2024年版 世界をリードする高級EV 10選 「静か+速い」最先端の移動体験

公開 : 2024.04.13 18:05

4. メルセデス・ベンツEQSセダン

長所:実走行での航続距離、宇宙船のようなデザイン
短所:一部の人には車載システムが過剰、i7のような軽快感はない

世界で最も歴史のある自動車メーカーの1つ、メルセデス・ベンツ。電動モビリティへの移行に向けて真面目に取り組んでおり、2019年に同社初のEV専用モデルであるEQCを投入し、その後も数多くのEVを展開してきた。しかし、EQSのセダンほど評判の良いものはない。

4. メルセデス・ベンツEQSセダン
4. メルセデス・ベンツEQSセダン

新開発のプラットフォームを採用するEQSは、テスラモデルSが北米市場から奪っていったSクラスのシェアを取り戻すという使命も秘めている。

価格は高い。英国では、最高出力330psのシングルモーター/後輪駆動のEQS 450+が10万2160ポンド(約1950万円)から、高性能モデルのAMG EQS 53が15万ポンド(約2870万円)を上回る価格設定となっている。

その分、他車がなかなか真似できないような最新技術を満載している。特に話題を集めやすいのがダッシュボード全体をスクリーンとする「ハイパースクリーン」(オプション)だが、結局は3枚のスクリーンがパネル内に統合されるだけだ。注目すべき点は他にある。

特筆すべきは、風の中を滑るように移動し、実走行で600km以上の航続距離を達成できることだ。弊誌のテストでは、120kWhの巨大バッテリーを最大限に活用して、最長640kmを記録した。動力性能は高く、四輪操舵(4WS)のおかげで全長5.2mあるとは思えないほど小回りが効くし、エアサスペンションにより車外と隔絶された快適空間を作り出している。快適性と洗練性の水準はとても高い。

EQSセダンは、メルセデス・ベンツの「本気度」が伺い知れる、素晴らしく完成度の高いEVだ。先行する新興ブランドに対して強烈なレシーブとなるだろう。

5. ルーシッド・エア

長所:ゲームチェンジャー的な航続距離、巧みなパッケージング、魅力的な内外装デザイン
短所:一部の市場でしか買えない、ハンドリングは期待値を下回る

ルーシッド・エアのように、大きな話題を呼びながら、我々を長い間待たせたクルマも珍しい。開発にはテスラ出身のエンジニアが携わっており、新興ブランドとして一旗揚げようと、さまざまな “トピック” を盛り込んだ。

5. ルーシッド・エア
5. ルーシッド・エア

例えば最高級グレードの「ドリーム・エディション」は、最高出力1111psと最大トルク140kg-mを発生し、0-97km/h加速2.4秒を達成。さらに、118kWhの大容量バッテリーにより、1回の充電での航続距離は830km以上を謳う。また、300kWの超急速充電に対応し、わずか20分で480km分のエネルギーを賄えるという。

当然ながら、動力性能も圧倒的だ。やや残念なのはハンドリングで、素早い方向転換の際に少々もたつく感じがあり、サスペンションを最も硬い設定にすると減衰制御の不足に悩まされる。乗り心地も玉石混交で、高級車らしいしなやかで落ち着いた質感はないが、19インチ・ホイール装着車では劇的に改善される。今後、エアサスペンションも追加されるので、さらなる改善が期待できる。

サイズ感はメルセデス・ベンツEクラスとほぼ同じだが、巧みなパッケージングにより、室内空間はSクラス並みに広い。端正なデザインと充実した快適装備も好印象で、質感と仕上がりは欧州車には及ばないものの、テスラ・モデルSを凌駕している。まだ完成途上ではあるが、そのスタイル、性能、航続距離は多くのファンを獲得することになりそうだ。

記事に関わった人々

  • マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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