【古今のフランス車、勢揃い】レトロモビル公式オークションを総括 ロンドーも出品 アールキュリアル・レトロモビル・セール

公開 : 2020.03.03 07:10  更新 : 2021.10.11 09:30

ロンドーのマシン、走行7000km未満の2CV4。パリ開催のオークションハウスには、新旧フランス車をはじめ、マニアックなクルマが集合。オークション結果をレポートします。

ドライエ 1億円超え

text:Kazuhide Ueno(上野和秀)
photo:ARTCURIAL

フランスのオークションハウスがパリで開いた「アールキュリアル・レトロモビル・セール」。フランス車の出品の多さが特徴だ。

往年の栄華さを物語るブガッティをはじめ、オチキス、ドライエ、ドラージュの各タイプが用意され、新しめの車両ではパナール、ファセル・ヴェガ、DBが登場。現在も活動するシトロエンプジョーアルピーヌが36台も並び、出品車の2割強を仏車が占めた。

豪奢なフランス車、1936年ドライエ135スペシャル2座ロードスター(1億1106万円)。
豪奢なフランス車、1936年ドライエ135スペシャル2座ロードスター(1億1106万円)。

オークションの最高落札額は、フェラーリ275GTB 6Cが最高値(3億284万円)を記録。以下、1966年ポルシェ906(2億941万円)、1983年フェラーリ126C3 F1(1億7411万円)、1991年フェラーリF40(1億3466万円)、1993年ジャガーXJ220Cル・マン(1億3138万)と続く結果に。気合の入ったマニアックなオークションであることが分かる。

さらにはトップ10まで拡大すると1936年ドライエ135スペシャル2座ロードスター(1億1106万円)、1934年ブガッティ・タイプ57カブリオレ(6058万円)といった戦前のフランス勢が加わり、フランス開催らしい顔ぶれ。

今回の主役といえた1929年メルセデス・ベンツ710 SS 27/140/200hpスポーツ・ツアラーだが、予想落札額の7億2600万円〜9億6800万円から分かるように特別といえる存在だった。しかし、ビッダーを選んでしまったようで、落札に至らなかった。

同様に1938年アルファ・ロメオ6C 2300Bルンゴ・カブリオレも入札が続かず、予想落札額の1億5125万円〜2億1175万円に届かないで流れている。

80年のル・マン覇者と言えば?

また、コアなクルマが集うレトロモビルに併催されるオークションだったことから、様々なフランス車が用意された。

中でも注目したいのがル・マン24時間レースで知る人ぞ知る存在である「ロンドーM378」が姿を見せたこと。大メーカーが総合優勝を目指して参加する中にあって、ロンドーはユノディエールの最高速度にこだわり、性能指数賞の獲得に燃えたフランスのマイナー・コンストラクターである。

フランスの愛すべきコンストラクターで、ル・マンに挑み続けて優勝を果たしたロンドーのマシンも出品された。
フランスの愛すべきコンストラクターで、ル・マンに挑み続けて優勝を果たしたロンドーのマシンも出品された。

オーナーのロンドー氏自ら参戦し、1980年には総合優勝を果たすという、フランス人には知られたコンストラクターだ。

出品されたロンドーM378は一般的視点で見れば極めてマイナーなクルマで、DFVを積む純レーシングマシンのため購入する者が選ばれる。最低落札額と思われる1億890万円に届かず流れてしまったのが残念だった。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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