億305万円を記録。続く1963年ポルシェ356Bカレラ2 GSカブリオレ（1億1006万円）の2台が、今回のオークションで1億円を越えて落札されたクルマとなった。

以下、1934年メルセデス・ベンツ500K 4座トノー（9130万円）、1946年フィアット1100Cスパイダー・フルア（6347万円）、1970年メルセデス・ベンツ280SE 3.5カブリオレ（3988万円）、1956年ポルシェ356A1600スピードスター（3988万円）、1937年SS100 2 1/2L ロードスター（3625万円）、1972年マセラティ・ギブリSS（2526万円）、1989年ポルシェ930ターボ・スラントノーズ・カブリオレ（2526万円）、1958年ポルシェ 356A T2 1600スピードスター（2452万円）、がトップ10という、いつもと違うマニアックな顔触れだった。

ポルシェ祭り開催　相場に変化も

全米各地からクルマ好きが集まるドメスティックなカーショーにリンクして開かれるだけに、新旧数多くのアメリカ車が用意されたのが特徴といえる。ちなみに並んだアメリカ車はコルベットやマスタングなどの人気車を中心に据え、さらにはヴィンテージモデルを加えた27台が用意され、出品車の2割強を占めた。

ここではポルシェが19台も集められ、さながらポルシェ祭りの様相となった。356から904、911、912、914、928、968と幅広い層に向けたお値頃のモデルが用意されたのが功を奏して19台中18台が落札されたのは驚異的といえる。今回は356Bカレラ2 GSカブリオレと904GTS以外は73カレラや911GT2、GT3などの決めのモデルはなく、ポピュラーなグレードを用意したのが成功したようだ。ちなみに目玉的存在だった904GTSは1億5400万円と思われる最低落札額に届かず流れてしまった。

落札されたポルシェを見てゆくと、912が以前の値段に戻っていることが見て取れる。派手さこそないが356の乗り味と初期型911（901）のルックスを備えることから一部で支持されていたが、メジャーな存在にはなれなかった。しかしバブルのピーク時に912は1000万円まで値を上げていたが、スコッツデイルでは500〜600万円までに戻ってきたことが分かる結果となった。

ボナムス・スコッツデイル・オークション　結果一覧

価格は落札手数を含む額。日本円への換算は、オークション開催当日の為替レートを基に計算。
NS=落札不成立。日本円価格の括弧内の金額は、主催者が発表した予想落札価格。