ラインナップ現役17年目の工業製品 日産GT-RプレミアムエディションTスペック 2024年モデル

公開 : 2024.01.30 17:45

日産の雪上試乗会にて、2024年モデルのGT-RプレミアムエディションTスペックに試乗しました。規制の関係で販売が終了している国もありますが、いやいや起死回生、日本で17年目のGT-Rに触れてみます。

すっきりとして静か、17年目のGT-R

今年でデビュー以来17年目。その間ずっと磨かれ続け、ステアリングを握るたびにワクワクさせられる。海外ではゴジラ、とか呼ばれているらしい日本が生んだ怪獣、GT-Rである。

少し前に車外騒音対策を解決できないので命脈が尽きる? という噂もあったがちゃんとMY2024が登場したのである。メデタシ。

日産GT-R プレミアムエディションTスペック
日産GT-R プレミアムエディションTスペック    日産

MY2024は顔の作りですぐにそれとわかる。これまではヘッドランプと同じラインからバンパー下までが一つの大きなグリルのようになっていたが、今回はグリルが上下にちゃんと分割され、いくぶんインテリに見える。

もちろんリアバンパー形状も新しくなっており、こちらは角っこにビシッと縦のラインが入ってワイド感を増し、なおかつ空気の巻き込みを減少させる役割を担っている。リアスポイラーも新型で、存在感はあるが目立ち過ぎない、ちょうどいい塩梅に見える。

だがそんな形状変更以上にオジサンを熱くさせるのは、ミレニアムジェイドと呼ばれるスモーキーな緑の特別色だろう。R34GT-Rの最後に登場した伝説的な限定モデル「ニュル」がそのモチーフなのだろう。インテリアはさらに濃い緑色の革内装で、表革とスエード調のコンビが1896万700円という車両価格に説得力を与えている。

さっそく走りだすと、大きくてパワフルなゴジラというより、猛禽類の引き締まった鋭さを感じた。クルマ自体もすっきりとした印象だが、それ以上に静かに走るのである。

いい歳のとり方をしたアラフィフの立ち姿

実車を前にして肝心かなめの事実を忘れていたのだが、MY2024登場のキーとなったのは騒音規制をクリアできたからに他ならない。

新たに装着されたマフラーはエンジン回転の高まりをリニアに伝えてくれるが、ボリュームはかなり抑えられている。しかもシフトダウン時のバブリング音は明らかに電子的に仕組まれたものとわかる。

日産GT-R プレミアムエディションTスペック
日産GT-R プレミアムエディションTスペック    日産

だがこれまでだって排気音がGT-Rの本懐だったことはない。国産車最強レベルの570psという最高出力、AWDのトラクションが生み出す万能感、そしてゴジラにも例えられる圧倒的な存在感こそがGT-Rを日本代表たらしめてきたのである。

今回の試乗は、日産の雪上試乗会のひとコマだった。ところが路上に雪はなく、しかしタイヤはスタッドレスという特殊な条件。開けたワインディングでスロットルを深く踏み込んでみると、瞬時にパワーが立ち上がり、それと同時にリアタイヤが捩れる感じがした。

ブレーキングでもブレンボ製の対向6ポッドキャリパーとカーボンセラミックローターのカッチリ感とは対照的に、制動距離だけが伸びてしまう。当たり前の話だが、サマータイヤと同じ振舞いはできない。コーナーではなるべく横Gをかけないドライブに徹した。

そんなスタッドレスの影響を差し引くと、今回試乗したGT-R Tスペックには、規則正しい生活とジム通いを欠かさないアラフィフのような、いい歳のとり方をしたクルマという印象を抱いた。乗り心地も、NVH(ノイズ/振動/ハーシュネス)関係にもさらなる進化が感じられたのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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