回顧録 ミドル級ミドシップ対決 ケイマンR vs エヴォーラS 前編

2019.01.28

100字サマリー

上に鎮座する911の呪縛から、軽量化によって一部だが解放されたポルシェ・ケイマンRと、自社製エンジンを持たないロータスが機械過給器でパワーの壁を乗り越えさせたエヴォーラS。しがらみから解き放たれた2台は、本当に自由を手に入れられたのでしょうか。

もくじ

ジレンマを抱えた2台
軽量化を果たしたケイマン
エヴォーラは出力向上とシャシーチューン
要改善点が多数
確かな軽量化の効果

ジレンマを抱えた2台

(AUTOCAR JAPAN誌99号の再録)

ポルシェ・ケイマンとロータス・エヴォーラには、共通する不幸があった。パッケージングから考え得るポテンシャルをフルに発揮することを、過去一度も許されることがなかったという不幸だ。

ケイマンの場合、その理由はポルシェというメーカー自身にある。エンジンを車体中央に積むこのケイマンは、理論的には既存の911よりもハンドリングに優れた、技術的に優秀なクルマとなってしかるべきモデルだ。だが、ポルシェの都合からすれば、それは決して起こってはならない事態だった。

ポルシェは暗黙のうちに、ケイマンが持てる潜在能力をすべて開放することを決して認めず、同社のモデルヒエラルキーの頂点に位置する(そしてそれは同時に、はるかに利益率が高いことをも意味する)リアエンジンのスターの座を脅かしたりはしないよう、性能を抑えてきたのである。

ロータス・エヴォーラの場合はクルマ自体が抱える問題からだ。いうまでもなく、こちらの問題のほうがより深刻である。エヴォーラはロータスが全力を投入しているモデルではあるが、その完成度は満足とするにはまだほど遠い状態だ。

エヴォーラはもともとそのハンドリングに惚れ込んだ人が選べばいい種類のクルマではあるのだが、同時にドライブトレインやインテリアに見え隠れする問題点を大目に見るだけの度量を持った人でなければ買えないクルマなのもまた動かしがたい事実である。そして皆さんもすでにお気づきのとおり、そんな人物はそれほど多く存在するわけではない。

 
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