航続距離800kmの大型EV ステランティス 新構造「STLAラージ」がV8を超える?

公開 : 2024.01.22 14:45

・ステランティスが大型EV用の新プラットフォームを公開。
・ダッジとジープから年内にも新型車発表か。D/Eセグメント車で使用。
・大排気量V8エンジンを超える性能? 航続距離800km。

新世代の大型EV、年内に順次発表へ

欧米系の自動車メーカーであるステランティスは1月19日、新たな大型EV用プラットフォームとして「STLAラージ」の詳細を発表した。

従来の大排気量V8エンジンを凌ぐ強力なパワートレインを搭載し、1回の充電で最長800kmの航続距離を実現するという。全長4764~5126mmのD/Eセグメント車に使用される。

STLAラージ車の第1弾として期待されるジープ・ワゴニアS
STLAラージ車の第1弾として期待されるジープ・ワゴニアS    ジープ

EVを中心に設計されたプラットフォームだが、ハイブリッド車にも対応している。

まず、ダッジとジープの2車種に使用される予定で、これはスポーツカーのチャージャーとSUVのワゴニアSと予想されている。その後、アルファ・ロメオのSUVとセダン、マセラティのSUVにも使用される見込みだ。

ステランティスによれば、STLAラージ・プラットフォームは2026年末までに8車種の市販車(クライスラーを含む)のベースになるという。各ブランドは、今年後半からSTLAラージ車の計画を発表するが、ダッジとジープは先んじて数か月以内に発表すると見られる。

STLAラージの導入により、幅広い性能向上が謳われている。例えば、アルファ・ロメオでは「高性能のビークル・ダイナミクス」を、ジープは「トレイルレーテッドのオフロード走行」をさらに高めるという。

プラットフォームの開発を監督したマーク・イッスナー氏は、対応する最低地上高140~287mmに触れ、次のように語った。

「カーブを描くサーキット走行向けのパフォーマンスカー、滑らかな乗り心地のラグジュアリーカー、岩をかき分けるオフローダーなど、さまざまなニーズにこのプラットフォームで応えることができます」

さらに、アルファ・ロメオ、クライスラー、ダッジ、ジープ、マセラティ車の顧客は「情熱的で非常に多様」であり、ステランティスの目標は「彼らの要求や要望に対してノーと言わないこと」だとした。

ステランティスはSTLAラージの性能の指標として、「既存のヘルキャットV8を凌駕する極限のパワー」を発揮し、最速のもので0-100km/h加速を約2.0秒で突破するという。

参考までに、ダッジ・チャージャー・ヘルキャットは最高出力707psと最大トルク90kg-mを誇り、0-100km/h加速3.7秒前後を達成する。

また、STLAラージは「重量と剛性を最適化」しており、使用されるコンポーネントは可能な限り厳重に梱包され、室内スペースを最大化しているという。

モーター、インバーター、トランスミッションからなるコンパクトな電気駆動モジュール(EDM)を搭載し、前輪駆動、後輪駆動、全輪駆動のレイアウトに対応する。インバータは炭化ケイ素(SiC)半導体技術を採用し、電力損失を最小限に抑えている。

400Vまたは800Vの充電システムに対応し、最大270kWの急速充電が可能とされる。バッテリー容量は最大118kWhで、航続距離はモデルによって最長800kmとなる。ステランティスによると、さまざまな種類のバッテリーを想定しているため、さらなる性能向上も期待できるという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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