過去ベストな「絶景」ドライブルートへ 理想はGRヤリス? キア・ピカントでアイルランドを巡る

公開 : 2024.03.10 19:05

アイルランド南東部は別荘を買う理想の場所

仕事から逃れられない筆者は、今日はダブリンから西へ走り、1人でシャノンという南西部の町を目指す。2日目は、素晴らしい景色をカメラマンのジャック・ハリソンに抑えてもらう予定だ。

高速道路のアスファルトは平滑で、フランスのよう。クルーズコントロールをオンにし、渋滞知らずで淡々と走れる。英国や日本では、なかなか難しいことだと思う。

アイルランドのワイルド・アトランティック・ウェイを走るキア・ピカント 1.0 T-GDi GTラインS
アイルランドのワイルド・アトランティック・ウェイを走るキア・ピカント 1.0 T-GDi GTラインS

今晩泊まるシャノンへ着いた頃には、既に日は暮れていた。ワイルド・アトランティック・ウェイの北端や南端にも、夕飯時間までには到着できるだろう。

約束通り、翌日の早朝にハリソンが到着。とある新聞に、アイルランド南東部が別荘を買う理想の場所だという広告が載っていた。この地域は雨が多いから、1年を通した天気は優れないと思うが、それ以外は賛同できる。

筆者が運転した日は暖かく、風も殆どなかった。大西洋に突き出た半島を巡る。グレートブリテン島以上に美しい景色の中を、カーブが連続する道が続く。アイルランドの道も、英国のように国道と地方道に分かれているが、舗装は想像以上に良好だ。

制限速度は、片側2車線の幹線道は100km/hで、高速道路は120km/h。市街地が50km/hで、郊外の一般道では80km/h。高性能なモデルでも、ストレスが溜まる設定とはいえない。

交通量は少ないが、条件の良い区間でもストレートは長くなく、一般道のカーブはきつい。時折、トラクターも走っている。ゆっくり走る乗用車は、追い越されることに動じる様子はない。

ここを走るならトヨタGRヤリスがベスト

走り疲れたら、最高の景色でリフレッシュ。鮮やかなグリーンの大地に、ピンク色の花が散りばめられている。しかし、外来種が覆い尽くす勢いで増えているそうだ。

オーストラリアやニュージーランド、右側通行だが、アメリカのカリフォルニアなどと似た景色も点在する。勾配が続く峠道は、欧州大陸のどこか。時々、グレートブリテン島のウェールズ地方と重なる風景もある。

キア・ピカント 1.0 T-GDi GTラインSと筆者、マット・プライヤー
キア・ピカント 1.0 T-GDi GTラインSと筆者、マット・プライヤー

筆者は2日間、見事な絶景と、走り応えのある道へ圧倒され続けた。いい感じのカーブが連なり、起伏が豊かで、アスファルトは滑らか。島の南端にあるキラーニーの町や、リング・オブ・ケリーの岬まで、すべてが壮観だった。

ハリソンもクルマ好き。この道へ最適な1台を、一緒に考える。速すぎるのは良くない。スーパーカーではなく、ホットハッチが理想的。トヨタGRヤリスが最速だろう。

少し昔のホンダ・インテグラ・タイプRや、フォード・フォーカス STでも心底楽しいはず。サスペンションは柔軟に屈伸し、エンジンは意欲的に吹け上がる。

ピカントも、候補の上位に入る。ステアリングは心地良く、フロントタイヤを軸にして機敏に向きを変える。エンジンは爽快。マニュアルの感触は、量産車でピカイチだ。

アイルランド島の南西部を巡り、キラーニーへ戻る。素晴らしいホテルと食事が待っている。生演奏を楽しめるパブが、100軒はあるらしい。

仕事で訪れ、好きになってしまう場所がある。反面、もう一度訪れたいと思っても、叶わないことも少なくない。今回は、再訪の予定を決めてしまった。

キア・ピカント 1.0 T-GDi GTラインS(英国仕様)のスペック

英国価格:1万8295ポンド(約346万円)
全長:3595mm
全幅:1595mm
全高:1485mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:9.9秒
燃費:18.9km/L
CO2排出量:120g/km
車両重量:1030kg
パワートレイン:直列3気筒998cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:100ps/4500rpm
最大トルク:17.5kg-m/1500-4000rpm
ギアボックス:5速マニュアル(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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