「カレラ」で楽しむ本来のバランス ポルシェ911(997型) UK中古車ガイド 運転しやすさは歴代屈指

公開 : 2024.08.19 19:05

歴代の911で信頼性が高いといえる6代目、997型 現在の基準でも充分に速い 本来のバランスとエレガントさを味わうならカレラ 抜きん出ていた運転のしやすさ 英編集部が魅力をご紹介

現在の基準でも速い997型 カレラがベスト

第6世代となる997型のポルシェ911は、驚くほど優秀なスポーツカーだ。ベースグレードのカレラでも、最高だといっていい。むしろ、それ以上のグレードを探す必要は、筆者はないと考えている。

20年前の2004年に登場した997型の911 カレラは、最高出力325ps、最大トルク37.5kg-mを備え、6速MTの0-100km/h加速は4.8秒。間違いなく、2024年の基準でも速い。

ポルシェ911(997型/2004〜2011年/英国仕様)
ポルシェ911(997型/2004〜2011年/英国仕様)

911だから、多様な乗り手や市場に合わせたモデル展開がなされた。四輪駆動のカレラ4にカレラS、GTS、4S、4 GTS、GT3、GT3 RS、ターボ、ターボS、GT2まで、本当に幅広い。

2009年には、フェイスリフト後の997.2型でスポーツクラシックも登場している。ちなみにこれは、僅か48時間で完売した。

ここですべてをご紹介するのは不可能だが、正確な操縦性と落ち着いた走りがお望みなら、カレラ4やS、GTSがオススメ。サーキットを楽しみたいなら、GT3やGT2が好適となる。アウトバーンの追い越し車線や大陸横断での安楽さなら、ターボが良い。

とはいえ、本来のバランスとエレガントさを日常的に味わいたいなら、カレラがベスト。どのグレードを選んでも、当時では最先端といえる技術が投じられていることに変わりはない。

997型では、ポルシェ初のデュアルクラッチAT、PDKを採用。ティプトロニックと呼ばれたトルクコンバーター式のATから、飛躍的な進歩を遂げていた。

水冷エンジンは燃料の直噴化に加えて、可変ジオメトリ・ターボも採用。トルクベクタリング機能も与えられている。

歴代で抜きん出ていた運転のしやすさ

見た目は、先代の996型から大きな変化はない。シャシーも996のアップデートではある。しかし、キャリーオーバーされたのはルーフパネルのみ。993型へ影響を受けたスタイリングは、空力特性が大幅に磨き込まれている。

空気抵抗を示すCd値は0.28で、996型の0.30から改善。高速走行時のリフトを、確実に減少させていた。

ポルシェ911(997型/2004〜2011年/英国仕様)
ポルシェ911(997型/2004〜2011年/英国仕様)

操縦性も素晴らしく、カーブが連続する区間へ飛び込めば、優れた能力で操る自信と信頼感がすぐに湧いてくる。テールヘビーの重量配分に対する懐疑心は、過度に抱く必要はない。フラットなコーナリングは、運転スキルを磨くのに好適だ。

運転のしやすさは、歴代でも抜きん出ていたほど。AUTOCARでの評価も高かった。

水平対向6気筒エンジンは、素のカレラに搭載された自然吸気の3.6Lから、カレラS以上の3.8L、格別なGT3 RSの4.0Lまで多彩。カレラSの最高出力は355psで、ターボSでは529psを誇った。

トランスミッションは、前期型では5速オートマティックと6速マニュアルを用意。フェイスリフト後の後期型では、先述の7速PDKが追加されている。

扱いやすい特性もあって、997型の中古車は人気が低くなく、今後も値崩れすることはないだろう。それでも、911としてはお手頃な側にあるのがうれしい。英国市場なら、状態の悪くないカレラを2万3000ポンド(約442万円)前後から探すことが可能だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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