インドのタタ・グループ元会長、ラタン・タタ氏が死去 熱心な自動車愛好家であり実業家

公開 : 2024.10.11 18:25  更新 : 2024.10.11 20:18

インドの巨大企業タタ・グループの元会長、ラタン・タタ氏が9日、86歳で死去した。インドに自動車を普及させたほか、英ジャガー・ランドローバーの買収でも知られる。自身は大のクルマ好きであった。

巨大グループの元会長

インドの財閥タタ・グループの元会長である実業家ラタン・タタ氏が10月9日、86歳で死去した。

タタ・グループは公式声明で同氏の死去を認め、次のように述べた。「2024年10月9日に逝去された、我々の時代の伝説であり、最愛の会長であるラタン・N・タタの逝去を、深い悲しみとともに、謹んでお知らせいたします」

ラタン・タタ氏は英国のジャガー・ランドローバー買収でもよく知られる。
ラタン・タタ氏は英国のジャガーランドローバー買収でもよく知られる。

「彼の肉体的な存在を失うことは寂しい限りですが、彼はわたし達の心の中に生き続けるでしょう。わたし達は、インドの文明的価値観に根ざし、すべての人々の幸福を目指す彼の遺産を継承することを誓います」

ラタン・タタ氏は1990年から2012年までタタ・グループを率い、業界の「巨人」や「類まれなリーダー」と称される。グローバル化を進める中で、英国のジャガー・ランドローバー(現:JLR)を11.5億ポンドで買収したことでも知られている。

買収が正式に決定する直前の2008年、ラタン・タタ氏はAUTOCARとのインタビューで、ジャガー・ランドローバーへの情熱を語った。

「我々を惹きつけたのは、この2つの象徴的なブランドがグローバルな性質を持ち、製品が高く評価されているという事実でした」

「我々は、そのイメージを育み、手触りや感触を保ち、手を加えないことが、ブランドを所有する者の義務だと信じています。彼らは英国のブランドであり、英国のままであるべきです。実際に誰が所有しているかは、その運営においてあまり重要ではありません」

タタ氏は、ジャガーとランドローバーの両ブランドを引き続き区別し、それぞれの製品戦略や拡大計画を支援することを約束した。ジャガー・ランドローバーは16年経った現在もタタ・グループの所有下にあり、長引く財務不安を脱して、ここ数年で最高益を達成し、すべての製品ラインナップとブランドのポジショニングの抜本的な見直しに着手しようとしている。

ジャガー・ランドローバーの現CEOであるエイドリアン・マーデル氏は、公式声明の中でラタン・タタ氏に敬意を表し、次のように述べた。

「JLRファミリー全体がラタン・タタ氏の死に深い悲しみを抱いています。彼の個人的な業績と遺産は、社会的に比類のないものであり、当社の事業とブランドに残した足跡は他の誰よりも偉大なものです」

「2008年にタタがJLRを買収したのは、彼の独創的なビジョンによるものであり、それ以来我々がここまで発展できたのは、彼の揺るぎない支援と献身に負うところが大きい。タタ氏は我々を素晴らしい旅へと導いてくれました。彼は我々の歴史に信じられないような新しい章を刻むきっかけを与えてくれました。彼の寛大で信頼できる指導の下、我々はタタの歴史の一部であることに深い誇りを感じてきました」

「JLRの全ての従業員を代表して、彼の素晴らしいリーダーシップに心から感謝の意を表したいと思います」

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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